攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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オフィス・ラブならぬパーティ・ラブ。あなたはアリ派?ナシ派?

 ともあれダンジョン探査はその後も続く。快進撃とまではいかないものの、逢坂さんパーティは堅実に堅調に進んでいる。

 懸念されていた庄田さんのちょっぴり暴走問題も、さすがに仲間内どころか香苗さんからも苦言を呈されては彼の頭も冷えたみたいで、あれ以後は問題なく連携を取れるようになっていた。

 

「《弓術》、一点突破射法──庄田、お願い」

「まかせろ! うおおおアサルトパリィ・ロングレンジ!!」

「うぐぁ〜ぁぁ〜」

 

 いくらかの部屋を抜けてまた、新しい部屋。そこにいたのは2mほどの大きさのモンスター、なまけクマが一体。

 クマだけあって破壊力、耐久力ともにE級の域を超えているけど気質的に怠け者というか。のんびりして動作が遅いために結果としてウドの大木になりがちな、いわば見掛け倒しなやつだね。

 

 それを相手にまずは三木さんの矢が突き抜けた。一点突破というだけあって的確にゆっくりと振り上げられていた右腕を貫き先手を取れば、次は庄田さんが飛びかかる。

 相変わらずの盾を用いた殴打殺法、先ほどとは異なり距離を取って、盾のサイズで間合いを稼ぎながら小突く戦法だね。

 威力は低いけど数が多く、チクチク刺すようにあちらこちら突きまわればクマさんも鬱陶しそうにゆっくりと身体を捩り後退する。

 

 態勢を崩した。攻め時には絶好だ。

 すかさず庄田さんが叫ぶのは、残るもう一人のアタッカーにしてパーティ随一の威力を持つ、駒野さんだ!

 

「決めちまえ駒野! 脳天がら空きだぜえ!!」

「ああ、やってやるさ! 《剣術》、春雷!!」

 

 三木さんの一太刀、庄田さんの牽制に乗じてすでに先回りしていた彼が、なまけクマの頭上高くを舞っている。

 その手に持つのは、刀──その切っ先を鋭く、モンスターの脳天めがけて突き落としている。

 

 春の雷。今はまだ正直、その名に見合う勢いでも威力でもないけど。いつかはそれに相応しい技に磨き上げたいという想いからつけられたのだろう。

 そして俺は、駒野さんならその想いを叶えるだけの素質があると思うよ。それほどに想いのこもった、良い一撃がモンスターに叩き込まれた。

 

「ぐるぁ〜っ!? ぐる、ぁぁ〜」

 

 倒れ際までどこかやる気なく、なまけクマが光の粒子に変わっていく。

 あとに残る駒野さんが地上に問題なく着地すれば、仲間達も彼の下に集い、互いの労をねぎらう。

 戦闘終了だ。このようにして初戦以降、E級探査者パーティとしては特に問題ない戦いを彼らは繰り広げていた。

 

 健闘を讃え合う彼らの雰囲気はとても良く、パーティとしてまとまっているのが分かる。

 事前に奇襲の準備を整える役目の逢坂さん、戦闘後に負傷したメンバーの治療を行う真山さんまで含めてバランスが取れてるし、将来的には相当、期待度の高いパーティとして完成する気がするよ。

 

「いや、さっきの初戦はマジで悪かったみんな! さすがに頭冷えたぜ、おかげで逢坂にも気づかれちまったしな!」

「若干やけになってないかお前? ……まあ元から逢坂さんの反応も薄かったし、そろそろ落ち着けって」

「元から目がなかったのは分かりきってたんだし、踏ん切りつけたら? あんた中学2年でしょ、学校の方だとモテモテじゃないの?」

「割とオラつき俺様キャラだもんね。正直男としては見れないけど、まあそういう人が好きな女の人も多いよ。がんばれ」

「誰がオラつき俺様だ!? っていうか感情うっすいな三木!」

「興味ないし……」

 

 怖ぁ……さっきの一件で逢坂さんにいろいろバレたことで庄田さんが若干開き直り、仲間達がまあまあと宥めはじめている。

 こういうところで突っ込んだところまで話ができるのも仲良しさんな証明みたいなもんなんだけど、にしてもかなり開けっぴろげなやりとりだ、陰キャ山形くんとしてはハラハラしちゃうよ。

 

 ちなみにこのパーティ、年齢的には逢坂さんと庄田さんが同い年で駒野さん、三木さんがその2歳上で俺と同い年。真山さんに至っては一人大学生で19歳だったりする。

 つまり最年少同士のアピールしたり気づかなかったりなわけで、年長さんからするとそういうのもあって微笑ましいのかもしれなかった。

 言葉遣いとか、年齢差を感じさせない仲なのもなかなかすごいよね。

 

 ……まあ反面、思わぬ形でアピールされていたと判明した逢坂さんもこっちはこっちで若干、今も動揺してるんだけどね!

 そこはさすがの師匠こと宥さんが、微笑みながらも彼女のメンタルのフォローを欠かさず行っていた。

 

「パーティ内のそうした人間関係も、よくある話だものね……美晴ちゃん的に違和感があるのも分かるわ」

「違和感と言いますか、予想だにしていませんでした……あの、庄田くんが嫌なわけではないのですが。正直その、パーティ内での恋愛とかそういうの自体がちょっと無理かなー、と。あくまで個人的にですけど」

「そうねえ……私も同じような思いで、だから今は気の合う同性の友人達だけでパーティを組んでるもの。庄田くんの想いももちろん尊重されるべきだけれど、節度と折り合いを持ったパーティ活動をお願いしたいところね」

「今のみんなの様子を見る限り、そこは心配してません。みなさん、庄田くんも含めて本当に良い人ですし」

 

 逢坂さん的には、このことが何かしら隔意とかパーティへの胸中の変化とかをもたらしているわけでもないみたいだ。

 彼女は彼女で、庄田さんも駒野さん達も友人として、仲間として信じているんだね。

 

 庄田さんの想いが叶うかどうか、ってところは正直望み薄かな~って思っちゃう一連の流れだけども……

 逆にパーティとしては結束の強さが伺えたから、そこはせめてもの救いってやつなのかもしれなかった。




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