攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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割と頻繁に救世主ハーレム(ネット調べ)を見ることができる町

 逢坂さん達との探査を経て数日後、土曜。この日は朝から俺、リーベ、シャーリヒッタにミュトスとヴァールさえ連れて家を出、一路町中にある大きなマンションにまで出向いていた。

 そのマンションの最上階層二つ分を買い取って自分の居城としているモノ、北欧大神オーディンこと現世では織田に会いに行くためだ。

 

 すっかり秋めいた涼やかな町の中を、俺除きみんな美少女がぞろぞろと徒歩で歩く光景は当然ながら人の目を惹く。

 でもみんな俺を見るなり、何かを得心したみたいに興味をなくして目を逸らすのなんででしょうね怖ぁ……

 

 目が合ったら帰依させられるとかハーレムに組み込まれるとかってネットの悪い噂鵜呑みにしてます? そんなワルが当たり前のようにそこらほっつき歩いてるわけ無いだろ!

 内心でツッコミを入れつつも、俺は隣を行くヴァールに話しかけた。

 

「えーと、ヴァール良いのか? お前……WSO統括理事としていろいろ忙しいんじゃないのか? いやまあ、ここまで来てもらっておいて今さらなんだけど」

「本当に今さらだな? いや、問題ない。ソフィアの実務能力を舐めてもらっては困る、すでに数か月溜まった書類も片付き、後は日程調整の必要な各国首脳との会談や国連内での会議等に出席するのを残すのみだ。そして、それらに向けた資料も作成できている」

「なぜドヤ顔で自慢するのか、分かるような気もしますけど分からないような気もしますー……」

 

 彼女はWSOのトップとして立場ある身で、それゆえに今年の夏に来日して以降、立て続けに巻き起こる委員会絡みの事件に際しては陣頭指揮を執ってくれていたんだけども。

 一方でそうしていると当然のこと、本来ならさっさとスイスはジュネーヴにあるWSO本部に戻ってこなしていなきゃならないはずの仕事を溜めてしまっていたわけだ。

 

 数か月分ものそんな書類仕事、俺ならトンズラこきかねないくらい山積みのはずだったろう。

 けれどヴァールというかソフィアさんは、こないだ仲間内のみで行った打ち上げの後、すぐに空路にてジュネーヴに帰還。この短期間で宿題を全部片付けてなんなら今後の予定もきっちりと確保した上でまた、こちらに戻ってきていたらしい。

 

 いやどういうことだよ、能力高すぎるだろ怖ぁ……あまりの実務能力に、俺も他の精霊知能達も感心するやらドン引きするやらだ。

 そんな反応に、当のヴァールだけは無表情に軽くドヤ顔を浮かべている。相棒たるソフィアさんが褒められるの、堪らなく嬉しいんだろうなあ。

 こういうところ、可愛らしいと思うよ。

 

「さっすがソフィアだなァ、伊達に100年この現世のドンをしてねぇってことかァ」

「にしても行き来はきっちり飛行機だなんて、空間転移とかは使用されないんですねえ。私だったら余裕でショートカットしちゃってるかもしれないです」

「理屈の上では可能でも、それをすると不法入国になるからな。これはアドバイスだがミュトス、よほどの緊急時でもしない限りは基本的に空間転移は濫用しないことだ。万一にでも行動履歴を辿らねばならなくなった際、アリバイが取れなくなる上に秩序に反する。それでは、やっていることが不逞概念存在どもと大差なくなる」

 

 新米精霊知能たるミュトスに、柔らかな声音でアドバイスするヴァール。

 こればかりは現世に長く滞在している彼女ならではの物言いだろう……空間転移という、超絶チートの是非について。

 

 まあ言っちゃうと、あの権能を使って移動するとその時点で、自身の行動に対して一切の客観的信憑性がなくなっちゃうんだよね。アリバイが取れなくなるのだ。

 こないだの打ち上げの時を例に出すと、山形家は俺の空間転移で関西から一気に首都圏までワープした。これ自体は別段法に触れるものではないんだけど、たとえば俺の家に不審者が入り込んで警察沙汰になりましたってなった時に説明に非常に困ることになるのだ。

 

 夕方まで関西で庶民的な買い物とかしてた人間が、それから一時間後には首都圏のお高いビルで打ち上げしてました! ……なんて、そっくりさんかドッペルゲンガー? って思われる案件だからね、普通。

 そんなことを繰り返していると、そのうち確実に追い込まれることになるだろう。そんな危惧もあり、俺やヴァールは空間転移の使い所は結構考えてたりするのだ。

 

 あっ、あと言うまでもない話だけどこの権能で国を跨いでの移動を行った場合、その時点で不法入国の犯罪者だからね。

 特に俺なんてパスポートも持ってないわけで、おまわりさんに詰められたら秒でお縄である。WSO統括理事として社会的地位のあるヴァールだって一気に窮地に立たされるだろうし。

 

「あ……そうですね。そうでした、うっかりしてました! すみません、そうですよね元いた世界でも国や都市に入る際はきっちり入国審査がありましたし、当然のことでしたね。ご助言、ありがとうございます!」

「ミュトスの元の世界でもあるのか、そういうの。っていうか前から聞きたかったんだけど、そういえば結局君はどこの世界出身なんだっけ?」

 

 てへぺろ! と舌を出して反省するミュトスは可愛らしくも美しいけど、ふと気になって俺は彼女の出身世界について質問した。

 いや前から気になってたんだよね、三界機構の世界ってのも。アルマがさんざん匂わせてきたってのもあるし、そうでなくともミュトスに力を貸してくれている彼らのことだし。

 

 情報としては流れてきていたものの、それも断片的なソースだけだったからなあ。なので当事者であるミュトスにはかねてよりいろいろ、聞いてみたかったのだ。

 俺の質問を受けて彼女は、元気いっぱい朗らかに答えてくれた。




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