攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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独りじゃないと信じて仲間を頼る。これを"信頼"と呼ぶ!

 決意とともに放った山形くんビームが、暴走をはじめたアレクサンドラの周囲の土埃やら衝撃波やらを飲み込む。

 人体にはなんら損傷を与えないよう設定した光の奔流が、やつごと呑み込む──それと同時に俺は、今出せる全力でもって肉薄した!

 

「アレクサンドラ!」

「う……いき……しに、た……ううう、うえええおおおああああ」

「自我が崩壊しかけているな、待ってろ今すぐに助ける……!!」

 

 ギリギリのタイミングだ。俺が接近したのと同じ頃合いで、アレクサンドラの意識はいよいよ消えかけていた。

 だがこれなら間に合う。3mを超える巨躯の、頭部に手を添えて意識を集中させる……魂の状態を読み取り、外科手術的に的確な処置をもってアレクサンドラだけを引き剥がさなければ!

 

 コマンドプロンプトとしての目で視る、火野アレクサンドラの魂。脳裏に想起されるそれは、なんとも酷い有様だ。

 人の魂にウーロゴスが混じり合ってマーブル状になっているよ。肝心要の部分はまだ侵食されてないけれど、結構な割合が異世界の神の権能と同一になって因果を失っている。

 この部分にだけは、俺にも手が出せないな。

 

 

『あらら。こりゃアレクサンドラだけを引き抜いても後遺症は免れないね。リハビリ次第ではまあまあ楽しく余生を過ごせるだろうけどさ。命があるだけマシだし、そういう意味では悪運が強いなあ、この女』

 

 

 脳内のアルマがなんともはや、場にそぐわない呑気な声をあげるが意見自体は正確だ。

 ここまでのことになった魂を、アレクサンドラのままな部分だけ取り除いたとて元通りとは絶対にならないだろう。欠落した魂では身体や心とのリンクが上手く取れず、肉体的や精神的な動きにいくらか支障は出るかもしれない。

 

 それでも、だ。俺は魂への干渉を開始する。

 アルマの見立ては正しく、だからこそ希望も見いだせるものだ。リハビリすれば罪を償い、それから先も生きていける程度にはアレクサンドラの魂が残っているというお墨付きも同然なんだから。

 だったらいける。そこから先は本人の意志次第だけれど、どうあれ命だけは救う!

 

「ウーロゴス以外の部分! 人間のままのアレクサンドラを、抜き出す────!?」

『ここまで来てそれはないんじゃないかな? シャイニング山形ァッ!!』

『この時ばかりはお前も無防備でしょう。殺してやります、チェーホワの手先!!』

『くくけけけけけぇぇぇーっ!!』

「何……!? なんだ、どっから出てきた、こいつら!?」

 

 意識を集中してことに取り掛かろうとした矢先。どこからか複数体の悪魔が躍りかかり、俺へと攻撃を仕掛けてきた!

 権能が使えない今、空間転移は使えないはず。どこから現れた、こいつら!?

 

 ────瞬きにも満たない逡巡の中。即座に俺は演算して答えを見た。

 瀬川聡太。神奈川千尋と死闘を繰り広げているやつの身体から、権能による強化がごっそりと減っている。そこから察するのは容易なことだった。

 

「悪魔か、まさか瀬川の身体から!?」

『気づいたところでもう遅い、死ねぇっ!!』

『我ら悪魔の力の前に、成すすべもなく絶望せよっ』

 

 瀬川の中に潜んでいたんだ。

 そして時を待っていた……アレクサンドラに関わる俺が、完全に無防備になるそのタイミングを。

 

 それはすなわち、悪魔側でさえウーロゴスの暴走にアレクサンドラが呑み込まれるだろうと予期していたことを示している。

 委員会は、アレクサンドラさえも捨て駒にした。最後の最後に俺がこうして無防備になるだろうと、その瞬間を狙い撃ちするべく布石を打ってきたんだ。

 

 ……悪魔的な周到さだ。見事な読みの深さと言いたいところだが、残念ながら詰めが甘い。

 俺一人でもこの程度、どうとでもできるが今は一人ですらない。心底から頼れる仲間が、命を救うことに全力をかけても問題なくフォローしてくれる仲間達が、いてくれるんだよ!

 

 頼って、求める。

 一人じゃないことの心強さに感無量な想いさえ抱きながら、俺は大きな声でただ、叫んだ!

 

「────頼みます、みなさん!!」

「お任せください救世主様ッ!! プリズムコール・アークキャリバーッ!!」

「何人たりとも邪魔立てさせるかッ!! ギルティチェイン・パニッシュメント!!」

 

 即座に答える声。そして放たれる技、スキル。

 香苗さん、ヴァール。それだけでなく周囲の仲間達の誰もが、いきなり降って湧いた悪魔達に次々に攻撃を仕掛けていく!

 

「この期に及んでいい加減にしろってんだクソ悪魔ども!! 《異分子処断権限》第一種解禁! 概念存在ども、精神体だろォが物理攻撃を通させるぜッ!! いくぜみんな、やれるだけやっちまいなァッ!!」

「ハッハッハー、それではお言葉に甘えて合わせようか、葵! せーの、犯した罪に!」

「等しき罰を!! はっはっはー! 邪魔立てにお邪魔しまーす!」

「ケルベロス、ガーゴイル! 山形さんの周囲に何一つ近づけさせないでくれ!」

「アレクサンドラといえども人命救助のため。七代目聖女として責務を果たしましょう……スターライトリバティ・ミーティアサジタリウス! 卑劣極まる悪魔を討ちなさい!」

 

 シャーリヒッタが、エリスさんが、葵さんが。愛知さんが、シャルロットさんが次々に参戦して悪魔達を攻撃していく。

 奇襲せんとしたところを、逆に奇襲される形になった悪魔達もこれにはひとたまりもない。一体、また一体とアバター体を減らしていく。

 

 そして止めはあの人だ。

 俺達の中でも一番威力のあるスキルを持つ探査者。ベナウィ・コーデリアさんが……悪魔達だけを呑み込む射線で、その力を発揮する!

 

「いやあ、土壇場での参戦でどうにか活躍の場をもらえて嬉しいですよ悪魔さん達。《極限極光魔法》」

『ば、馬鹿な……!! こ、ここまで完璧なタイミングでしかけて、それでも届かないのか』

『現世は、能力者は……わ、私達を、置いてきぼりに……』

「それではサヨナラ。オーロラ・パーティタイム!!」

 

 最期に、絶望と失望、そして無力感に満ちた嘆きだけを残して悪魔達が極光の大連射に飲み込まれて消える。

 起死回生の一手として、すべてをかけて俺を始末に来たんだろうけれど。もうそれしきでどうこうできるような現世じゃないのさ、委員会。

 

「問題なく、アレクサンドラは救わせてもらう!」

「ううえええおおおああああいいいいううううえええええ」

 

 そして引き続き、アレクサンドラの魂に介入する。

 多くの仲間達に見守られる中で、俺もまた、自らの使命をまっとうすべく力を尽くしていた。




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