攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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うぁぁぁ……こ、公園で熊と甲冑がシーソーゲームしてる

 ダンジョンの仕様について、いくらか宥さんにもご理解してもらえたすぐ直後、俺達は通路を抜けて部屋にあたる広い空間に出た。

 もちろん周辺情報を読み取ったダンジョンだ、いつも通りの土塊であるわけがない。通路がマンションに挟まれたアスファルトの道なら、部屋は部屋でこれまた特徴的な状態になっていた。

 

「公園……どこでも見かけるような、ごく普通の公園ですね」

「壁がフェンス、上を見上げれば変わらずの青天井。なるほど、面白いテクスチャの貼り方をしてるなあ」

 

 俺と宥さんがお互いに感想を言い合う通り、まさに公園がそのまま部屋に適用されていたのだ。

 フェンスに囲まれた中に砂場があり、シーソーがありブランコがあり滑り台があり、と。遊具まで設置されているんだから、偶然の産物とはいえ結構凝った造りである。

 

 普通のダンジョンの部屋には、当然ながらこんな遊具の類は置いてない。

 つまりはこのダンジョンのコアはこうした設置物まで含めて地形情報として読み取ったわけだ。そしてもっと面白いのが、モンスターがそこで遊んでるってところかなー。

 

「ぐるるるるるる」

「────! ────!!」

「あれは……アイアンベアがシーソーの左端で怠けていて……」

「それをゴールデンアーマーが、右端に乗っては向かいのクマを持ち上げようとしていますね。なんだか童話めいた光景です」

 

 モンスター2体が、シーソーを巡ってあれやこれやしている。なかなかファンシーな光景で写真撮ってSNSに上げればバズりそうなんだけど、その実アイアンベアもゴールデンアーマーもB級のなかではかなり危険なほうのモンスターだってのが罠だな。

 

 特にアイアンベアはその名の通り、毛に覆われた皮膚が全身鋼鉄製というサイボーグみたいなことになってる熊さんだ。

 しかも体長2m以上は普通にあって野生動物としてのスピードもパワーもあるから、B級探査者であってもこいつに出くわしたらやり過ごすか逃げるかするのが推奨されていたりする。

 つまりほとんどA級モンスターなんだな、これが。

 

 ちなみにゴールデンアーマーもB級モンスターの上澄みで、A級のプラチナムアーマーから始まるいわゆる"アーマー系"の一種だ。

 このアーマー系を単独で倒せればその級における上位レベルに入れる……なんて言説もまことしやかに囁かれているほどに強い部類のモンスターでもある。

 

 以前はアンジェさんがプラチナムアーマー相手に一騎討ちしてたっけな。

 あの人をもってしてもそれなりの苦戦を強いられる程度には強いモンスターがプラチナムアーマーであり、その下位互換なのがアーマー系モンスターなのだった。

 

「そんなのが2体、遊んでるのは遠目からだとほっこりしますけど……これでも地上に出たり、そうでなくとも人間に気づけば敵意は剥き出しですからね。できることなら放置は避けるべきです」

「はい。そしてあのモンスター達の魂を浄化し、この世界の輪廻に受け入れること。それが公平様達システム領域の使命であり、彼らにとっての真なる救いでもあるのですよね」

「まあ、そうですね。現世倫理の善悪とまったく関係ないところで、彼らはモンスターである限り永遠にこの世界の異物にすぎないですから」

 

 世界の真実を知っている宥さんゆえに、しっかりとこちら側の立場も斟酌してくれるのがありがたい。

 モンスターの正体である異世界からの魂であるとか、ソレらを浄化しこの世界の輪廻に受け入れることなんてこと、現世の人間からすればまるでどうでもいい話だろうにな。

 

 前にも述べた気はするんだけど、そのへんのモンスターやらシステム領域の事情なんてのは現世が知るべきことでもなければ気にするようなことでもない。

 大ダンジョン時代が始まって以降、モンスターによる被害者も大勢いて。それに対する怒りや憎しみ、復讐心を持つ人達だって比例するようにたくさんいるだろう。

 

 彼らのことを思えば、とてもじゃないけどモンスターを被害者として救済しようなんてことを聞かせようとは思えないし……ましてや付き合ってほしいとか手助けしてほしいなんて言えるわけもない。

 負の感情を肯定する気はないけれど、否定する気もない。システム領域だけが気にしておけばいいことを、無理に付き合わせるつもりはないのであった。

 

「ですから宥さん。あなたもあまり、俺達に引きずられないでくださいよ? あなた方にはあなた方の戦う理由があるはずで、それが私達のスタンスと相容れるものでなかったとしても……それこそが尊重されるべき尊厳の一つですから。現世の足を引っ張るつもりはシステム側にはありません」

「ありがとうございます。ですが、私も端くれですが使徒として世界の真実を知る身です。そうであるならば、救世主様の行われる偉業のお手伝いをしたいと思うのは至極当然の話ですから」

「えぇ……?」

 

 まあ救世の光の人達は割と、頼んでもないのに向こうからやって来るんだけどね!

 事情を知るゆえにお手伝いをと思ってくださるのはありがたいけど、それが結果的に"使徒として救世主の偉業とやらを支援する宗教活動"に変換されてるっぽいのはどういうことなんだ。

 

 なんていうか、着実に宥さんが香苗さんにも並び立つ信者になりつつある気がしてならない。

 怖ぁ……伝道師がもう一人増えた気分だ。




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