攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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山形くんとロナルドくん

「なんていうか、ビックリするほど普通の少年って感じだね、山形くんは……」

 

 ヴァールやマリーさんと話をしている俺を見ていた、ロナルドさんが不意にそんなことを言ってきた。

 ベナウィさんと同い年くらいらしいんだけど、明らかに若々しい顔つきが目を丸くしている。それでいて髪の色は老人めいた白髪と、どうも見かけについてはアンバランスな印象を受ける人だ。

 

 おそらくは彼のなかにある、モンスターの因子とやらが関係しているんだろう。今もしっかりと感じられるそれは、完全制御されているようで一定した力の波動を放っている。

 スキル、ステータスとは別口の……けれどある意味、システム領域に関連した力を持つ存在。自らの特異性に自覚があるのかないのかはともかく、そんな彼は続けて話しかけてくる。

 

「君の評判については半年くらい前から結構、太平洋のコミュニティでもいろいろ噂されててさ。話の信憑性はともかく開示されているスキル、ええと《風さえ吹かない荒野を行くよ》? だけでも相当にイレギュラーなタイプの探査者だってのは、早々に議論されてたんだよ」

「そ、そうなんですね」

「正直、俺としてはそれなりにへーそうなんだーくらいのもんだったんだけどさ。それがまさかまさかの話で、そんな君が破竹の勢いで活躍していくからもう、驚いたのなんのって!」

 

 大袈裟な手振りで、俺のデビュー当時に太平洋経済都市圏でどういう反応だったかについて語るロナルドさん。

 まあ、ですよねーって感じだ。別に太平洋に限らず、日本でも海外でも俺のポエミースキルについてはいろいろ、議論の的になってるみたいだしね今でも。

 

 最近はすっかりと救世の光が目立ちまくってるからなんとも言えないけど、それでも探査者の集うSNSなんかでは"シャイニング山形の実力について語ろう"みたいなスレッドとかトピックが盛況みたいだ。

 たぶんロナルドさんの言うコミュニティとやらでも似たようなことが起きていたんだろう。そうでなくとも探査者なんてのは、目立つ探査者のステータスや実力についてやたら語りたがる人も多いからね。勉強熱心なんだよ、基本的に。

 

「デビューしたての新人が狼男からリッチからドラゴンまでなんて……どこのティーンエイジャー向けコミックなんだって思わずツッコんだよ」

「ですよねー」

「それでいていつの間にやら、ソフィアさんやマリーさん、ベナウィくんにサウダーデさんまで君に接触してるんだもんなあ。しかもあの根無し草の風来坊エリスさんまで! 君の人脈について改めて聞いた時、驚くより先に感動したよ」

「ハッハッハー、ロナルドくんがなにげに酷いこと言ってるー?」

「はっはっはー! 事実じゃないですか師匠、基本的に自由気ままな放浪者でしょうに私達」

 

 そんな謎の新人山形くんの、ここ半年でデタラメみたいに広がった人間関係についてはロナルドさんも目を剥いたようだ。昔の、第七次モンスターハザードの時の仲間がやたら集まってるわけだしね、彼視点だと。

 なんならその中にエリスさんが含まれているのが一番の驚きポイントだったらしい。怖ぁ……本人を前にして言いたい放題だ。当のエリスさんも心当たりがあるのか苦笑いして弟子にツッコまれてるよ。

 

 そんな二人を優しい目で見てうなずきながら、ロナルドさんは周囲を見回した。たぶん、結構な割合が俺と共通の友人知人だろう。

 今回の事件を第八次モンスターハザードと銘打つならば、俺にとって第七次モンスターハザード解決の立役者である彼はヴァール、エリスさん、マリーさんに続いて四人目の先輩と言えるかもしれないね。

 

「……ま、そんなわけでさ。君のことは個人的にも気にしてたんだ。サウダーデさんがこないだ帰ってきた時、やたらめったら褒めちぎっていたのもあってその想いは余計に膨らんだ」

「き、恐縮です。サウダーデさんも、ありがとうございます」

「公平殿を評するにはなお足りないほどなんだが、ロナルドくんもずいぶん気になったようだったよ。だからだろう、今回ソフィアさんからいただいた救援要請に、すぐさま彼は飛びついたのだ」

「ソフィアさん達が揃って目をかけ、しかも最新のS級である御堂さんが崇め奉る救世主! ……いやまあ、御堂さんについては怖いもの見たさだったのがホンモノを見ちゃった感じ、あるんだけどさ」

「いやー、ははは……怖ぁ……」

 

 ホンモノて。まあホンモノなんだけど、紛れもなくガチの伝道師さんなんだけどもね、香苗さん。

 S級相手だろうが関係なく問答無用で誰でも圧倒するよね、あの人の伝道ぶり。ある意味無敵なんじゃなかろうか、少なくとも敵にはなりたくない的な意味で。

 

 引きつった笑みを浮かべつつ明後日を向くロナルドさんは、まったくもって爽やかな好青年って感じだ。見た目30歳手前なんだけど、愛嬌の良さもあってもっと若くさえ見える。

 こんな探査者さんもいるんだなあ、と。改めて世界の広さとか探査者の層の厚さなんかも感じさせられるよ。

 大ダンジョン時代の奥深さとも言えるよね、こればかりは。




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