攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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太平洋のベテラン達

 アンジェさんを中心として、みんなで探査に行こう的な約束が向こうでされている。そのうち俺のところにも話が来るだろうけど、基本的に参加したいなって思う。

 どこのダンジョンでやるのかについては彼女におまかせするとして、いずれにせよお互いに大いに実りある学びの機会とできれば良いなあ。

 

 現状のみなさんのお力を拝見したいし、なんなら俺自身、こないだの宥さんとの探査よろしく連携を意識した動きをより磨き上げていきたい。

 それぞれ思惑やモチベーションは異なるにせよ、メンツがメンツだからさぞかし素晴らしい探査ができるだろうってなもんだよ。

 

 その時を楽しみにしつつも鍋をつつく。しらたきの食感がプルプルしていてとても噛み応えがあって楽しい。

 お肉も野菜も美味しいし、こりゃご飯も進むよ。いわゆる白米も土鍋で炊いた、一粒一粒が煌めく真珠のような美しいご飯で噛めば噛むほど旨味と甘味が染み出てとても素晴らしい。

 

「うめぇ~、マジうめぇ! 由紀サンの料理も毎日最高なんだけど、こいつぁ別のベクトルで最高だぜ! なぁミュトス!」

「うしししし! いやもう本当にそのとおりでして、酒が進むったらありゃーしやせん! いい酒! いい肴! いい宴会! いろいろ終わった達成感もあり、くーっ! ミュトスちゃんは16杯目のグラスを傾けるー!」

「ミュトスちゃんー? リーベちゃんとの約束、覚えてますー?」

「あっ……ハイ」

「後釜からすさまじい圧を感じる……むう……」

 

 精霊知能達も美味しいご飯に飲み物にご満悦だ。基本は和気藹々と語らいながらも、それでも飲み過ぎ注意なミュトスにはしっかり釘を刺すリーベに慄いちゃったけどね。怖ぁ……

 ヴァールをして目を逸らさせたリーベがお強い。俺知ってるよ、普段陽気で明るくて優しい人が真顔で無言になったら超ビビっちゃうんだよ。ギャップもあってなおのこと怖く思うやつだコレ!

 

 背後に"ゴゴゴゴゴゴ……"みたいな擬音を纏ってそうな威圧感を出してミュトスの飲み過ぎに注意するリーベはアレだね、やっぱ精霊知能達のなかではバランサー的な立ち位置なんだろうなって感じはする。

 それはそれとして俺としてもおっかないので努めて目を逸らしつつ追加注文したお刺身なんか頬張っていると、ふとこちらにやって来た二人組が神谷さんとの間に座ってきた。

 なんぞやなんぞや?

 

「いやーあっちはみんなでダンジョン探査だなんて面白そうな話をしてるね、お若い人達は」

「え……あ、エミールさん! それにサウダーデさん!」

「うむ。若き世代の語らいに割って入るのも無粋ながら、すまないがここに入らせていただきたい……失礼、神谷先生。今回も本当にお疲れ様でした、お二人とも」

「ぽっと出に言われるのもアレだろうけどお疲れ様。君みたいなすごい新人が出てきたこと、頼もしく思うよ。ヴァールさんや神谷さんやダンジョン聖教の人達も、お疲れ様です」

 

 なんとS級探査者のサウダーデさんと、ロナルドさんが現れた! 二人ともお酒が入ったグラスを片手に俺の隣りに座り、ダンジョン聖教の御三方も含めてみんなにねぎらいの声をかけている。

 ともに探査者の頂点、そして太平洋の英傑。そしてサウダーデさんは倶楽部との戦いからこちら、お世話になりっぱなしの大先輩だ。

 

 そんなお二人相手に俺は当然、居住まいを正して相対する。特にロナルドさんはまだどんな人かもよく知らないんだし、初対面に近いんだから印象の悪い行動は慎みたいよね。

 そう考えて畏まる俺とは裏腹に、前からお二人と交流のあったヴァールや神谷さんはリラックスした様子で彼らに話しかける。

 

「ああ、お前達の助力あってこその完全勝利だ。感謝しているぞロナルド、サウダーデ。というかそろそろワタシも、ベナウィやフェイリンあたりに話しかけるか……」

「ロナルドくんとは以前一度、太平洋でフローラを交えてお話しましたね。お久しぶりです……そしてお疲れ様です。とは言え今回はあまりにも、我々ダンジョン聖教側の失態が過ぎましたので申しわけないですが」

「そんなこと……終わり良ければってわけじゃないですけど、ダンジョン聖教もたしかにヴァールさん達と肩を並べてたんでしょう? だったら今はそれで良いじゃないですか」

「ロナルドくんの言うとおりです。まして先生は率先して事態解決に動かれていたことを、俺は知っています。そんなあなた方ダンジョン聖教のみなさんと今このひととき、巨悪を退けたことを労い合いたいのです」

 

 さっきヴァールから謝らなくていいと言われていたけど、それでも会う人みんなに申しわけなくてしかたないんだろう。ほんのり滲ませる謝罪の意を示す神谷さんに、ロナルドさんとサウダーデさんはやんわりと、けれど優しく彼女を慰める。

 ともに戦った仲間として、今この時を楽しもう。それは理屈としては当然であるけど、神谷さん達の立場からするとなかなか至れないものだし、至ったとて言いにくい部分だ。

 

 それをしっかりと伝え、神谷さんに説くお二人の度量はさすがS級だしそれ以前に年輪を重ねた分厚い人間性の成せるものだと思う。

 人間としての俺も、コマンドプロンプトとしての私にもまだまだ至れない領域だなあ。こればかりはこれから先の人生、いろんなことを経験して積み重ねていくしかないってことだね。




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