攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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なにもないばしょ、"せかいのそとがわ"

 ミュトスの、元いた世界の最高神に対する恐れや怯えについての説明も程々にしたあたりで、織田もなるほどと納得したようで理解を示す瞳を彼女に向けた。

 その顔は痛ましいものを見るようなそれというよりは、むしろ面白いものを見るものだ。

 

 プルプル震える珍妙なミュトスちゃんに思わず愉悦の心が漏れたのだろうか? この大神も割合いい性格してるからなあ……

 俺が若干心配していると、その織田のほうから続けて話してくる。やはりどこか楽しげに、面白そうな感じだった。

 

「異世界の最高神とはまた、実に興味深い。そちらのミュトスが怯える心理はさておくにしても、異なる理があったであろう世界にあっても概念存在がいたというのは面白いですね。山形公平、もしや世界のシステムの構造とはある程度共通しているのですか?」

「あっそっちかぁ……うん、あるよそういう基本的なところでの共通事項。そもそもどこの世界もワールドプロセッサとコマンドプロンプトっていうハードウェアありきだしね。フォーマットが同じなら出来上がるものも基本、大まかな枠組みとしては同じだよ」

 

 良かった、怯える女の子にニタニタ笑う不審なオーディンなんてものはなかったんだ。代わりに世界的な意味でかなり突っ込んだ質問をいただいたので、問題ない程度に答える。

 異なる世界であっても、根本的なところの"つくり"は変わらない。ワールドプロセッサがありコマンドプロンプトがあり、その上で構築されるのが世界の姿なのだからフォーマットは当然同じなんだ。

 

 これについては理屈がどうこう以前にもう"そういうもの"だからとしか言いようがない。それこそ真なる意味での世界の理だ。あらゆるものが変わり移ろうなかでもこのフォーマットだけは何があろうと変わらない、たった一つの本当のこと。

 盟友たるオーディンへ、世界の真実の仕組みについて軽くながら説明する。

 

「世界の外側。ただあらゆる世界と、その間を揺蕩う波動だけがある空間──便宜上波動空間と呼ぶけど、ワールドプロセッサとコマンドプロンプトはそこに一セットで発生し、己の空間を作る。それが"世界"だ」

「ふむ、星々にとっての宇宙のようなものですか。なにかしらの要因によって星が生まれるように、原初存在たるワールドプロセッサとコマンドプロンプトが生まれると」

「そういう解釈で構わないよ。そして、ワールドプロセッサはコマンドプロンプトというツールを用いて因果律を操作して世界の姿を形作る──もちろんそこに意志とかはないよ。発生するがままに発生し、創造するがままに創造する。そういうものだからね」

 

 そういうものだから、というのを濫用せざるを得ないくらいにはまあ、そういうものなのだ。

 木々の林檎は地に落ちる、原因があれば結果がある。それと同じくらい当たり前のように、波動空間は最初からそこにあってワールドプロセッサとコマンドプロンプトはそこに生まれる。

 

 そして世界を生み出すのだ……それぞれのワールドプロセッサの特質や特性ごとに細々形は変わるけど、基本的な構造はみな同じ。

 それこそが俺達の今いる世界であり、かつては邪悪なる思念や三界機構が管理運営していた世界だということなのだ。

 説明を受けた織田が、額から汗を一筋流しながらも尋ねる。

 

「まさしくコトワリそのもの、ということですね……インテリジェンスなどそこになく、しかして偶然でもなく。ちなみにですが、あなた方を創ったさらに上位存在というのはいるのですか?」

「いない。これは確実に言えるよ、絶対にいない。強いて言うなら波動空間が"そう"だと言えるけど、あの空間には能動的な意志も魂もありはしないし、ましてや君臨するようなナニモノかもあり得ない」

「なるほど……正真正銘、ワールドプロセッサとコマンドプロンプトこそが最上位存在ということですね。世界においてもそうであり、波動空間からみても数こそあれどそれぞれが唯一無二と」

 

 得心したように織田はうなずいた。ワールドプロセッサとコマンドプロンプトの立ち位置と、世界のさらに外側に広がる無限の波動。そのあたりについて一応でもご理解いただけたみたいだ。

 まあ、このへんは知ったとてだからなんだって話ではあるからね。構造的に現世や概念領域は世界の内側の一番下層にあるところで、そこから幾万幾億と重なるデータ領域と一番外側のシステム領域を経て、やっとこ波動空間が見えてくるって程度の立ち位置だし。

 言っちゃなんだけど概念存在ではどうもできない部分の話だからね。

 

 あ、ちなみに波動空間の観測やそこへの干渉は精霊知能にさえ不可能だけど、ワールドプロセッサとコマンドプロンプトなら一応できなくはない。

 そこまでガッツリと掌握やらなんやらはできないしする意味も必要もないけれどね。俺とアイツにとっては本当の意味で生まれ故郷と呼べる空間ではあるので、なんなら今だったら親しみとかも感じられるかも知れない。

 

 まあ、あんな波動だけの空間面白くもなんともないんだから行く気も見る気もないけどね!

 なんかこう、ボーっとしたい時とかは良いかも知れないけど。つまり俺としては、波動空間なんてのはその程度のものでしかないというわけだった。




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