攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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師匠相手でも当然!伝道だッ!

 概ね2時間ほどかけての探査。B級ダンジョンを二人で探査する上で、予想される一般的なスピードよりははるかに迅速な勢いで俺と宥さんは最奥へと辿り着いた。

 道中、お互いに連携を取り合ってあれこれ試行錯誤しながらの戦いを繰り広げたけど……やはり結果としては望月宥という探査者が、防御面においては相当な技術を有しているという実感をより深いものにしてくれたよ。

 

「宥さんは実力的にはもう、B級探査者クラスと言ってもいいくらいですね……あとは実績を積めば良いのと、やっぱり火力面を補えばA級も見えてくる感じでしょうか」

「ありがとうございます! ただ、A級にもなると私以上に防御に長けた探査者もたくさんいますから……短所を補うばかりでなく、長所も伸ばしていけたらと思います」

 

 最深部の柱からコアを取り出し、一息つきつつの総括。今はまだ実力はあれど実績が不足している彼女は、今後積み重ねながらもまだまだ高みを目指していく心意気に溢れている。

 特にA級になってからの方向性に関心を抱いているっぽいのは、彼女のみならず探査者という職業においてそこが一つの境界線とされているからだろう。

 

 A級探査者。

 探査者界隈におけるメインストリームと呼ばれるそうなその領域は、香苗さんや宥さんに言わせるとB級までとは異なる空気の世界になっているらしい。

 層が厚く、トップとアンダーの実力差もそれ以前の級にもまして大きいから、独自の社会を築き上げているんだそうな。

 

「A級探査者内にのみ伝わる文化や技術、技法もあったりするそうです。そうしたものを身につけて、A級ダンジョンを踏破しているようですね」

「へえ……香苗さんやアンジェさん達も身につけてるんですかね、そういうの? A級以上の方々の動きが、B級までの方々とは根本的に違うのは理解してますけど」

「伝道師香苗はいくつか、マインドセットに関わる技術を身につけたとは言っていました。いろいろあるので必要なものと必要ないものを選別して身につける、それもまたA級探査者としてやっていく上で大切なことです、とも」

「本当にいろいろありそうなんですね……なんだか気になってきましたよ」

 

 思えばA級探査者って分野については、俺自身がまだ至ってないことからもまるで知らないことだらけだな。

 A級ダンジョンやA級モンスターの攻略に合わせていろいろと特有の技を編み出しているみたいだし、正直なところ興味はある。

 

 かつてはそこのトップランカーだった香苗さんや、今現在のトップランカー候補であるアンジェさんやランレイさんにまた今度、お伺いしてみても良いかもね。あ、ソフィアさんやヴァールも良いかも。

 それら技術や技法が実際に俺に適しているかはともかく、大ダンジョン時代のなかで培われてきた人間達の努力の一つの到達点を知るのは、きっと悪いことじゃないだろうから。

 

「俺もこのペースだともしかしたら、今でなくとも何年か後にはA級になってるかもしれません。その時に必要な技法があったりしたら、身につけていけたら良いですね」

「はい! そして御身がA級になった暁にはぜひ、今回のようにパーティを組ませていただければ至極光栄に存じます、救世主様!!」

「怖ぁ……」

 

 やはり使徒仕草だけは怠らない、立派な救世の光信者さんなところはともかく。

 宥さんはもちろん、俺も一応A級になりそうとか世間様にもご評価頂いているわけだし、そうなるといずれお互いに探査者界隈のメインストリームに足を踏み入れることにはなるだろう。

 

 その時にまた、こんなふうにして探査ができれば良い。そしてきっと今よりずっと成長して進化した姿を、お互いに讃え合えるように。

 そうなれるように研鑽だけは怠らないでやっていこう。それもまた探査者たる者の使命であり責務なんだから。

 

 顔を見合わせてうなずく。俺も宥さんも、今回の探査でいろいろ得るものが多かったよ。

 さあ、帰ろうか! 俺は神魔終焉結界の機能をもってワームホールを展開した。つなげた先はもちろんダンジョンの出入り口手前。

 2時間かけた道程を、一瞬で引き返すチート権能である。宥さんも慣れたものながら、相変わらず変に感動した様子で俺に言ってくる。

 

「さすがです公平様……! 今しがた言ったA級特有の技法でもこれほど有用で便利な奇跡の御業は間違いなく存在しません!」

「あ、あはは……まあそりゃ、空間転移級の代物がそう編み出されることもないでしょうし」

「私の師匠も言っていましたが、救世主様の御力はA級探査者が編み出してきた小手先の技術群をはるかに凌駕してるとのこと! S級探査者の方々と肩を並べ、S級モンスターをも圧倒するその実力は、すでにA級にすら収まらないと私が伝道を行う中でも讃えてくださっていました!!」

「あなた自分の師匠に何してるんです!?」

 

 怖ぁ……この人、自分を指導してくれた人にも躊躇なく新興カルト宗教の布教を行ったのかよ。滅茶苦茶嬉しそうに笑う宥さんに、唖然とせざるを得ない俺。

 この人ホント、香苗さんに負けず劣らずぶっ飛んでるよなあ。たおやかで楚々とした姿の裏に潜む狂信ぶりに、俺は思わず冷汗を流した。




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