攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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最近は悪魔もネットに強くないとやっていけない時代なんだ……

 織田が権能を用いて指示を出して数分。

 すぐと言っていいほどの時間でイヴさんは謁見の間に姿を表した。もちろん、呼び出された目的である悪魔をも引き連れてだ。

 

 丁寧なお辞儀をしてから入室する彼女に続けて入ってくるその悪魔は、対照的なまでにラフな振る舞いをする女の子の姿をしている。

 紫の髪をツインテールにした、ゴスロリっぽいヒラヒラしたシャツにズボンを履いた様子は前と変わりない。どこか人を見下したというか、舐めてるような顔つきもそのままだな。

 

 見かけはうちの優子ちゃんと同じくらいかそれより幼いんだけど、中身は数千年存在しているとかいう概念存在。

 悪魔オノスケリス……委員会に与していた悪魔の登場である。

 

「お待たせいたしました我が主。ここに悪魔オノスケリス、連れて参上いたしました」

「うむ、ご苦労。オノスケリスよ、真面目に仕事をしていたか? よもやサボタージュをしてソシャゲに現を抜かしてなどいないな?」

「するわけないんですけど!? 大神様のおっかない従者の方々に囲まれてこっちはひたすらお仕事なんですけど! ブラック環境なんですけど!!」

「何を言うやら、従者達もともに仕事をしているだけではないか……完全週休二日制でフルタイムだがやりじまい有り、残業は基本ゼロ。時給にして5000円も渡しており住まいまで提供しているのだからいわゆるホワイトなはずだが?」

「えぇ……?」

 

 開口一番織田に対しても抗議してくるこの胆力はさすがすぎるけど、そもそも何の仕事してるんだこいつ、条件凄まじく良すぎない?

 織田がつらつら述べる条件面を聞いてたらなんかめまいがしそうになったよ、お前この世の中にそんな破格なお仕事が一体どれくらいあるんだと思ってるんだ、いや俺だってそんなよくは知らんけど。

 

 聞いていてソフィアさんまで若干顔が引きつっている感じなのは、いろいろ面食らっているんだろう。

 超絶好待遇条件を置いておくにしてもオーディン相手に気安い悪魔とか、そもそも普通に時給制のお仕事に従事しているらしい悪魔とか、お目にかかることなんてないもんなあ。

 そんな彼女に気づいて、織田が肩をすくめて説明した。

 

「そちらの女悪魔がオノスケリスです。盟友山形公平の希望を受けて匿いましたが、賓客にする気もなく働かせています……ことあるごとに不平不満を漏らすのが玉に瑕ですが、これでなかなかよく働く」

「そ、そうなのですか? あの、ちなみにどのようなお仕事を」

「我が居住地内の清掃から調理補助等の雑事と、後はネットを用いての情報収集や発信、従者達への教導なども行ってもらっていますよ。この情報化社会にあって、ネットに強い彼女の利用法はそれなりにありました」

「スマホを物理攻撃手段にしてくるようなゴリラとか、煽り耐性皆無のワルキューレとか相手にSNSのマナーや炎上について講義するの辛いんですけど!? 二言目には直接会いに行って殴るとか言いだす脳筋相手にIT革命もへったくれもないんですけどー!」

「怖ぁ……」

 

 プンスカ怒っているオノスケリスの姿は、サキュバスらしいだけあって可愛らしい愛嬌たっぷりなものの、話している内容がおかしい。

 そりゃこいつ、現世の娯楽にどっぷりだもんで当然ネットに強い小悪魔ちゃんではあるんだろうけども。そこに目をつけた織田によって従者さん達にネットのあれこれを教えるってのは仕事にしてもたしかにきつい気はするよ。

 

 そもそも織田の従者さんったら元々はあっちの神話圏における英雄とか英傑的な武人ばっかりだろうし。ワルキューレ、すなわち戦乙女のみなさんは知らんけど、今の口ぶりからするとかなりカッカしやすいタイプの方もいるみたいだ。

 "ネットの煽り? 居場所突き止めて直接シメたる! "──なんてことを言って、かつ権能とか使えばマジでできなくもなさそうな方々に、いやそれまずいですよと教え込む仕事とか正直やりたくない気持はよく分かる。

 

 これについては話を聞くに、よくやってるよオノスケリスも。信じがたい好環境なのも仕方ない、のかな?

 織田が苦笑いして半泣きで唸るオノスケリスに反応した。こちらも結構ありがたいと思っているのかな、当たりが前に比べても柔らかい感じだ。

 

「ゆえに、現世から見ても破格の条件で雇っているのだろう。安心しろ、お前はよくやっている」

「え、そう? まあオノスケリスちゃんだから当然なんですけどー。っていうか今更なんだけどいきなり呼び出してきて、なんなんですけどー? シャイニング山形とかソフィア・チェーホワまでいるんですけど、やっほーソシャゲしてる?」

「あ、ああ。久しぶりオノスケリス。もちろんしてるよ昨日SR当てた。SSRはまあ、今後次第かな……」

 

 褒められて即座に気を良くするオノスケリス、こいつなんかチョロいなー。

 そんな彼女は当然この場にいる俺やソフィアさんにも反応してくるんだけど、とりわけ俺に対しては特に気安い。同じソシャゲやってる同士だからってのもあるだろうね、これについては仲間ができたみたいで俺としても嬉しい限りだよ。

 

 挨拶代わりのレベルで進捗を聞かれたので無難に答えておく。今、ソシャゲのほうは新イベントが始まっていて当然それに合わせたガチャも始まっている。

 ピックアップはSSRとSR。SRのほうは引けたけどSSRのほうはまだだ。課金すべきか迷うところだけれど、さてどうするかなーと悩んでいるところだね。

 

 そう語れば、オノスケリスは猫目になってにやーといやらしい笑みを浮かべてきた。煽りの構えだ!

 トコトコ俺の所まで来て肩を組んで、まさしくソシャゲの画面を映した自分のスマホを見せてきた。

 まさか、こいつ!?

 

「お、やるじゃーん! ちなみにオノスケリスちゃんはピックアップSSR当然引けてますけどー。いやー今回のは人権ものの性能なんですけどーかーっ! なんですけど!」

「織田、こいつの処遇はもっと厳しくしていいと思うんですけど! 許しがたい悪魔なんですけど!!」

「あーん嘘嘘なんですけど!? 許してシャイニング山形ー!!」

 

 ガチャ煽りとか赦されざる所業をやらかしやがった女悪魔許すまじ。織田に処遇改悪を訴えたところ、オノスケリスがすぐさま謝りを入れてくる。半泣きだ、ざまあみなさい!

 ────とまあ、こんな感じで。実のところこいつ、俺と人格的なところで波長が合うところがあるらしいのだった。




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