攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ULTIMA MYTHOS MAXIMUM

 ミュトスが変化する。発動せしスキル《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》の効果が、彼女を生まれ変わらせていく。

 胴体を、災海の象徴たる鎧が覆い、手足を断獄の象徴としての甲冑が覆う。そして頭部には言わずもがな魔天の兜と、そして背中に翼が。

 白銀のフルアーマー。それが今の彼女の姿だ。

 

 《イミタティオ・トリニタス・コスモス》ではそれぞれの部位、どれか一つだけ発現させていた力をすべてまとめて発動させたんだ……あまりにも予想通りだな。

 ミュトス・災海の姿が明らかな未完成さを示していたから、さすがに俺も気づいていたよ。あっ、これ最終的には三つの力が合体するやつだってね。

 

 けれどこれまでは彼女の力が足りなくて、三界機構それぞれの力を選択して個別に借り受けるしかできていなかったんだけど。

 数多くのウーロゴスを取り戻し、本来の権能を八割方復活させたことでようやく力の同時行使ができる、制御可能な状態になったんだな。

 それまで封印されていたスキル、それこそが《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》というわけだった。

 

 もはやミュトスの外観はそのすべて、あらゆる部分が三界機構に覆われている。当然放たれる力の威圧もこれまでの比じゃない。

 全段解放のシャーリヒッタさえ凌駕している……当然か。欠片たりとてワールドプロセッサの力を三つ、顕現させた今の彼女もまた、出力的には精霊知能の域を超えているのだから。

 

「こ、この力は……こ、公平くん。あれは、あのミュトスさんは」

「この世に、あれほどの存在が……!」

「フルパワーのミスター・公平にも似た威圧ですね……あれがミス・ミュトスの真の力、というわけですか」

「そ、創造神にさえあれほどの存在感はなかった。い、い、一体私は、な……何を目の当たりにしているんだ……!?」

 

 香苗さんやシャルロットさんをはじめ、仲間達もミュトスの威容と放たれる力に気圧されている。

 矛先を向けられずとも、ただそこにいるだけで圧倒されているのだ。三界機構すべてを束ねた今の彼女には、S級探査者クラスでさえも問答無用で黙らせる力があった。

 

 ただ正直、ここについてはミュトスが力加減トチってるというか、初めてのスキルで塩梅が分かっておらずにところ構わず圧を振りまいちゃってるところはあるな。

 俺同様、何が起きたかを把握している精霊知能三姉妹は冷静に察知していた。代表してリーベが、鎧に身を包んだ彼女に声をかける。

 

「ミュトスちゃーん、ミュトスちゃーん! 出力制御甘いです、抑えて抑えてー! 何もなくとも周囲を威圧しちゃってますよー」

「…………はうっ!? し、失礼仕りマスタング!? アイヤーミュトスちゃん、初めてのことでうっかりうっかり、てーへーぺーろー!!」

「えぇ……?」

 

 言われて気づいた鎧の中の人が、荘厳な見た目と放つ圧とは裏腹にひどくコミカルなトーンの声と素振りで慌てふためく。

 途端になくなる威圧。周囲の仲間達も動揺は隠せないながらもひとまず落ち着いたのを見つつ、ギャップがありすぎてなんかコスプレ芸人さんみたいにさえ思える彼女のいつも通りさに、安心するやら戸惑うやらの俺ちゃんだ。

 

 三界機構の力をあのレベルで一つにして具現化したんだ、何かしら精神にも影響があるかもと危惧してたんだけど問題なかったな。

 おそらくは彼女の中にいる魔天、断獄、災海が制御してくれているんだろう。ミュトスを尊重し、信頼していることが窺えるよ。

 

「中身はいつものミュトスなんだなァ。ああまで三界機構の力を帯びたんだから、ちっとは連中に影響されてるかと思ったが」

「しかしその力は本物だな……《異分子処断権限》が全開されたお前でも敵わないだろう、あの出力は」

「さすがに欠片三つまとめての力だしなァ。つっても、公平サンのフルパワーにゃ到底及ばねェから、仮にミュトスが調子こいて下剋上とか言い出しても秒で締められるだろォけどよ」

「そんなことをするミュトスではないだろうがな。それに、維持できる時間も短そうだ」

 

 シャーリヒッタとヴァールによる評も聞こえてくる。二人の言う通り、今のミュトスはワールドプロセッサやコマンドプロンプトに近しい力を持っている。

 三界機構の力を体内にて一つにしたことで、彼女自身もまた一時的に、極めて極小ながらワールドプロセッサのような存在になっているんだ。いくら最上位でも精霊知能では届かない領域に在るのは当然のことだった。

 

 とはいえ、さすがにそんな力を長々と維持していられないみたいで《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》によるフルアーマーがもう徐々に解け始めている。

 悠長にしていられるほどのバランスでもないあたり、ワールドプロセッサめ……シャーリヒッタじゃないけどもしもの下剋上を警戒してのスキルにしたな。

 

「さて、時間もありません……元よりこの力は最大最高の火力ゆえに一回の発動につき一撃が限界。だからこそ、すぐに決着をつけさせてもらいます」

「あああああいいいいいうううううえええええおおおおお」

 

 そのへんはミュトスも承知なのだろう。一切異論も異議もなく、プレーローマ・アンドヴァリのガワを乗っ取ったウーロゴスを見下ろした。

 相変わらず呻くばかりの権能そのもの。悪用され続けたミュトスの力に今、本来の持ち主が手を差し伸べる──!

 

「ここに、三界機構を束ねしミュトス・トリニティが救済を叫ぶ! ────ウルティマ・ミュトス・マキシマムッ!!」

 

 《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》を発動した今のミュトス、すなわちミュトス・トリニティの最強最後の必殺技。

 その名もウルティマ・ミュトス・マキシマム。

 

 魔天の翼による超スピードで距離を詰めたミュトスが、災海の触手を纏わせた断獄の両腕の拳を放つ、三位一体の超奥義。

 それが過つことなくウーロゴスを撃ち抜いたのだ!




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