攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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許せなかった……オノスケリスが最高レアばかり引き当てているなんて……!

 同じソシャゲをやっている。ただそれだけのことなのに、俺と悪魔オノスケリスはどうも馬が合うものをお互い覚えていた。

 不思議なもので、魂の波長みたいなものが合うということなのだろう……けれど、ともに一つのガチャに魅せられたモノ同士として俺達は今、熱く対立している。

 オノスケリスのデータがあまりにもSSRで彩られすぎていたである。

 

「お前、なんだこの引きの良さは……! まさか権能使ったんじゃないだろうな? むしろそうだと言ってもらえますかね!?」

「ぷぷぷーウケるんですけどウケないんですけどー。ガチャにどうやって権能使うんですけどー? プログラム誑し込んで提供割合改竄なんてできるならとっくの昔にやってるんですけどー! 完全に純粋無垢にオノスケリス様の引き運の良さ! なんですけどー!!」

「くっ……た、たしかに……!」

「できるならとっくにやってるんですねー……」

 

 ちらっと覗いた、というか見せつけられた俺と同じソシャゲの、こいつが持ってるユニットの一覧はまことに腹の立つ光景が広がっていた。

 SSR、SSR、SSR! 画面いっぱいに最高レアが、ずらりと並んでいやがるのだ。しかも同ユニットをたくさん引いてるとかでなく、マジで実装されてるやつ全部並べているかの如き彩り豊かな有り様だ。

 

 それはさながら一面黄金の穂原が、風に揺られて靡くかの如き壮大かつ優美な画面。

 なんなんすか。じゃあ俺のユニット一覧は荒れ果てた土地とでも言うんすか。あまりのユーザー間格差に震えてしまう。

 

 思わずして権能による干渉をも疑ってしまったよ。いやというか逆に権能を使っていてくれたほうがもはや安心するまである。なんだこれ、なんだこれ。

 しかし返ってきたのは至極当たり前の答え。いくら悪魔でも権能でプログラム書き換えなんてできるわけもないし、する意味も薄い。ドヤ顔で勝ち誇るオノスケリスの、言葉がすべてだ。

 

 すなわち引きの良さ。

 シンプルに類稀なる豪運でもって、こいつは別ゲーかと見紛うほどのユニット格差を引き起こしてみせたのである。

 悔しさに呻く俺。見かねたリーベがボソリと突っ込んで、さらに続けて言ってきた。

 

「珍しいですねー公平さんがこんなに熱くなるなんてー。やっぱりソシャゲのガチャは怖いですねー」

「たまに公平サンがガチャするところ見るけど、まあ……一番いいやつ? みたいなのを当てるところは見たことねェんだよなァ」

「っていうかあの悪魔、すごい度胸してますね山形様を煽るだなんて……次の瞬間ご本人様かリーベさんかシャーリヒッタさんか織田さんに締められるかもとか考えないんでしょうか?」

「ぴいいいっ!? わ、忘れてたんですけどそのリスク! 誰彼構わず口を開くとすぐ煽りたがる悪癖が首をもたげたんですけど! ヤバいんですけど!」

「悪魔のような悪癖ですねえ。あ、悪魔でしたか」

 

 彼女に限らずシャーリヒッタもミュトスもだけど、俺がちょくちょく爆死しては布団なり机なりに突っ伏している光景を見ているからか、やんわり苦笑いしつつも理解は一応示してくれている。

 そうなんだよ、俺ちゃん別に極度に不幸体質とかってわけじゃないんだけれど、なんでかことガチャに限ってはあまりにも運が悪いんだよなあー。何年かやってるソシャゲだけど、手持ちSSRの数なんて数体だものなあー。

 

 そういうわけもあって、我ながら大人げないやっかみ全開で叫んだんだけれども。オノスケリスはオノスケリスで、時と場所を弁えずに思い切り俺を相手に煽りかました自分自身に叫んでいる。

 織田に呼ばれての今ここだからね。俺が乗っかったのも悪いところはあるけど、そもそもこっち見るなり速攻でスマホ開いてゲーム起動して見せなくてもいい忌々しい金色の大草原を見せつけてきたからね。

 

 悪癖だよね。ソフィアさんが思わずコメントするくらい、その姿は悪魔そのものだよね。

 でもその悪魔は恐る恐る今の保護者を見上げた。スーツ姿のイケオジが、目だけ笑ってない笑みを浮かべてそこにいる。

 怖ぁ……

 

「オノスケリス。お前を呼んだのはそのような道化を演じさせるためではない。弁えよ」

「は、はひっ……!! し、シシシ失礼しましたっ!!」

「今しがたお前が無礼にも煽った相手、我が盟友山形公平がいればこそ私はお前を匿っている。さらには仕事も与え、十分な金と余暇も渡しある程度自由を認めているだろう。アバター体の現世への実体化さえ許しているのもその一つだ。お前自身などどうでもよく、すべては盟友との友誼がゆえ。それを努々忘れるなよ、悪魔オノスケリス」

「わ、分かりましたーっ!!」

 

 織田がオーディンさんになってる! 口調と威厳を最高神としてのものに変え、ガチの本気でオノスケリスに警告をする姿はまさしく北欧神話を統べるに足る大物ぶりだ。

 周囲の、ガチャコントで緩んだ空気も一気にぎゅっと引き締まったよ。ああでも、そもそもこの流れそのものがコント的と言えばそれはそうなんだけど。

 

 ともかく叱責を受けたオノスケリスも、自分のやらかしがまずいものだという認識は持ったらしい。

 たしかに、前は精神体だったのに今や実体化してるものな。確固たる物体としてこの世に降り立っている悪魔は、すっかり動揺して何度も首を縦に振っていた。

 うわあ、この悪魔ものの見事に分からせられてる……




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