攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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上司との面談は嫌だー!!(切実)

 いつまでもリビングに陣取って雑談するのも、夫婦水入らずに悪いってことで俺ちゃんは自室に移動した。

 リーベ、シャーリヒッタは優子ちゃんと一緒に部屋に戻ったものの、ミュトスとアイは俺のほうについてきている。

 

 特に何をするわけでもないんだけど、ミュトスとは一度、いろいろ話したいこともあったので好都合だ。

 こないだの決戦にて最終覚醒を果たして以降、特に異常があるわけじゃなさそうなんだけどヒアリングくらいはしときたかったからね。

 

 自室のベッドに腰掛ける俺と、椅子に座るミュトス。

 できる限り場を和ませられたらと、アイも彼女の肩に乗ってくつろいでいる。

 しばしの沈黙、からの俺は切り出した。

 

「そんな重苦しい話し合いじゃないしリラックスして、雑談に興じるくらいの感じでいいよ、ミュトス。完全に精霊知能として成立した今の君に、いくらか確認したいことがあるだけだから」

「は、はひぃ……」

「きゅう……きゅう、きゅうー」

 

 まったくシリアスな話をするつもりもない。あくまで調子はどう? くらいのノリなんだけどミュトスからするとやはり、緊張はどうしてもしちゃうみたいだ。

 この子からすると、ワールドプロセッサと同格ってことで俺も大層な上位存在に見えているのかもね。立場上仕方のないことなんだろうけど、あまりガチガチだとこちらとしても申しわけないな。

 

 アイがミュトスに、落ち着いてー大丈夫だよーとでも言うように前足でほっぺをツンツンしている。反応したミュトスが目をやれば、愛らしく鳴き声を出して頬擦りしていくこのコミュ力よ。

 こういうところ、いかにもマスコット向けな愛され力だね。WSOの公式マスコットは案外、これからのこの子にとって天職と言えるものかもしれなかった。

 

「ちょっとは落ち着いたかな? どうしてもソワソワしちゃいそうなら言ってほしい、一発光ればマシになるかもだし」

「あ、いえいえ! アイちゃんのお陰で少し、落ち着けました。すみませんコマンドプロンプト様、お気遣いいただいてしまいまして」

「こちらこそごめんな? ……ええと、じゃあさっそく本題に入るんだけど、ウーロゴスをすべて取り戻して完成体になった今、何か心身や魂の体調面に異常はあるかな?」

「な、ないです! まったくこれこの通り、生まれ変わったミュトスちゃんは元気モリモリ森の助! です!!」

「きゅう……?」

 

 変に緊張させっぱなしなのも良くないし、ちゃっちゃと聞くべきを聞いて、さっさと終わらせてゲームかなんかでもして打ち解けようかな。

 そう思ってさっそく本題の質問を開始する。これまで、俺のコマンドプロンプトとしての目から見てきたけど外観面では異常の見られなかった、彼女の心身および魂についてだ。

 

 俺が見る限りの感覚と、彼女自身の感覚は当然異なるからね。パッと見大丈夫、ヨシ! なんて軽々に判断できることでない以上、結局はミュトスの自己申告がメインになってくる。

 まあ、そちらも問題はなさそうだけどね。満面の笑みを浮かべてモリモリなんちゃら言って、力こぶまで見せてきたよ。よもやのノリにアイが首を傾げている。

 

「そ、そっか、問題はなさそうで何より。じゃあ次、フルパワー、つまり《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》を発動した際の出力、君の感覚ではどのくらい維持できる? 奥義を一発放ったら終わりって感じなのかな」

「ん……そうですね。仰る通りに、ウルティマ・ミュトス・マキシマムを放つとその時点でスキルの維持はできなくなると思います。何もせずとも保って3分くらいでしょうか?」

「やっぱり。明らかに精霊知能の枠さえ超えてた出力だもんなあ」

 

 次の質問、ずばりミュトスの最終形態ことミュトス・トリニティ──三界機構の力を束ね、同時顕現させるスキルを用いての奥義について。

 それを維持できる時間を尋ねれば、思っていた通りの答えが返ってきて俺はうなずく。あれほどの力、そりゃ何もせずとも消耗していくよな、当然。

 

 ミュトスに組み込まれた、三つの異世界のワールドプロセッサ。今や欠片程度だが、それでも一体だけでも極めて大きな力を誇るそれを、同時行使して顕現する最終フォーム。

 放つ奥義の威力は絶大で、それこそ俺の防御さえ貫通しかねないほどなんだけど……反面、消耗も半端ないってレベルじゃない。ほとんど自爆に近い速度で、何もせずともエネルギーを消費していくんだ。そりゃ数分程度しか保たないよな。

 

「とにかく消耗がもう激しくて激しくて。三界機構の御三方の力をまとめてお借りしているんですから、当然ではありますけども」

「その分、威力は折り紙付きどころじゃない……か。使い所によっては極限倍率の俺にさえダメージを与えられる力だ。くれぐれも安易な場面で使わないようにお願いしたい」

「もちろん承知いたしておりマッスル! ……いやー、私としても実際、あそこまでおっかないし疲れるような形態早々披露したくもないですし。普段は《イミタティオ・トリニタス・コスモス》で、どうしようもない時だけミュトス・トリニティに頼ろうかなと思います」

「それが良いよ。一体分だけなら今のミュトスだと、ほとんど自在に扱えるはずだし」

 

 三体同時行使のトリニティはあくまで最後の切り札。

 普段は一体ずつの《イミタティオ・トリニタス・コスモス》を使うし、ほとんどの敵はすべてそっちだけでもいけるはず。

 

 ミュトスの見立てはさすがに正確で、俺もそれに賛同した。強すぎる力はそれはそれで厄介だからね。

 彼女の理性の強さと周囲への配慮、気遣いと判断力の正しさが光るよ。




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