攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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陰キャあるある:「青春」にやたらこだわりがある

 逢坂美晴という極めて特殊なタイプの探査者が到達した、統合スキル《サバイバルマスタリー》。

 元々持っていたいくつもの支援系スキルをまとめて、さらに強化したそのスキルは、俺の目から見ても凄まじい威力を発揮していた。

 

 マスタリー系のスキルは統合スキルというだけはあり、実質的にはそのスキルの中に統合材料となったスキルが内包され、それらを都度使い分ける形になる。

 つまり使用感自体はそれまでと変わりないのだ……ただマスタリー系に共通する"スキルの効果を3倍する"効果がオートで発動しているけどね。

 

「ええと、前から持っていたスキル──《気配感知》、《気配遮断》、《ステルス迷彩》、《煙幕》、《周辺把握》、《デコイ》、《消音》、《隠密行動》と、それと新しく手にした《生存術》が、私のステータス欄にある《サバイバルマスタリー》に内包されているみたいです。スキル欄をタッチしたら見えます」

「マスタリースキルと一口に言っても、その獲得に必要なスキルは規定条件数以上あるからね……他の探査者がもしも同じ《サバイバルマスタリー》を持っていたとしても、中身は別物な可能性まであるよ。サバイバル系、支援系スキルもいろいろあるから」

「それにしてもすさまじい数のサポートスキルですね。しかもスキルの効果で通常の3倍、効果も範囲も持続時間もバフされるのですか」

「正直、ことサポートに限れば明らかにA級クラスはあるでしょうね……本人があまり運動できない弱点を考慮しても、ダンジョン探査をする上でこの子の能力はあまりに魅力的ですもの」

「そ、そんな……うう、嬉しいのは嬉しいですけど、ちょっと身の丈に合ってない気もしてます」

 

 香苗さんや宥さんからも一目置かれる形となり、逢坂さんは見るからに反応に困った様子で顔を赤らめた。

 こうまで全力で褒められたら少しくらい調子に乗っても良さそうなもんだけど、逢坂さんは生真面目だからね。自身のとてつもない才覚の証とも言えるマスタリースキルを手にしたことに、将来への展望よりも先に不安なものを覚えているのかもしれなかった。

 

 駒野さん達も俺達の講評を聞いていて、自分達の仲間がすさまじい可能性を持つ探査者だという気付きを得たらしい。称賛と羨望、尊敬と期待の入り混じった目を彼女に向けている。

 いや……庄田さんだけはちょっと斜に構えている感じかな? 面白くなさそうに逢坂さんと俺を見比べて、軽く目を逸らし、軽口みたいに小さく漏らしていた。

 

「ふん……逢坂がすごいのはたしかだけどよ。俺達の仲間なのには間違いないんだ、あまり極端に持ち上げんなよ、みんな」

「いや、そりゃまあそうだろうけどな庄田。こういう時は素直に喜んでやるのも仲間じゃないのかよ」

「けっ。マスタリーだかなんだか知らんけど、そんなのだけで逢坂に目ぇつけられて引き抜きとかされちゃ堪らないんだよ。特にほれ、そちらのシャイニング様はハーレム救世主って話だもんな」

「誤解ですけど!? ……っていうか、あー」

 

 なんか庄田さんの態度についていろいろ腑に落ちた気がする。よもやの言いがかりに渾身の反論を披露しつつも直感的に納得しちゃったよ、俺ちゃん。

 つまりこの人、逢坂さんをハーレム救世主(ネットのすがた)な俺こと山形くんにちょっかいかけられやしないかと気が気じゃないんじゃないかなーこれ!

 

 さっきからちょっとおもしろくなさそうな感じしてたのが一気にわかっちゃった。つまり庄田さん的には逢坂さんがちょっと気になってるんだよこれ。

 で、そんな気になる逢坂さんが俺と親しげに話してたりするのが、なんなら知ったふうにマスタリースキルについて話したりしてるのが気に入らないんだろう。

 

 うわー、青春だこれ!

 でもうちの伝道師さんと使徒さんが即座に目を光らせて反応しちゃってるよ怖ぁ……

 

「ふむ? ……どうやら我らが救世主様について誤解されている方がいるようですね、使徒宥」

「すでに何度か伝道を施したのに、すみません伝道師香苗。これは私の不徳と伝道力不足のいたすところ……改めて庄田くんには伝道を施し、清く正しく素晴らしい救世主様の実像についてご理解いただかねばなりませんね」

「げっ……! や、やべえ」

「ストップ! 使徒さん伝道師さんストップ! 救世主的に伝道ストップ!!」

 

 俺についていろいろ誤解、というかヤキモチ的な感じなんだろう庄田さんに、案の定さらなる伝道を施さんとしていた香苗さんと宥さんを止める。

 こういうのに俺達が出しゃばっちゃダメだと思うの! 青春だと思うの!

 

 ……正味な話、誤解されているのは遺憾だけれど今の庄田さんに何を説いたところで理解してもらえそうな気もしないしね。

 これまでの言動を見るに、表面にこそそこまで出してないものの俺に対しては多少、思うところがあるかもだし。

 

 まあ、そこは別になんでも構わないけどね。とにかくダンジョン探査をきっちりとやってくれるのなら、俺に対して肯定的でも否定的でもどちらでも良いよ。

 だから下手に伝道とかかましてこちらから話をややこしくするのはストップ! ストップです!!

 

「? ……? え?? えーと? あの?」

「あー、と。逢坂さんはとりあえずこのまま、スキルを使ってみんなをサポートしてくれると良いよ。お手並み拝見ってことで、ひとつよろしく」

「は、はい」

 

 逢坂さんが目を白黒させているけど、この子はこの子で気づいてないのかー。青春だなー。

 微妙にほっこりしながらも、とりあえずダンジョン探査はこのように始まった。




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