攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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君達が止まらない限り、その先に伝道師はいるぞ!だからよ、止まるんじゃねえぞ……

 ダンジョン探査が終わった。最奥にてダンジョンコアを確保し、そして帰路に着いたのだ。

 時刻は18時半頃。帰りは俺の空間転移を使ったので、実質的にノータイムだ……いきなりわけのわからない謎ショートカットを見せつけられた逢坂さん達を盛大に困惑させつつも、とりあえずこれにて俺達は地上へと戻ったのである。

 

 消えたダンジョンの穴に、駐輪場のおじいさんお二人からたくさんの感謝の言葉をいただきつつの帰り道。

 探査者にとっては達成感に浸るひとときを、逢坂さん達はけれど自分達の未来に向けて、あれこれ話し合ったりしていた。

 

「シャイニングさん……何でもできるんだな、マジで」

「たしか空とか飛べるんでしょ? その上なんかこう、SFみたいなワープまでできるなんて。庄田、本当にあの人目指して頑張れそう?」

「ぐぬぬ……! いいややってみせるぜ! やりもしないで諦められるかよ!」

「熱血ねえ。ま、私も同感だけど。負けてらんないわよ、こっちも!」

 

 とまあ、庄田さんをさらに刺激しちゃった感はあるけどこれをきっかけに本当に肩を並べて戦えるような日が来てくれたらと思うと、俺としても応援したくなるよ。

 さすがに空を飛んだりワームホールを作ったりは事実上、探査者とは関係のない話で恐縮なんだけど……それでも彼や真山さんのように、俺の存在に影響を受けてより高みを目指さんとする方がいるというなら。

 なんていうか、それはありがたいような気持ちは抱くよね。

 

 一方で見れば、逢坂さんも何やら今しがたの俺や香苗さんの戦いぶりに感銘を受けたらしく、宥さんと何やら話をしている。

 特に俺が見せた、サウダーデさん由来の合気道に興味を持ったようだった。自衛としてはもってこいだからね、あの技。

 

「……なるほど。技能訓練施設で《合気道》を習得するプログラムがあるんですね」

「ええ。私も実は前から合気関係の技術には興味があったの。私も受け身に回ることが多いもの……都合をつけられそうなら近々、一緒に受講してみる?」

「っ、はい! ぜひともよろしくお願いします! 私も、支援だけして戦いの時は応援して守られるだけ、というのは嫌ですから」

「ふふ、そうね。美晴ちゃんならきっと、有効活用できるわ」

 

 師弟で微笑み合う姿が実に麗しい、という個人的な目の保養はさておいても逢坂さんと宥さんにはなるほど、《合気道》を習得して合気関係の技術を身につけるのは自身のスタイルと適しているだろう。

 宥さんの場合は敵の攻撃を盾で受け止める際のパリィに活用できるし、逢坂さんも自衛手段として値打ちがあるからね。

 

 なんなら、逢坂さんの場合は《サバイバルマスタリー》との相性だって良さげだし。

 件の支援スキルをフル活用して敵に忍び寄り、その動きに合わせて合気の技を放てば相当な制圧力をも発揮できるだろう。あるいはそれこそ、香苗さんの暗殺術だって相性が良いかもしれない。

 

 ただまあ、惜しむらくは彼女自身が極度の運動音痴らしいのがね……なんかよく知らんけど、舗装されてない道を歩くだけで頻繁に足を挫くレベルらしいし。

 そうなると無理はさせられないから、やはり自衛程度に身につけるって話が今のところは無難なのかもしれなかった。

 

「逢坂さんも自衛手段を身に着けたら、パーティ全体の動きもまだまだ進化していけるな……俺も、今以上に何か一芸を身につけたいところだよ」

「私も……《弓術》だけじゃ単調になりがちだしね。他にサブウェポンとかサブスタイルは考えてみても良いかも。まだ道は遠いけど、A級を目指していくならね」

「そのへんの話をすると私が一番、やること限られてるわねー……でもさすがにヒーラーだし、限られてるべきでもあるというか」

「真山はそのままの方向性で、やっぱり《治療魔法》を身に着けていってくれよ。万一の時、後ろに全力で回復にあたれるヒーラーがいるって思う以上に安心なんだぜ。だからお前、他所の上級パーティとかにもお呼ばれしてるんだし」

「美晴もだけどね。私ら二人、揃ってレアスキル保持者だからそこはまあ」

 

 パーティみんなでの喧々諤々の話し合い。決してネガティブなものでなくむしろ限りない未来への展望、光に満ちたポジティブなものを感じさせる議論だ。

 きっと、彼ら彼女らはいつの日か大成してくれるだろう……そう信じさせるポテンシャルとモチベーションが、十分に伝わる素晴らしい探査だったよ、今日は。

 

 さておきテクテク歩いて全探組施設に到着。後は受付にて報告しておしまいだ、お疲れさまでした。

 報告自体は逢坂さん達がやっといてくれるとのことで、俺と香苗さん、宥さんはここで解散だ。あーお腹空いた、帰ってご飯食べよーっと。

 肩の力を抜く俺に、逢坂さん達は向き直ってきた。解散に際しての、別れの挨拶だ。

 

「宥さん、御堂さん、そして公平さん! 今日は俺達の探査にお付き合いくださって、本当にありがとうございました!」

「おかげさまで自分達の進む道を、見つけ出すきっかけが得られたと思います。ありがとうございました」

「あ、いえいえそんな……こちらこそ勉強させてもらいました、ありがとうございました」

「みなさんもお疲れさまです。焦らず、地道に一歩一歩歩んでいってください……きっとその先に、私達はいます。我らが救世主山形公平様の、御下にです」

「困ったことがあったらいつでも相談してね、みんな。私達はいつでも探査者として、そして救世の光の信者として力になるから」

「えぇ……?」

 

 良い感じの挨拶なのに、香苗さんに宥さん!

 最初から最後まで伝道師と使徒アピールを欠かさないお二人の姿に、俺も逢坂さん達も苦笑いだ。怖ぁ……

 

 ともあれ、このようにして今日の探査は終わった。

 俺とほぼ同じくらいの若手さん達のリアルを見学させてもらえた、素敵な探査経験だったよ。




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