攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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各々の心のなかにある光。それを信仰と呼ぶ、のかな?

「つまりそういうことなのですシャルロットさんさすがダンジョン聖教の聖女ご理解が速いまさしくこちらにおわす我らが救世主山形公平様こそがこの世に新たなる法則や秩序時代世界現象をもたらしたシステム領域における神すなわち我々すべての造物主とも言うべき御方なのですダンジョン聖教の聖書については私も多少見聞きしたことがありますがダンジョンを神からの賜り物と定義している以上逆説的に考えればダンジョンをこの世にもたらした存在こそがあなた方の教えで言う神であるということは明白であり聡明なあなたならば真実を知ればすぐさまこの否定しがたい事実を理解するだろうと信じていましたよ!!」

「怖ぁ…………」

 

 絶対こうなると思ったら、案の定こうなった。それだけの話しなんだけど、あまりに予想通りすぎて怖ぁ……と鳴くしかできないよ。

 

 真実を知った途端、システム領域というかワールドプロセッサとコマンドプロンプトを指してダンジョン聖教の神であると言い始めたシャルロットさん。

 伝道師さんの前でそんなこと言ったらどうなるかなんて火を見るよりも明らかなもんで、当然句読点など吹き飛んで伝道モードに突入しちゃった彼女の興奮ぶりに、誰もがああまあ、うんと顔を見合わせて笑っている始末だ。

 

 なんでそんなこと言い出したの……よりによってそんな、救世の光とモロに迎合するようなとんでも爆弾発言を。

 エリスさんが目を丸くして彼女を見れば、それに対して説明めいた語り口が始まった。シャルロットさんなりに、それ相応の論拠をもった聖女としての発言みたいだよ。白目剥きそう。

 

「御堂さんの興したカルト宗教と提携するつもりはありませんが……概ね今、早口で彼女が言ったとおりです。理屈の上で考えるならば、神が大ダンジョン時代をもたらしたものと定義づけるダンジョン聖教の教義においてシステム領域のトップたる方々が、その神たるモノに該当すると解釈できるのはあまりにも自然な話でしょう。知ってしまった以上そこは否定できません」

「は、ハッハッハー。そ、そもそもそのー、教義とか神っての自体がラウラが適当にでっち上げたものだってのは、シャルくんはご存知だったり……?」

「もちろん存じ上げております。秘中の秘、歴代聖女にのみ伝えられるダンジョン聖教の秘奥なれば──ですが初代様。もはや二代目様のご意向に依らず、我々はかの教えを信じているのです」

 

 すっごい理屈重視なのがいかにも真面目なシャルロットさんらしい。エリスさんがぶっちゃけトークをし始めたけど、それにも一切動じず淡々と反論していく。

 

 ダンジョン聖教そもそもでっち上げ宗教でしたー、とかいう世界規模のスキャンダルになりそうな発言。

 他の方ならいざ知らず、初代聖女その人による発言なもんだから愛知さんや香苗さんまでもが目に見えて驚いていらっしゃる。

 

 なんか、今日はやけにオフレコにしといたほうが良いカミングアウトが続くなあ。

 もはやどうにでもなーれってな気持ちで窓から青空を見上げる俺の耳に、シャルロットさんの言葉がなおも入ってきた。

 

「日本の諺にありますね、鰯の頭も信心から。たとえ発端が別な思惑による捏造、創作であれ……今やその作り話は世界一の信者を獲得した、大ダンジョン時代を代表する宗教組織のテーゼとなっています。初代様もそれはお認めになられるかと存じますが」

「う、うん……まあ、そりゃ、さすがにねえ……なんなら立ち上げから広がっていくところまで、折に触れて見てきちゃってるのがエリスさんだしねえ……」

「であるならば、それはもはや一つの現実なのです。神は居られ、この世にダンジョンをくださいました。しかしてそこに悪魔がモンスターという形で横槍を入れ、それに対抗するべく能力者が生まれたのです。それが、ダンジョン聖教を信じる者達にとってのリアルです」

「そして、そのリアルに今、システム領域という真実が重ね合わせられるというわけですね……!」

 

 きっかけがどうであれ、たしかに現代、ダンジョン聖教は一つの立派な宗教として確立されている。そしてその教えは多くの人の心の拠り所となり、きっと救いにさえなっているんだろう。

 そんな人達にとっては、それこそが現実であり真実なんだ。システム領域とか、この世の真実なんてものはある意味関係ないっていうか、教えを補強するツールに過ぎないというか。

 

 正味、それはそれで一つの正しい心の動きだろう。世界の真実を広く流布する気がこちらにない以上、ダンジョン聖教の教えに対していやそれ違うよとか言う権利も義務も筋合いもないしね。

 そして同時に、ダンジョン聖教の象徴的存在たる聖女がこのことを知り、秘密裏ながらシステム領域を神と定義づけることにもまた、物言いをつける筋合いはないわけだった。

 まあ、開けっぴろげにしないではいただきたいけども。

 

「無論、ここで得た真実についてはダンジョン聖教の発端と併せて聖女にのみ伝える秘奥といたします……御堂さんのところの宗教とも協力するつもりはありません。お互い、見ているところは微妙にズレているはずですから」

「それは………むう、残念ですがそのようですね。我々救世の光はただただ愚直に我らが救世主山形公平様を神として崇め奉りますが、あなた方ダンジョン聖教は……とどのつまり、教えをこそ崇めているのでしょう。それも立派な宗教の在り様ですし、ただ神の定義が著しく重なったことをもって伝道といたしましょう」

「ご理解いただき何よりです。そう、我々の拠り所は神を讃え、日々を敬虔に生きるために在る教えそのものなのです」

「えぇ…………?」

 

 なんだかこう、いい雰囲気? みたいな空気で救世の光とダンジョン聖教の間に相互理解が発生している……

 香苗さんとは別ベクトルでシャルロットさんも大概、御自身の宗教に対して熱心だよなあ。さすがは七代目聖女だよ、うん。




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