攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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空前の新人探査者ブーム(ただしシャイニング山形は除く)

「今、彼女達に話しかけてたのは何も怪しい勧誘とかじゃないんだ。ここ数ヶ月ほど、関西でデビューした探査者には大体声をかけさせてもらってるんだよ……不快な思いとか、誤解をさせてしまったなら申しわけない」

「え。あ、いえ。別に俺が直接勧誘されたわけじゃないですし……」

 

 爽やかに爽やかを重ねて爽やかで割った、みたいな。

 つまりは爽やかなイケメンである姫城さんは、苦笑いして身の潔白を訴えるとともに俺達に向けて軽く頭を下げてきた。

 

 本当に、他意や悪意あっての勧誘行為ではなかったみたいだ。いや、そもそも疑ったりとか以前の話で何が何やら俺にはさっぱりなんだけども、それでも誠実さだけは伝わってきた。

 おかし三人娘や精霊知能達も特には気にしてないみたいだし、まあ問題ある話でもないんだろう。ただ一点、ちょっぴり気になることがあったので俺は思わず尋ねていた。

 

 ここ数ヶ月、関西でデビューした探査者……あれ、俺は?

 俺も若手なんですけど、特にそういうお声がかかったことないんですけど。

 あれ?

 

「あ、あのー。俺、特にそういう勧誘とかって来た覚えがないんですけど。一応その、春先にデビューしたんですけど……」

「えっ……いや、あー。君はその、ねえ?」

「ちょっといろいろ、初っ端から特殊すぎて……」

「私らが声をかける前から、もう御堂さんが青田買いしてたからねえ。さすがに当時A級トップランカー、今や最新のS級探査者なんて雲上人に横槍は入れられないよ。ましてや君、あのチェーホワ統括理事の秘蔵っ子なんでしょ?」

「えぇ……?」

 

 なんてことだ、すっかり同期まわりの探査者達から距離を置かれていた! でもさもありなん、なんなら新規探査者教育最終試験の時点から始まってたもんな、救世の光。

 他にも成り行き上仕方なかった話だけどソフィアさんと近しくなったことなんかも併せ、俺はやはり完全に浮きまくってる新人ちゃんみたいだ。かなしい。

 

 ……ああでも、いつぞやなんかの雑誌でも見かけたなあ。今の日本の探査者界隈は有望な若手達が各地に出現し、クランを拵えて群雄割拠の有り様だとかって記事。

 その記事のミニコラムにも"但しシャイニング山形は別枠"みたいなこと書かれてたんだ。とてもかなしい。かなしいんだけどそれはそれとして、そこから思い出したことを問いかけてみる。

 

「ていうか、もしかしてアレですか? なんか地方ごとに勢力争いしてるっていう、若手クランのあれやそれや?」

「そうそう! 今や日本探査者界隈は空前の新人探査者ブームってやつでね! 君の盛り上がり方は別次元すぎてそれは置いとくけど、それ以外にも北から南まで各地で俺達みたいな若手クランがどんどん勢いを増してるんだぜ!」

「お、置いとかないで……置いてかないでぇ……」

「パイセン、とことんまで見なかったことにされてますね。かわいそー」

 

 どうやら正解、つまりは若手クラン同志の競い合いのためのスカウトとして、おかし三人娘や精霊知能達に話しかけていたみたいだ。

 

 なんだけど、やはり俺の存在は何やら見て見ぬふりをされてる感じがするよー?

 ガムちゃんが見かねたのか、俺の肩に腕を回して抱き寄せるようにぽんぽんと慰めてくる。

 この器の大きさよ、これが覇王忍者かあ……

 

「もういっそパイセンもこの覇王忍者の一派に加われば良いんですよ。おかし三人娘+パイセン、ハーレム救世主の面目躍如にもなりますし良いんじゃないですかね?」

「嫌ですけど!? いや君達が嫌なわけじゃないけどハーレム云々は誤解だから」

「望月さん侍らせといて、しかもシャーリヒッタちゃんやらミュトスさんみたいな絶世美人までファミリーにしといて何言ってんすかパイセーン。リーベちゃんからダンジョン探査行ってるって聞いてましたし帰りでしょ? どーせこの後午後いっぱいはデートするんでしょパイセーン。覇王忍者にはお見通しですよパイセーン」

「怖ぁ……ま、まあ報告してグッバイはさすがに味気ないから……」

 

 ナチュラルに勘が鋭い上に勝手に一派に巻き込んでくる……これが覇王忍者かあ……

 耳元で囁きながらもニシシシ! といたずらっぽく笑うガムちゃんはなんとも年相応だけど、これで俺が見るところ探査者としてはかなり将来有望な天才肌ちゃんだから侮れない。

 

 覇王忍者と自称するところからも分かるように、この子のメインスキルは《忍術》だ。

 火水木土の四属性を起点にした遁術を駆使してまさしく忍者のごとく戦うスタイルは、今はまだレベルが低いけど実力をつければつけるほどに真価を発揮していく、可能性の塊のような探査者と言えるだろう。

 

 そんな彼女とパーティを組むチョコさん、アメさんもまた、それぞれに個性的かつ天才的な才覚を持っている。

 武芸百般にすさまじい適性を持つチョコさんであったり、概念存在に愛される素直さと健気さ、素朴さ純粋さを備えるアメさんだったりね。

 

 つまりは俺とか精霊知能みたいなインチキ枠を除けば若手さんや新米さんの中でも随一、成長性を秘めた才能の塊トリオと言えるだろう。それがおかし三人娘だ。

 まあ、最初の頃はそれぞれてんで噛み合ってなかったんだけどね。それでも紆余曲折を経て強い絆で結ばれている彼女らに目をつけたってのは、ええと関西若手探査者の集いだっけ、の姫城さん達も見る目があるよ、実際。




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