攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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お知らせがありますので、ぜひぜひあとがきまでごらんくださいませー


なんだかんだで孫は可愛いおばあちゃん

 俺との会話を経て、アンジェさんに自分も参加したいと告げに席を離れたロナルドさん。サウダーデさんもそれについて行ったので、俺もそろそろちょっと移動しようかなーと立ち上がった。

 周囲はもう割とカオスな感じで、元の席にずっと座りっぱなしな人のほうが少ないくらいだ。そのなかでも見知った背中、すなわちうちの母ちゃんと優子ちゃんを見て、俺はそちらに向かった。

 

 ちなみにアイはヴァールのほうに預けてある。なんでも食事風景をカメラに収めたいとか言ってたからね。

 ミュトスなんかもう普段からだけどあの子の愛らしさにメロメロなもんで、嬉々としてカメラ片手にアイを撮影してるよ。酒をガバガバ飲みながらね。

 

「ここの料理、美味しいわねー。味付けも関西とはやっぱりちょっと違うわ」

「はふー、明日の体重がそろそろ怖いけど、でもこんなことも早々ないから食べちゃお。っていうか父ちゃん、大丈夫かな……へべれけになってない? アレ」

「あんまりご迷惑になるようならひっぱたいて引き戻すから大丈夫よ。今のところはまだ、揉めごとにもなってないみたいだしね」

「ファファファ! 御母堂さんは女傑だねえ。妹ちゃんもようく食べなよ、健啖が一番さね!」

 

 元より父ちゃんと一緒に酒飲み軍団の近くに座っていた二人だけど、その父ちゃんが抜けちゃって、なんなら近くのサン・スーンさんやらロナルドさんやらサウダーデさんも抜けちゃった形になる。

 代わりにマリーさんとリンちゃん、あとベナウィさんが陣取って相手してくれてるね。

 

 俺も三人には改めてご挨拶したかったのでそちらに向かう。

 優子ちゃんの隣、空いている席にどーもどーもと言いながらさらりと割って入ったのである。

 

「いやーお疲れ様ですみなさん。優子と母ちゃんもお疲れー」

「あ、兄ちゃん」

「公平さん! お疲れ様です、今回も大変だったけどやり甲斐あった、蹴り甲斐も!」

「はははは! ミス・フェイリンは相変わらずパワフルガールですねえ」

「うちの孫やらランレイちゃんやら若手は粒揃いだけどね、とりわけこの子が一等ぶっ飛んでるよファファファ! 若い頃にこんな子がいたら大恥かいてたろうさね、たぶん面白半分に力試し仕掛けては返り討ち食らってたろうからねえ!」

「えぇ……?」

 

 和やかムードでみんな、出迎えてくれたのは良いけどその後のやり取りがおかしい。主に若い頃のマリーさんとリンちゃんの血の気が多すぎる。

 ベナウィさんなんかはちびっ子の戯れくらいに扱っていて、そこはもちろんそうでもあるんだけどリンちゃんの場合は実力そのものがガチ勢極まってるからね。

 

 マリーさんが仰るように今現代の若手さん達はみんな、それまでの世代と比較しても頭一つも二つも飛び抜けた天才ばかりとは探査者専門誌とかネットの評判でよく見かける話だ。

 香苗さんに愛知さんは言うに及ばずアンジェさん、ランレイさんもそうだし、RTAという極めて特異な方面で活躍しているセーデルグレンさんも界隈ではかなりの人気だし、それを裏打ちするだけの実力を備えていることもこないだの決戦で示している。

 

 なんだけど、それにも負けじ劣らずの勢いでメキメキ腕を上げているのが何を隠そう、リンちゃんだ。

 さっき香苗さんや愛知さんに相談していた通り、彼女が見据える領域はすでにA級さえ飛び越えてS級にも至りつつある。はっきり言って才覚だけ抜き出しても飛び抜けてるよ。マリーさんがしきりに彼女を褒めるのも無理からぬことではあった。

 

「今年前半くらいまでは、順当に行けば次はアンジェがS級になるかもーとか内心思ってたんだけどねえ。いやはやこの子に加えて言うまでもなく公平ちゃんが出てきたもんだから、さすがに比べるのもあの子に悪いって思っちまうよ」

「えへへ、照れる……だけどマリーさん、アンジェリーナさん、相当すごいよ? 正直一対一で戦ったら、もしかしたら何もできずに負けるかも」

「ですね。相性的なものもありますけど、たしかにアンジェさんだって次のS級候補なことには変わりないと思いますよ、俺も。こないだの決戦で、彼女の底知れない大器を間近で見たので余計そう思います」

「……ん。あの奥義かい。ええと、竜断刀のナンチャラカンチャラ」

 

 孫相手には見る目の厳しいマリーさんに、それでもアンジェさんは素晴らしい探査者ですよと俺もリンちゃんも口を揃えて讃える。

 そもそも比較することじゃないってのはあるにせよ、それでもリンちゃんと比べてアンジェさんやランレイさんがそこまで落ちるとも思わない。

 

 ましてやアンジェさんなんて、決戦の際にウーロゴス相手にとてつもないことをやってのけたからね。人の身にて概念存在への攻撃を成立させ、幾ばくかなりともダメージを与えたんだから。

 顔を軽く赤く染め、視線を逸らすマリーさん。まあ気持ちは分かるよ、竜断刀奥義の名前、それこそはこの人の名前なんだものな。

 

 遠目からなりに孫の姿を見聞きしていたんだろう。

 明らかにこの人は今、照れていた。

 

「竜断刀GRAVITY奥義・マリアベール──あれは間違いなくマリーさん、あなたが探査者人生の最後に辿り着いた境地に一歩、足を踏み入れていました。アレを見たからには、アンジェさんの実力を低く見積もることなんてできませんよ、誰にも」

「いや、まあそこはさあ、アレなんだけど……まったくバカ孫が、よりによって私の名前を付けるなんざ一体どういうつもりなんだってんだか……おまけにあんな、気恥ずかしい言葉ばっか並べてくれて、まったく……!」

「……マリーさん、嬉しそう。ちょっと涙目」

「フェイリンちゃん? そういうの思っていても言わないほうが良いと思うなー私」

 

 敬愛する祖母の名を、己の技の集大成に名付けたアンジェさんの想い。それをもちろん理解しているんだろう、マリーさんは気恥ずかしそうに悪態をつきつつも、明らかに嬉しそうにそっぽを向いていた。

 その目尻には、涙……リンちゃんが思い切り指摘するのを優子ちゃんが思わず止めるくらい、分かりやすく彼女は感激し、感動していたんだね。




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