攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ステラが考えたさいきょうの神奈川千尋

 神奈川さんの身体が変化していく。ステラと魂を重ねて融合させたことにより、肉体にまで変化が及んでいるんだ。

 黒髪が一部、メッシュを入れたみたいに銀髪に変わる。左右の眼は朱と蒼のオッドアイになり、元より鍛え抜かれた強靭な肉体はさらにその密度を増した、金剛石のようなものへと至る。

 

 服装もずいぶん変わった……ラフなシャツ姿が一変してのスーツ姿。さらには白いロングコートが形成されて、それを肩に羽織っている。

 あの服装、俺の神魔終焉結界を参考にしてるな。防御面や権能制御面でのサポートが組み込まれている。さすがに性能面では比べるようなほどでもないが、それでも現世においては無類の品質を誇るのは間違いなさそうだ。

 

 そして最後に、手にした聖剣。

 融合したことで改めて造り直されたスキル、《星明りの聖剣》によって発現したソレもまた、デザインをまったく変えていた。

 剣士として、アンジェさんが唖然とした様子でつぶやく。

 

「み、見た目の変化とかそもそも、ステラと合体しちゃったのにも大概ビビるけど……アレ何、聖剣? えらくゴツくなっちゃって、まあ」

「サイズが、倍くらいになっている……! 加えて鞘付きか? ほとんど鈍器のような形と威容をしている!」

「うわ、鞘だけでも振り回してたらモンスター殺れそう……さっきまでのスマートな西洋剣から、ずいぶん変わりましたねえ」

 

 ランレイさんと葵さんが次いで話すように、そう、聖剣はもはやこれまでとはまったく別の種類の武器へと変貌を遂げていた。

 剣と言うよりは、極めて大きな鋼鉄といったほうが良いかもしれない。鞘に納められていて今は中身が見えないけれど、そもそもその鞘からして金属の塊そのものでものすごい威圧感だ。

 

 ていうか鞘にも取手がついているぞ。まさかアレ掴んで、二刀流とかしちゃうのか? えっ……ヤダ、中二心が疼く……

 銀髪メッシュのオッドアイって時点で心が波打っていたのに、そこに来てこんな、神奈川さんの見た目とは裏腹の無骨で厳しい、けれどロマンの塊みたいな武器をお出しされてはもう堪んないんですけど。

 卒業したはずの14歳が! 14歳がよみがえるー!

 

「…………ス、ステラ……? こ、この姿は、これは一体……」

『千尋のカッコよさを最大限に引き出すアレンジにしてみたよ。それより身体の調子はどう? 精霊知能として、過不足なく問題ない状態に仕上げてみせた自信はあるけど』

「へ? あ、ああ……そりゃ問題ないってか、ビックリするくらい調子いいけどよ……そ、そうか。ステラ、こういうのが好きかぁ」

「えぇ……?」

 

 なんなら当の神奈川さんも困惑してるよ、生まれ変わった自分の姿に。周囲のどこからか聞こえるステラの声に、彼は応えた。

 まあ今回の新生については完全にステラが主導だから、とにかくあの子と一緒にいたい彼からすれば何でも良いから気にもしてなかったんだろう。

 

 でもいざ実際に出来上がった自分の姿が、あまりにも中二すぎてさすがに戸惑いはあるってところか。ただでさえ耽美系イケメンだったのが、これでいよいよファンタジーのイケメン王子様とかそんな方向性だもんな。

 仲間達もみんな、いきなり光り輝いたかと思えば姿を、存在を変じさせた彼に目を丸くしたり白黒させたりしているよ。

 

「う、うわあ。ゲームかマンガのイケメンみたいになっちゃいましたけどヴァールさん。アレ、ええとどういうことなんです? エリスさんさすがに困惑なんですけど、ハッハッハー」

「私に聞かれても困る……だが、二人の意思はこれでもかと伝わってきている。たとえ死んでも存在レベルで常に一緒にいたいと、そんな覚悟がな」

「マジでやりやがったぜ、ステラのやつ……神奈川も、それを本気で受け止めて至りやがった。星明りの聖剣か、分かりやすいネーミングしやがるぜ」

「愛、というべきでしょうかー? いずれにせよ生半可な心持ちでの行動と結果じゃありませんよー」

 

 エリスさんと精霊知能三姉妹が、揃って息を呑む。特に何が起きたかの詳細を知らないわけもないヴァールにリーベ、シャーリヒッタなどは半ば唖然としているね。

 それでも即座に神奈川さんとステラの想いを汲み、肯定的なコメントを残したのはさすがの気遣いだろう。

 

「へ、変身した……? スキルによるものか、私と同じ……いや。違う、アレは不可逆なものだ。そんな気がする」

「神奈川千尋とステラが合体? してああなるなど、奇怪すぎて理解がまるで及びませんが。あなたの発言もなかなかに衝撃的ですよ愛知九葉、あなたのその姿はスキルによる偽装なのですか?」

「む。迂闊なことを言ったか……気にしないでくれシャルロット。そんなことより今は、彼と彼女だ」

「信じがたいほどに取り繕うのが下手ですね……別段興味もないことですし、構いませんが」

 

 愛知さんとシャルロットさんも俺のすぐ近くで、ぼそぼそとやり取りしている。

 やっぱり愛知さん、スキルによるなんらかの外見偽装を行っているのか。

 

 なんか前にもそんな感じのことを匂わせ程度にポロッと零してたもんな。プライバシーもあるから触れるつもりもなかったけど、かくも本人が漏らしていてはしょうがない。

 シャルロットさんもそのへんは興味がないのか、やはり神奈川さんへと視線を向けていた。

 

「こ、公平くん! あ、アレは……今、神奈川さんとステラさんはその魂を一つにしたと! 融合してまったく新しい存在として生まれ変わったと! そういうことなのですか!?」

「驚くべき変化ですね、ミスター・神奈川。姿形もそうですが感じ取れる力が増している。前には感じなかった圧力を、今の彼からは感じられますよ」

「そうですね、香苗さんにベナウィさん。神奈川さんとステラは今、その存在を混じり合わせてまったく新しい存在へと至りました。人間でなくなった以上、人間にはない力を放つのは仕方のないことです」

 

 そして香苗さんとベナウィさんもまた、俺に駆け寄ってくる。いつも通り興奮気味の伝道師さんの姿にはいい加減、なんだか実家のような安心感さえ覚えてきたよ俺、大丈夫か?

 さておき周囲に仲間も揃っているし、瀬川も面食らって硬直している。ここらで一つ、今起きたことを軽く説明しておこうかと俺は、みんなに向けて口を開いた。




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