攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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しれっと解放されてた第一種。いや、いつから?

 エリスさん達の語らいから離れて今度は、みんなが集まるリビングの隣りにある寝室にてベッドに腰掛け話し合う人達に挨拶する。

 精霊知能の四人──リーベ、ヴァール、シャーリヒッタにミュトスだ。言わずと知れたシステム領域側のモノ達、余人を交えるには話しにくいことなんかも含め、ちょっと距離を置いたところで落ち着いているわけだね。

 

「あ、公平さーん! お疲れ様ですー」

「ああ、おつかれリーベ、みんな。いやー大変だったないろいろ、この数ヶ月」

 

 片手を挙げて軽く会釈しつつも近づけば、彼女らは揃って返事をしてくれる。

 まずはリーベが元気よく。続けてヴァール、シャーリヒッタにミュトスと、それぞれの形で俺を出迎えてくれたのだ。

 

 部屋を隔てたとはいえ隣室には、事情を知らない人もそれなりにいたりする。シャルロットさんとか愛知さんとかね。

 話すか話さないか、話すのならばどのタイミングで話すかってのを決めあぐねているのはこの子達も知っているので……ひとまずはコマンドプロンプトという私については明言せず、山形公平としての俺に向けて話しかけてくる。

 

「お疲れ様です山形公平。あなたには本当に多くの場面で世話になった。感謝してもしきれないよ、精霊知能としてもWSO統括理事としてもな」

「父様……はさすがにここじゃまずいか、公平サンは相変わらずスゲー活躍ぶりだったぜ! もちろん、ミュトスもだけどなァ!」

「いやいやウヘヘヘにょっほっほ! 山形様に比べちゃアテクシなんぞウシシシシ!」

「えぇ……? い、いやでもミュトスは本当に頑張ってくれたよ、うん」

 

 漫画みたいな笑い方するミュトスの珍妙さよ。ものすごくリラックスした感じですっかり打ち解けてくれているって証拠みたいなもんだからこちらとしては嬉しい話だけど、どうもやっぱりノリが古いところあるよねえ。

 しかして今回、ミュトスこそは一番の被害者であり、また一番の功労者であるとも言えるだろう。歴史に名を刻むかは微妙なところだけれど、まさしく英雄的活躍をしてくれたんだ。

 

 倶楽部から始まりサークル、ダンジョン聖教過激派と委員会関連組織が引き起こした一連のテロ。その根幹的なところにあったのが彼女の権能を悪用したウーロゴスだ。

 システム領域はワールドプロセッサはそれゆえに彼女を精霊知能として改造し、三界機構も練り合わせることさえして新たな存在としての規格と役割を授けた。

 己の権能を取り戻さんとする彼女に少しでも助力しようと、ありえないほどに強力な力をも与えたんだね。

 

「《イミタティオ・トリニタス・コスモス》、そして《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》。三界機構の力を一つに束ねるスキル、その真髄を見せてもらったよ」

「ハッキリ言いますけど、精霊知能の枠さえ超えてる力ですねー。《異分子処断権限》全段解放状態のシャーリヒッタが上限だったのを、ミュトス・トリニティちゃんはさらに上回りましたしねー」

「うむ……ウーロゴスに入れた最後の一撃、ウルティマ・ミュトス・マキシマム。あの威力はややもすると全力の山形公平にさえ届きかねないほどのものだった。無論、あくまで予測に過ぎんがな」

「予測にしたって物騒な想定勘弁してくだせー! 何があろうがこのミュトスは山形様に絶対服従、間違っても頂いた力を御方に向けるなんざァいたしゃーせん! といいますか、あんな一撃こっきりの大技一つでシャーリヒッタさんさえ超えたみたいに言われるのもちょっと……」

 

 最後の最後で使用した、ミュトスの真なるスキルとその必殺技の威力たるや、精霊知能三姉妹から見ても極限倍率山形くんにさえ届きかねないものだ。

 実際、ウルティマ・ミュトス・マキシマムを防御もせずにモロに喰らったとしたら、さすがに極限倍率でも血くらいは吐くだろう。それだけ彼女の全力は、この世界の頂点に近しいものだった。

 

 もっとも、欠点も相当にあるのがワールドプロセッサらしい調整なんだけどね。

 三界機構を一つに束ねたミュトス・トリニティは、あまりに消耗が激しすぎるので継戦能力が皆無だ。本人も言ってる通り完全に一撃こっきりの代物、放てば後はしばらく行動不能になってしまうような技なのだ。

 

 そういう意味では、瞬間火力自体はともかくお互いに全力でぶつかり合った場合、総合的な評価ではやはりミュトスはシャーリヒッタには及ばないだろう。

 異分子処断権限のほうは許可制であるものの、一旦許可が下りれば封印されるまでの間は無尽蔵だもんな。

 

 と、そこまで考えて俺は今朝方の決戦の中で一点、聞きたいことがあったのを思い出した。

 あれはアレクサンドラの魂をウーロゴスから切り離そうとして、そしたら瀬川の身体に取り憑いていた悪魔達が抜け出て襲いかかってきた直後。頼れる仲間のみなさんに全力で頼ってみた時のことだ。

 

 あの時、シャーリヒッタは異分子処断権限を用いて悪魔達のアバターが精神体だったにも関わらず、その位相を強制的に現世にずらして仲間達の物理攻撃が通用するように仕向けた。

 今現在、この子に認められていたのは第三種のオペレータに対しての権限までだったと記憶してるんだけど……いつから第一種、概念存在に対する権限の承認が降りたのか。

 今となっては事後ゆえ、割とどうでもいいことではあったんだけど気になったので尋ねておこうかな。




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