攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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S級探査者アレクサンドラ+異界の権能ウーロゴス=プレーローマ・アンドヴァリ

 火花散らしてぶつかり合う、趣異なる二振りの西洋剣。

 神奈川千尋の持つ、異世界から流れ着いた聖剣。瀬川聡太の持つ、人類の英知の結晶とも言うべき対モンスター用機械兵装AMWノイエヴァルキリー。

 

 いずれも鋭い斬撃が、その刀身を重ね合わせて甲高い音を響かせる。

 失明さえして満身創痍の瀬川が、バリアを解除されたとて問題なく応戦したのを受けて神奈川さんは舌打ちとともに叫んだ。

 

「目ぇ見えてなくてもそれかい! 腹立つがテメェ、やっぱり戦いになると天才的だな!」

「くっ、う!? バリア、バリアが、セーレさんからの愛がっ!」

『憐れな人、瀬川聡太! たとえ愛だとしても、許されないことをあなたはしたの!!』

「大人しくお縄につけっ!! さもねえと、目が見えてなかろうが構わず決着つけるぜ、瀬川ァッ!!」

 

 複数の悪魔による強化を受けているのを加味しても、視覚が機能していない状態で聖剣を持った、すなわちステラのステータスを借り受けている神奈川さんと互角なのは、俺から見てもとんでもない才覚だ。

 瀬川聡太……やつ自身はオペレータでないものの、戦うということそのものの才能に溢れているのだろう。惜しい話だな、いろいろと。

 

 ともあれ剣戟が繰り広げられる。もはや神奈川さんvs瀬川はしばらくの間、余人を挟む余地なく行われるだろう。

 アンジェさんとランレイさん、そしてステラが立会人めいてその様子を見守る中。残る俺達は、引き続いて本命の敵へと視線を集中させた。

 

 すなわちプレーローマ・アンドヴァリ。

 そしてやつの配下だろう過激派構成員の、元ダンジョン聖教騎士団らしい法衣姿の武装した連中が数人である。

 

「やれやれ、この期に及んで一騎打ちというのは愚かですねえ。悪魔セーレに入れ込んでいたのは知っていましたが、若いというのは善し悪しですか」

「プレーローマ・アンドヴァリ……! 瀬川は神奈川さんが倒す! お前は俺達が相手になるぞ!!」

「瀬川聡太などに注視している余裕はないものと知りなさい、アレクサンドラ。あなたの夢も野望ももはや、ここまでです」

「アレクサンドラ・ハイネン……いいえ火野アレクサンドラ! 君はここで取り押さえて、取り込んだウーロゴスも手にしたままの《聖女》の称号も返してもらうよ! 犯した罪に、等しき罰を!!」

 

 肩をすくめて冷笑、蔑みの目で戦う二人を見下ろすやつはもう、はっきり言って人間とは言い難い。

 俺、シャルロットさん、そしてエリスさんの三人が一歩前に出て啖呵を切った。他の面子、精霊知能達や探査者の面々もまた、身構えてやつと取り巻きに備える。

 

 とりわけミュトスの反応が一番大きい。

 ついに直接対峙する、自身の権能を悪用している張本人だ。居ても立っても居られなければ、文句の一つも言わずにはいられないんだろうね。

 

「コラコラコラーッ!! 勝手に人の権能とドッキングすなーっ!! いやまあ人じゃないですけど、たはーっ!!」

「えぇ……?」

「挙げ句に話を聞く限り、水と調和のためのソレを勝手に改竄して品性下劣な使い方してる始末! さしものミュトスちゃんももう堪忍袋の緒が限界! こうなりゃ実力行使で行くでがんすよ、ふんがーっ!!」

「怖ぁ……」

 

 本人としては至って真剣なのは分かるが、やはり言語センスとノリが古い!

 ふんがーっ! なんてリアルで聞いたの生まれて初めてかもしれないよ。

 

 ……とはいえプレーローマ・アンドヴァリのほうは露骨に反応を示したな、この子に。まあ明らかに踏み込んだこと言ってるんだから当然だわな。

 訝しむ顔を浮かべて、俺と交互に見比べている。

 

「…………ミュトス、ですか。この偉大なる神の権能ウーロゴスにも精通しているのですね? シャイニング山形のこれまでの言動と併せると、いろいろ見えてくるものがありますねえ。委員会の見立ては、やはり正しかったということですか」

「何……」

「ソフィア・チェーホワ、そして山形公平。その二人こそが大ダンジョン時代を仕組んだ忌むべき存在。なんらかの概念存在のアバターであるということですよ────《土魔導》、ジオロジカルボイジャー・プロター」

「ッ! スキルかっ!!」

 

 やがて忌々しげに歪めた表情で、まるで見当違いなことを言って間髪入れず、発動するスキル。

 《土魔導》。プレーローマ・アンドヴァリの心象風景を映し出して様々な攻撃を行う魔導系スキルの土バージョンだ。

 

 床がひとりでにうねり蠢き動き出し、まるで発芽するかのように無数に盛り上がっては何か、特定の形を取り出した。

 何が起こる? ……その答えはシャルロットさんが、焦りの表情とともに叫んで答えてくれた。

 

「ジオロジカルボイジャー・プロター……! 大地を操ることで自身の分身を作り出す技です! かつては3体までだったのが、こ、これは……」

「ヒトとしての私ならいざ知らず、今のこのプレーローマ・アンドヴァリであればこれこの通り。百を超える我が写身を、連続してこしらえることも可能ということ!!」

 

 余裕ぶった笑みとともに自己申告するアレクサンドラの言うように、盛り上がった床は次々にその正体を表していく。

 他ならぬやつ自身の姿を象った、まさしく分身が百近くも生み出されたのだ……色味や質感さえも本人そっくりの、相当なクオリティでの分身作成術!




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