攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
サクッと適度な難度のダンジョン依頼を一件、見繕って受付にて申請する。
今回やりたいなーって思ったのは隣町の住宅地は車道のど真ん中にできたというB級ダンジョンだ。
階層は13、部屋数は42。概ね1階層につき三つ四つは部屋がある塩梅の規模だ。
普通なら行き帰り合わせてほぼ一日仕事になりそうなんだけど、帰りはほら、空間転移でサックサクだからね。出会うモンスターもそんな時間をかけずにスムーズに進行するのであれば、おそらくは昼頃には探査完了できそうだなーってくらいのものだった。
「……お待たせいたしました、山形さん。問題なくダンジョン探査依頼受諾の処理ができましたのでよろしくお願いします」
「あ、はいー。ありがとうございまーす」
「史上最速のA級探査者になることさえ見えてきている、大ダンジョン時代が産んだ超天才。その御力をぜひ、存分に発揮していただければ幸いです。では、がんばってください」
「えぇ……?」
などと、受付の人とやり取りを経ての依頼受諾から全探組の外へ。
いきなりとてつもない持ち上げられ方をしてしまって、こちらとしてはまた信者かよ!? と身構えちゃったけど、あの感じは別に救世の光とは関係なさそうだったのが地味に謎で首を傾げる。
特に救世主扱いとかもなかったしなあ。
なんで? 怖ぁ……と疑問符が浮かんでは消える。
そんな迷える俺ちゃんに、使徒宥さんは何やろ満面の笑みとともに説明してくれた。
「私ども救世の光とはまったく別口に、全探組内でもやはり公平様の注目度は高いんですよ。何しろデビューなさってからここに至るまでの経緯と経歴が、誇張一切抜きにして前代未聞ですもの」
「は、はあ。そりゃまあ、ここまで濃厚すぎる半年を過ごした探査者もいないんじゃないかなーって気は、してますけど」
「新人でありながらもありえないほどの強さで、C級モンスターを皮切りにB級やA級、果てはS級モンスターでさえも容易く抑え込む圧倒的な実力。しかも世界的知名度と実力を誇る歴史的探査者とも多数、縁を結ぶそのご活躍は……外勤内勤問わず探査者すべての注目の的なことはもちろん、やはり組織上層部の目も惹くということなのです!」
「お、落ち着いて……宥さん、どうどう……」
話しながら次第に宥さんのテンションが高まっていくのが怖い。歩きながらもどうにか、彼女を宥める。
いっそ光るしかないのかとも思ったけどそれは最終手段としたい。なぜなら今は駅に向かって町中を進む道中、当然ながら道行く人もそれなりにいる。
衆人環視のなかではなるべく光りたくないのだ。当たり前だけど羞恥心はあるからね、俺にも!
そんな必死さゆえのお願いもあり、宥さんも多少落ち着きを取り戻してくれた。香苗さんだったらたぶんそのまま句読点が飛んでいたあたり、同じ狂信者でもやっぱり性格とかスタンスの違いってあるよなあ。
「失礼しました。ですが公平様、あなた様のことは信者以外の方々も高く評価していることは承知していただいたほうが良いかもしれません」
「えぇ……?」
「"大ダンジョン時代の至宝"。"探査者の一つの極点"──"時代が求めた救世主"! 探査者評論家達も、見る目のある方であればそのように評しているのです。あなた様を、正しく評価している人はきっとあなた様が思う以上に多いんですよ」
「こ……怖ぁ……」
どこの評論家だ、若干どころか半端なく厨二チックな物言いを!
俺宛じゃなければちょっと良いなその表現、とか心の隅っこに未だ息づく14歳俺ちゃんが疼いちゃうだろ!
救世の光関連以外のところでも、それなりに評価されているらしいんだけどそんなこと言われてもなあって感じだしなんとも言えない。
至宝だのなんだのと。大ダンジョン時代にとってそれを指すのであれば本来、この世界で古今東西活躍してきたオペレータ一人一人がそう呼ばれるべきだろうに。
まあ、言いたい人は言ってくれると良い。別に貶されているわけでなし、悪いことを言われているわけでなし。
裏腹にアンチさん達だって相応に無茶苦茶な難癖つけてるんだろうけど、そういうのと併せて俺は関与しないよ。他人の評価や物差しに物言える立場や筋合いでもないからねー。
「見えてきましたね、駅。ここから三つ分、先の駅まで行って」
と、話も一段落したあたりで駅も見えてきた。そろそろお仕事モードだ、心のスイッチオンをする。
今回は何度か探査をご一緒している方とのパーティだ。互いに多少は気心を知ってるけど、慣れ親しんだコンビネーションを取れるってほどでもない。
この探査でのバトルのなかで、俺自身の周囲との連携を取る能力なんかも高めていけたら良いな。
そう思い、宥さんを見る。彼女も先の雑談から一転、引き締めた顔でこれからの道順を説明してくれた。
「改札を降りて少し歩いた先、住宅団地の中にある公園前の車道ですね。不肖望月宥、心してお伴いたします」
「そう気張らずとも。いつも通りにやってもらえれば、俺もいつも通りにやりますし。結局それが一番力が出るのかなーって最近は思いますよ」
「気負いは力みを生み、力みは焦りを生み、焦りはミスを生みますものね。御助言、ありがとうございます」
だらけるのはアレだけど、気合い入れすぎるのも良くない。基本はいつも通りに、リラックスしてやっていこう。
きっとそれがベストなんだろう。そううなずきあって、俺達は電車に乗るべく駅へと歩いていった。
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