攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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人生謳歌しまくってるなあ、あの伝道師

 信者さん達とのまさかの遭遇、軽い交流という突発イベントがあったとはいえ、予定通りに行くと今日はダンジョン探査する日だからね。

 そこはちゃんと分かってくれていたみなさんに見送られる形で、俺と宥さんは談話室を後にしたのである。

 

「行ってらっしゃいませ救世主様! バンザーイ!」

「バンザーイ! 救世主様バンザーイ!!」

「ご武運を救世主様! バンザイ、バンザーイ!!」

「怖ぁ……」

 

 万歳三唱してくる信者さん達の御声援を受け、ありがたさ半分怖さ半分ってところだ。いや嘘、ほぼほぼただ怖い。

 至って普通の探査者さん達って感じで、表面上は町中で見かけたとて違和感も一切なさそうな感じなのに……それが俺を見かけるとああなるってんでしょ? 何がどうしてああなった。

 

 げに恐るべきは伝道師さんの伝道力というわけか。

 ううむと唸る俺に、宥さんはクスクス笑ってきた。

 

「うふふ、ありがとうございました公平様。先ほどの信者の方々とはたまたま出くわしたので救世主様の素晴らしさについて語っていたのですが、正真正銘のリアル救世主様を目の当たりにしたことでとても喜んでいますよ」

「リアル救世主……」

「ちなみに今しがたのやり取りは当然記録しています。これまでにほとんどなかったであろう救世主様と信者との触れ合いですもの! これはぜひとも救世の光チャンネルにて後日、私が責任を持って語り継ぎたく思いますので! よろしくお願いします!!」

「アッ、ハイ」

 

 なんの責任なんだよう、と言いたくなるのはぐっと堪えて──反応すればするだけドツボ踏みそうだ──楽しそうに笑う宥さんを見る。

 いつも通り、亜麻色の髪をたなびかせる清楚を絵に書いたようなお姿。暖色の縦セーターにクリーム色のロングスカートとこれまたお上品な出で立ちながら、その右手には身の丈程もある大きく分厚い盾を持っている。腰には剣も提げており、なんだか女騎士って感じでもあるね。

 

 宥さんとは以前に探査したことがあるけど、主な動き方が前衛にて盾で敵の攻撃を受ける、いわゆるタンクだった。

 もちろん隙を見て剣で攻撃もするんだけど、それ以上にどデカい盾を豪快に振るいシールドバッシュを敢行する、意外なパワーファイターっぷりも見せるのがこの人の探査者としてのスタイルである。

 

 つまりは同じ前衛同士、俺とも連携はダイレクトに噛み合う形になる。

 今日の探査もできれば後方からカメラ撮影とかじゃなく、せっかくだし二人パーティで行きたいなーって思うのでその旨を打診したところ、彼女は意外にも快く承諾してくれた。

 てっきり使徒としてカメラ撮影が優先だと思ってたんだけど。

 

「我々救世の光にとり、救世主様のご意向に沿うことこそが至福。撮影ももちろん教えを広めるために必要不可欠ですが、だからといって公平様からのお求めに応えないのは本末転倒もいいところ。それこそ使徒の名折れです」

「は、はあ」

「……それに、私個人としても公平様と二人きり、肩を並べてダンジョン探査はしたいですし。現状、普段はお互いそれぞれの探査活動がありますから、こうした機会もなかなかありませんしね。うふふ!」

「そ、そうですね! いやあ、えへへへ!」

 

 そう言ってお茶目っぽく笑う宥さんがかわいいので、俺としても照れつつ笑い返す外ない。

 使徒やら伝道師やらとしての心構えはともかく、たしかに宥さんと探査者生活上のスケジュールが被ることってあんまりないんだよね、現状。

 

 何しろ俺ちゃんは平日は放課後、土日は気が向いたらふらっと探査するという塩梅で、宥さんも大学生としての側面もあるから授業を受ける傍ら、空いた時間などに探査をしている。

 そもそも活動範囲も地元メインの俺と隣県まで跨ぐことがザラにあるっぽい宥さんとでぜんぜん違うしね。どうしても今回のような機会は少ないってのが現状のところだよ。

 

 これがたとえば、俺が高校卒業したりして大学に行くなり専業探査者になるなりしたら、俺のほうから宥さんに合わせられたりもするだろう。

 その頃には宥さんも大学を卒業されてるだろうしね。そしたら今よりかは頻度高く、一緒にダンジョンに潜ってたりすることも可能性としてはある。

 

「そう考えると、ほぼ毎度毎回必ず俺の探査に同行する香苗さんは地味にとんでもないですね……しかも自分の探査活動もきっちりやってるようですし」

「彼女のスケジューリング技術は勉強になりますよ、公平様。あなた様を主軸にしつつけれど他を蔑ろにしない程度に予定を組み、かつ自身のプライベートな休息時間も十分に取っていますから。さすがは伝道師と言うしかありません」

「なるほど……」

 

 何がどう、伝道師でさすがなのかは知らんけど。香苗さんのスケジュールを組む能力が極めて高いっぽいのは、宥さんのお言葉からでも十分に窺えるね。

 これもある種のワークライフバランスと言うべきか……実務と私生活と趣味、趣味? まあ信仰生活とのバランスを高いレベルで維持できているその手腕は、彼女がS級探査者であることの理由の一つでもあるのかもしれなかった。




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