攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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そこそこピエロだ!?庄田くん

 青春さながらの様相らしい逢坂さん周りの人間関係に、そこはかとなく微笑ましいものを覚えながらも通路を進み、部屋に出る。

 ここからは真剣なダンジョン探査、モンスターとの戦いの場だ。駒野さん達もそこはもちろん理解していて、透明なままに武器を構えて闘志を高めていた。

 

「手筈はいつも通りだ、みんな。俺と庄田でモンスターの背後に回って奇襲、気づかれたらその時点で突撃。三木は援護を頼む。真山は逢坂と一緒に最後列、何かあったら回復頼む」

「了解。狙いは外さないけど、流れ弾には気をつけて」

「下手な動きして怪我しても直してあげるけどね! 存分に怪我なさいよ、そこそこ大きめのやつまでならなんとかするから」

 

 いつもの流れ、というのはどのパーティにも当然それぞれある。毎度フォーメーションや陣形もなく流れのままに動いていくわけにもいかないからね。

 駒野さん達にとってもそれはあるようで、やはり起点は逢坂さんによる支援スキルだろう。音なく気配なく姿もなしのこの状態、戦闘となると奇襲に活かさない手はないからね。

 

 前衛の駒野さん、庄田さんと後衛の三木さんで奇襲を仕掛ける。ヒーラーの真山さんは戦闘となるとからっきしな逢坂さんとともに最後列と。理に適った陣形だろう。

 ちょっと言うならヒーラーと支援役の二人に自衛手段が無さそうってことくらいかな? まあそこは今後の課題として後で述べさせてもらっても良いかもしれない。

 

 と、庄田さんが逢坂さんを見た。皮肉っぽいながらもまっすぐな視線は情熱的ですらある。

 明らかに想いを寄せている視線だ。あらやだー、見ててドキドキしちゃうよ山形くん的には。

 

「後方からの奇襲があったらすぐ駆けつけるが、お前も俺んところにすぐ来いよ。俺がいないと防御手段もないんだからな」

「と言って、通路から敵が襲って来たこともありませんけど……あと今回は奇襲なんて、こちらの御三方がいる時点でまずないでしょうし」

「いつものパーティの動きを言ってんだろ……? へっ、まあオメーはそういうところが良いんだけどな」

「…………?」

 

 うわあ、ぶっきらぼうな俺が護るアピールだ! すごいよ初めて見た、漫画みたいなコッテコテのやつ!

 ある種の感動。まるで生の映画を見ているみたいだよ……まあ、当の逢坂さんはまったくの平静なんだけど。これ気づいてないやつじゃん、アカン。

 

 それでもめげずにニヒルに笑う庄田さんは健気ながら、仲間達的にはあまり良い顔をされないもののようだ。

 駒野さんはため息混じりに笑うし、三木さんも無表情で通路の先、見えてきたモンスターを見据えているだけ。

 そして真山さんに至っては、困り果てた様子で宥さんと香苗さんにこっそりと、こうしたパーティの現状について話していたりするのだ。

 

「ま、こんな感じでして……馬鹿が一人舞い上がって浮かれてるんでこっちとしてはちょっとっていうか。美晴が外勤継続を判断して、しかも昇級して私らに合流してきたことで勘違いしてるみたいなんです」

「それで救世主様にもあんなひどい態度なのね……これはやはり伝道して道を示してあげたいところだけど、我らが救世主公平様は寛大にもそうした姿をも良しとされていらっしゃるし」

「ですが探査者としては少し問題の火種ですね。この世に降り立った救いの光こと公平くんにさえあの有り様では、逢坂さんに近づく男相手にどういったことをしかねないのか想像に難くありません」

「ですよね! ったくあの馬鹿、よりによってシャイニングさんに喧嘩まで売って……最近マジでのぼせてるみたいなんで、一回宥さんに相談しようと思っていたんです。駒野も玲香もあれで結構、そろそろ苛ついてますね」

「えぇ……?」

 

 なんの話してんのこの人達? 真面目なパーティ内の人間関係についての相談とナチュラルに信仰の極まった伝道トークが行き来していて意味がわからない。

 真山さんはじめ駒野さん、三木さんが庄田さんの逢坂さんへの態度とそれに伴う"変な虫"への苛烈な言動に思うところがあるのは分かった。でもそれを受けてじゃあ伝道ね! となるのはちょっと待てよ! となる。

 

 止めといて良かった……いやほんと、今の庄田さん相手にそれは悪手だろうよ、真面目な話。

 経緯を聞くに、元から淡い想いを寄せていたのがパーティ加入を経ていよいよ本格化したってことだろう。なら、今は間違いなく言い方は悪いかもだけど浮かれちゃってるものと推測される。

 

 そんなところに現れた見知らぬ男。しかも師匠の宥さんまでなんかアレなことになっていて、逢坂さんも妹ちゃん絡みとはいえ多少親しい俺ちゃんときた。

 そんな野郎を交えた伝道トークで何を説かれたとて、到底納得なんてするまいさ。逆に頑なになって、ますますパーティ内で浮いた言動をしかねないまである。

 

 なんていうか、青春の良いところであり悪いところでもあるって感じかなー? 当事者になったことないからなんとも言えないけど、できれば庄田さんがそのへんを自覚して、自らを省みてくれるのが一番いいんだけれども。

 知らぬ間に当事者になってしまっている逢坂さんが、まったく気づく様子もなく、ただ何やら変な空気になっていることだけは察して首を傾げて俺を見上げる。

 

「あの、動かないんですかみなさん? ……どうしたんでしょうか、公平さん」

「えっ……ああまあ、そのー、戦闘前のちょっとしたやり取りだよたぶん。腹を括るにも時間はかかったりかからなかったりするだろうし、たぶん」

「なるほど。恥ずかしながら戦闘となるとからっきしな私だと、想像ができませんでした。ありがとうございます、公平さん」

「いやいや、ははは……」

「…………ちぇっ」

 

 逢坂さんが俺のことを"公平さん"と呼ぶ度、庄田さんのじっとりした目が突き刺さる! やめろやそういう嫉妬、さすがに浮くだろそのムーヴ!

 小さく舌打ちする彼に、なるほどこれが恋の病かーと納得したり感動したりしつつも、ちょっぴり怖くなる俺ちゃんである。




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