攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1550 / 2052
ミュトスvsプレーローマ・アンドヴァリ

 スキルを用いた途端、プレーローマ・アンドヴァリの力は著しく増強されたように俺の目からは見えた。

 いや、実際にそうなのだろう……やつの《風魔導》は己の身体能力を強化させるバフ系の技ばかりだというシャルロットさんの言葉は、当然ながら嘘偽りのないものだった。

 

「《風魔導》──グレイトコンティネント・バールバラ!!」

 

 発動する技とともに、やつの身体全体を蒼色の風が吹き抜けて纏わりつく。スキルで生み出した風、それが肉体を強化するのか。

 プレーローマ・アンドヴァリとして変生した肉体は、シャーリヒッタの封印があったとて異次元の強度を誇っている。ウーロゴスを取り込んだから当然なんだけど、それをさらにブーストさせる技なんだな。

 

 そしてこの局面。シャルロットさんが遠距離攻撃を封殺してくれている中での自身へのバフを選択したということは、思い切ったことで肉弾戦をする気満々のようだ。

 いい度胸をしている……なんて、思っちゃうのは俺自身とミュトスの能力をなまじ、知ってるからだろうね。

 

 俺達も同時にスキルを発動させる。揃って当然、やつを迎え撃つためのバフスキルだ。

 ミュトスは三界機構の力を借り受ける形で。俺は、アドミニストレータとしてこの身に秘めた力を引き出す力で超パワーアップを果たしていく。

 

「《イミタティオ・トリニタス・コスモス》! 三界機構は断獄さん、お力を貸してください──ミュトス・断獄!!」

「《誰もが安らげる世界のために》、出力1000倍……! 来い、アレクサンドラ。ヒトをやめてもカミになれない半端さの、天井がどれだけ低いか教えてやる」

「ッ舐めるなァ、クソガキがぁぁぁぁぁぁーっ!!」

 

 ステータス半減の封印を食らっているからこそ余計に浮き彫りになる差。

 結局スキル自体は通常仕様でしかないアレクサンドラの《風魔導》と、どちらも唯一無二な俺の《誰もが安らげる世界のために》とミュトスの《イミタティオ・トリニタス・コスモス》の出力差は言うまでもなくこちらが大概、上だ。

 

 それはやつも分かっているだろうに、けれど俺の安っぽい挑発には乗らないではいられない。その性格こそが一番の弱点だったな。

 猛スピードでこちらに接近してくるアレクサンドラ。その手には何も持っていないが徒手空拳か? だったらなおのことお誂え向きだ、こちらもそれこそが本来の土俵であるがゆえに!

 

「聖女殺法、聖典打撃ッ!! 我が聖なる鉄拳にて、その頭蓋を殴り崩してくれましょうッ!!」

「そうはイカの缶詰、遺憾のイ! 山形様に直接攻撃なんてのは不遜もいいとこ、せめてこのミュトスの屍を越えていきんさーいっ!!」

「ミュトス!?」

「ここは私がっ!! 山形様、ご声援お願いしまーすッ!!」

 

 聖女殺法……いつぞや神谷さんが言ってたやつだ、たしか二代目聖女から受け継がれてきた戦闘術だとか言うのを使い、握り拳で大きく振りかぶるプレーローマ・アンドヴァリ。

 問題なく受け止めて、逆にリバーブローでも入れようかと構えた俺の前に躍り出たのは、横並んでいたミュトスだった。断獄モード特有の腕と脚の鎧を纏い、質実剛健たる姿で真正面からぶつかっている。

 

 先んじて戦うつもりか。おそらくはウーロゴスの本来の持ち主として、ケジメをつけるつもりなんだな。

 本人に責はない。むしろ純然たる被害者だってのに、失われた権能が悪の手に渡り利用され続けてきたのを気に病んでいたみたいだからね。

 

 彼女なりの、これは粛清に近い戦いなんだろう。であれば俺はその意思をこそ尊重しようと結界スキルを発動した。外と内とを遮断し、誰も入れず出ることもできない隔離結界を展開するのだ。

 ミュトスがなんの気兼ねもなく全力で戦えるための、バトルフィールドを構築する!

 

「《清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師》!! ────ミュトス、プレーローマ・アンドヴァリ! お前達二人のための戦闘結界を構築した、誰もその戦いには干渉できない!」

「ありがたやありがたや……! これで正真正銘一騎打ちでござい!!」

「何をバカな、とことん虚仮にして……!! 《風魔導》! グレイトコンティネント・コロンビアッ!!」

 

 完全なるタイマンの場を創り上げたことを告げれば、ミュトスもアレクサンドラもそれぞれ異なる反応で気炎を上げた。アレクサンドラに至っては追加で《風魔導》を発動させてすらいるな。

 先ほどと同じくバフ技のようだ……蒼色の風がその腕を、その拳に纏わりついて出力を上げていく。スピードの次はパワーを上げるか!

 

 一騎打ちの形になったところで、プレーローマ・アンドヴァリはその剛腕を唸らせた。ボクシングめいた、両の拳を構えての前傾姿勢。

 鋭くジャブを連発していく!

 

「ミュトスとやら! あなたが何者か存じ上げませんが邪魔ですよ! ウーロゴスはすでにこの私のもの、であればロートルは引っ込んでいていただきましょうッ!! ──私の力ですっ、返しなさいッ!!」

「どひーっ身勝手すぎーっ!! ……愚かなるアンドヴァリ! その力でもって善をなすならばともかく、悪に走るならば一欠片とて譲るわけにはいきません! 今ここで、熨斗までつけてきーっちりと私の権能を返してもらいますっ!!」

 

 対するミュトスも負けじと、ジャブを払い除けつつ肉薄して攻撃をしかけていく。

 ある意味、ウーロゴスvsウーロゴスと言えなくもない……同じ権能を持った二人の、決戦が始まった。




「大ダンジョン時代クロニクル」第一次モンスターハザード編更新中!
https://syosetu.org/novel/362785/
よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。