攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ヴァール的には過去一、気が楽だったモンスターハザードかも知れねェ……

 いよいよ始まった宴。乾杯の音頭が終われば、あちらこちらでグラスを響かせながら互いを労う声が盛大に聞こえてくる。

 それはもちろん俺と周囲も同じで、まずは精霊知能達とグラスを軽く、ぶつけ合ったりしていた。

 

「かんぱーい! お疲れ様です公平さーん!」

「お疲れ様だぜ公平サン!」

「お疲れ様! リーベにシャーリヒッタ、ヴァールにミュトスも!」

「うむ、みんなよくやってくれたな」

「へへへへお疲れ様ですぐびぐびぐびぐび、ぷはーっおかわり!」

「早っ!?」

 

 即座にジョッキを飲み干してもう一杯! と叫ぶミュトスがアレすぎて怖いけれども。それはそれとして今回もみんなよく頑張ってくれたよと心からのねぎらいをかける。

 ウーロゴス──ミュトスの権能を巡っての一大騒動。結果から見れば倶楽部案件をも含めて大きな流れに乗った今回の事件だったけど、こうした形で円満に、大団円な解決に着地できたのは何よりの幸いだよ。

 

 そしてもちろん、その気持ちはお隣さんのダンジョン聖教のみなさんに対しても同じだ。

 いろいろ協力だったり対立というか意見の相違もあったりしたけど、事件解決に向けての方向性は同じだったからこそ最終的には一致団結してともにアレクサンドラ捕縛に向けて動けていたわけだからね。

 そうなればもう俺達は仲間同士だ。遠慮なく、グラスをみなさんへと差し出す。

 

「神谷さん、オールストレムさんにウィリアムズさんも。お疲れさまでした、なんか大変でしたねーあちこちで変なのが暴れちゃって」

「山形様……はい、お疲れ様でした。それでも無事に解決に至れたのも、あなたを始めとするこの国の探査者の方々が力を尽くしてくださったからです」

「先ほどの今で私が言うのは憚られるが……日本の探査者達は素晴らしいプロ集団だと思い知った。個々の実力ももちろん、組織だった連携も問題なくこなせる練度の高さは騎士団も大いに見習わせてもらいたい部分だ」

「探査者界隈のメインストリームはヨーロッパ圏である、という風潮は未だに広く根付いていますがそれもじきに払拭されるでしょうね。数多くの実力者を持つこの極東の島国日本こそ、次代の大ダンジョン時代に覇を唱える地域と言えるかもしれません」

「そ、そうなんですか? 怖ぁ……」

 

 先々代聖女の神谷さん、騎士団長のオールストレムさん、そして騎士であり神谷さんの護衛のウィリアムズさんともグラスを交わす。

 御三方ともお酒だね。宗教さんによってはお酒周りは駄目みたいなところもあるかもだけど、ダンジョン聖教については特にその手の禁止事項もあまりないみたいだ。さっそくテーブルに盛られているお肉やらお刺身やらにも手をつけ、食べ始めている。

 

 さておきそんな彼ら彼女らから見た、日本の探査者達への評価が鰻登りでなんだか嬉しくなるねー。

 海外から助けに来てくれた方々ももちろんながら、今回は現地の探査者とか全探組も頑張ってたもの。

 

 そうした功績がきちんと評価されているのは、我がことのように嬉しいよ。もちろん、非能力者であっても警察機構の方々も手を尽くして探査者達と連携してくれていたし……

 誰もがそれぞれにできる最大限を尽くした結果の、この大勝利ってことなんだろう。オールストレムさんが続けて、厳しい顔に笑みを浮かべて語る。

 

「加えて言うならば、倶楽部事件発生の時点でWSO統括理事と神谷様が来日されていたことも大きかったように、私の目から見て思う。これこそが初動の速さにつながったのだろうからな」

「あー、それはあるでしょうね。来日自体は完全に別件でのことでしたし、その後たまたまバカンスとして滞在している間にことが起きたって流れですから……そう考えると、いろいろつながってるんだなあ」

「あまり喜ばしい流れとは言い難いがな。騒動に次ぐ騒動、やっとの思いで辿り着いたはずの地点が、実はまだ続きがあったような心地だよ。まあ、皆のおかげでワタシ個人の負担は少ないほうだったが」

 

 ここに至るまでの流れ、敵方はともかく味方側の動きについてはぶっちゃけ、春から始まったアドミニストレータ計画からして端緒となっているところはある。

 アレの絡みでソフィアさんとマリーさんが来て、後始末的な形で神谷さんとサン・スーンさんが来て。で、ついでにバカンスだーってやってるうちに倶楽部が動き出してそのままネクストバトルへ──って、流れだものね。

 

 ヴァールからすれば堪ったものじゃない。100年、いやそれ以上に亘る戦いにやっとこさ終止符を打てたと思ってたらすぐさまこれだもの。

 肩をすくめて薄く苦笑いする彼女がなんともお労しい。さすがに気を遣ってか、明るくリーベが取りなすように声を上げた。

 

「戦力は早々に充実してましたからねー。S級さんが何人もいて、おまわりさんとも組織的な連携が取れてー」

「トドメに公平サンがいてくださるんだ! ……正味な話よ、ヴァールの肩の荷も相当軽かったんじゃねェか? オメーにとっちゃ100年の現世生活で初めての目上だしなァ」

「む……ふふ。まあ、本音を言えばな。あまり吹聴はできんが、心理的な面でずいぶん山形公平には寄り掛かっていたところがある。この方がいてくださるなら、何があってもフォローしてくださる、とな。ああ、そういう意味では救世主だな、たしかに」

 

 小声でシャーリヒッタも気さくに笑いかければ、肩の力を抜いてリラックスした様子で、今度はハッキリ見える形で微笑むヴァール。

 さすが姉二人、妹のケアもバッチリだね。俺としても、この子がこれ以上負担に苦しむくらいならどんどんこちらに寄りかかってくれて良いと思うよ。

 そのくらいしなくて、なんのための今ここにいる私だってなるからね。




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