攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ホントに大学生か?ダンディマッチョ紳士!

 クランに纏わるパーティ内での話し合い。それがエスカレートして喧嘩になりかけていた逢坂さん達を、その場に居合わせた小早川さんは見かねて助けに入ったと言う。

 そして経験も知識もあるB級探査者の仲裁を受けて落ち着いたところで、彼は改めて彼らにクラン制度について説明を行っていたらしい。

 

 うーむ、後輩のいざこざを鎮めた上に問題解決まで乗りかかった船とばかりにお手伝いするダンディマッチョ紳士。

 先輩探査者かくあるべしと言うべき素晴らしい姿勢だ、勉強になるよ……思えば香苗さんも、デビューしてすぐの俺に対していろいろ言葉を尽くして説明してくれていたもんな。

 

 お陰で一応探査者らしくさせてもらっているわけだし、俺もあの人には改めて感謝しなきゃだね。

 小早川さんの姿勢に、こちらも居住まいを正す気持ちになるよ。背筋のまっすぐ伸びた角刈りのお兄さんは、逢坂さん達から経緯が語られるのに続けて言ってきた。

 

「クラン制度は古くからあるものですが、昨今の盛り上がり方に反して周知が徹底されているとは言い難いのも事実。ですので僭越ながら一応の先達として、私が可能な限りでの説明を行う流れになったのです」

「それは、すごいですね。たまたま近くにいたってだけで、トラブルの仲裁に入っただけでも素晴らしいのに。さすがです、小早川さん」

「恐縮です……幸い私はカレッジサーチャーズ所属員、すなわち探査者界隈の研究をも活動内容とする者ですからね。多少なりとも知識のある先達としては、困っている新人の力になってあげたいと思うのですよ。かつて私自身、そんなふうにして先輩方に助けていただきましたから」

「なるほど……」

 

 立派な話だ、小早川さんの探査者としての姿勢は、率直に見習うべきものがあると思える。

 カレチャでの活動もあって、そのへんの制度には他の探査者さんよりもいくらかは深く知識があったのも大きいんだろう。知っている側として、知らずに惑う後輩達の手助けをしたいと言うその姿は見事なまでに素敵な先輩だ。

 

 実際、今ちょうど俺が通りかかった頃にはもうひと通りの説明を終えていたみたいだしね。

 逢坂さんやパーティの方々がつらつらと、教わった内容を確認するように手短に俺にもクラン制度について説明をしてくれる。

 

「ええと……クラン自体がそもそも、二つ以上のパーティによって形成される共同体でして。クラン内のパーティ同士の相互支援や連携といった互助、ならびに大規模での探査活動を速やかに行うための制度らしいです」

「クランはそれぞれに特色や入会条件があって、それらは全探組から確認できるようになってます。たとえば老舗の"近畿探査者連合"ならE級以上、かつレベル100以上の探査者のみとか」

「"関西若手探査者の集い"だとデビューから2年以内のみ、かつD級以下の探査者だけが入会できるとか。あとこちらのクランは入会後、B級になったり活動10年が経過した探査者は退会するルールになってるみたいです」

「そうなんですね……クランごとで中身も違えば在り方、目的とかも当然違うのか」

 

 このへんの話は俺としても多少、気になっていたところだからありがたくも興味深い。複数の探査者が集まって組むパーティ、それがさらに複数集まって形成されるクラン──

 独自ルールの存在もあり、ある種の組織になってるわけだね。

 

 身近なところで言えばGWに行った、隣県での探査者ツアー。あの後に参加者が結成したというクランとかだろうか? 倶楽部案件が終わった後に高木さんや中島さんがそんなこと言ってたな。

 ドラゴン退治という、極めてレアなイベントがあったためか例年よりも参加者の連帯感や親近感が非常に強いツアーになったらしく、それが影響してのクラン結成となったとかなんとか。

 小早川さんも当然ながらご存知のようで、ちょうどよくそこについて言及する。

 

「最近新しく結成されたところでは"ドラゴンバスターズ!! "ですか。山形さん、あなたはよく御存知のはず。GW中の探査者ツアー、ドラゴン騒動がきっかけで組織されたクランですよ」

「あー……噂はチラホラと。なんかこう、結構活躍してるみたいですけど」

「あのツアーに参加していた者だけで構成される、年代も年季も級も関係ない特殊な成り立ち。ともにひとつの死線を越えた仲であるがゆえの連帯感はまさに破竹の勢いですね。この場で言うなら、逢坂さんにも入会する資格はあるのですが……」

 

 ちらりと逢坂さんとお仲間さん達を見る、俺と小早川さん。

 今年の探査者ツアーに参加した者だけが入れる……かなり限定的な条件だ。

 不安そうに彼女を見るあたり、お仲間さん達は参加してなかったみたいだね。なら仮にそのクランに入りたいと思っても、実際に入れるのは彼女だけになるのか。

 

 だけどまあ、逢坂さんはたぶん、自分一人だけがそんなふうにある意味で特別なクランに入るなんてことを選ぶ気はないみたいだった。

 苦笑いしつつも優しい目を仲間達に向け、信頼の篭った言葉で俺達に告げてきたのだから。

 

「ここにいる仲間達、みんなツアーには参加してませんから。私一人だけ入るわけにはいきません。宥さんも似たような理由でドラゴンバスターズ!! には入っていないはずです」

「……そうだね。たしかに、仲間は大切だ。どこにいても、どんなクランにいても、基本は自分の仲間達と一緒なんだからね」

「分かりきった話をして申しわけない、逢坂さん。君達の、互いを想い合う心。それさえあればどんなクランであろうと必ず通用するとも」

 

 クランの基本はパーティ。そしてそこに集う、気心知れた仲間達。クランありきではないのだ、当然ながら。

 小早川さんの説明を受けての心構えだろう、確固たる決意で仲間達を優先する逢坂さんは間違いなく正しい。俺と小早川さんは、微笑みうなずくのだった。




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