攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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面白くても愉快でも、やっぱり悪魔だオノスケリス

 さてさていよいよ昼食ってことで、場所を移動する。

 謁見の間と名付けられた部屋を出て通路を戻り、会食の間としてセッティングされた部屋へと移る。

 

 先導はもちろん従者のイヴさんだ。俺、織田、ソフィアさんが並んで歩き、その後ろにリーベとシャーリヒッタ、ミュトスがオノスケリスを囲むような形で続いている。

 つまりオノスケリスは四方八方を囲まれているわけだね。これには居心地の悪さを覚えているようで、彼女が冷や汗しきりに呟くのが聞こえてきた。

 

「別に悪いことしてないのに連行されてる気分なんですけど……!? っていうかなんなのこの女の子達、冷静に見ると魂の規格おかしいんですけど! えっ、まさかみんなして最高神とか創造神……?」

「ビビんなよ悪魔ァ、別に取って食べやしねェんだから。つってもテメェは一応でもサークルに関与してたやつだからな、織田はともかくオレらはそれなりに警戒してるからそこんとこ分かっとけよ、おう」

「ここに至るまで相当分からせられてるみたいですし、そんな必要もない気もしますけどー……悪魔は存在の本質から狡猾であることをテーゼにしてますからねー。オノスケリスちゃん独自の個性そのものはともかく、本能的なところでアレコレ画策しててもおかしくはないですしー」

「くうっ、言い返せないんですけど! ていうか悪魔からそういうの抜き取ったら何も残らない気がするんですけど! ただの超絶愛らしいサキュバス小悪魔系女子だけが残るんですけど!」

「自己肯定感の化身かな?」

 

 聞いていて思わずツッコんでしまうほどのオノスケリスの図々しさというか、自己肯定力だ。

 たしかに見た目は今どきの愛らしいギャル系女の子だけど、その実ソロモン王の時代には存在していた、とされる古のサキュバスだろうに。

 

 シャーリヒッタにリーベも、なんならミュトスも一応警戒してはいるものの、そこまで危険視はしてない様子。

 そもそもオノスケリスがビビリ散らかしてるように、魂の格が違うからね。一般的な精霊知能でも最低限創造神から最高神クラスはあるわけで、何も知らない彼女からするとまさかの周囲みんなそのクラスの神やら悪魔やらってことになる。

 抵抗するわけないわな。ただでさえいろいろ封じられてるっぽいのに。

 

「オノスケリスの能力は当然、現在は封印しております。わざわざ本体のいる悪魔勢力はベルゼブブ領まで出向き、きっちりと交渉をした上で処置しましたので」

「そ、そうなんだ……抵抗とかなかったのか? その、ベルゼブブって悪魔から。上司なんだろ、オノスケリスの」

「いえ、特には。なんなら自分に黙って現世に介入していたこともあり、放っておいたらオノスケリスを消しかねない程度には怒っていました。そこを宥めたのが私ですので、そこな悪魔にはそもそも抵抗する権利も資格もありはしません」

「えぇ……? 上司に無断でアドラメレクに乗っかったのか……」

 

 奔放ってレベルじゃないんですけど、とオノスケリスを見る。自分の属する勢力のトップにすら無断でサークルに与してたなんて、ずいぶんヤバいことしてたんだなこいつ。

 ベルゼブブ……あまり神話やら悪魔やらに詳しくない俺でも知ってる大悪魔だ。概念領域における一つの勢力の頂点でもあるらしいのだから、格としては最高神クラスに匹敵するくらいかな。

 

 そんな上司に黙ってコイツ、現世に干渉したんだ。そら怒られるわ。仲裁に入ってオノスケリスをある種、保護までした織田がむしろ優しいまである。

 この場の面々からドン引きの視線を向けられて、当のオノスケリスはうっと呻いてそっぽを向いている。さすがに自分のやったことのヤバさは理解しているようだけど、だったらなおのことなんでそんなことしたの? って話でしかない。

 

 思わず立ち止まってそのへん聞けば、これまた呆れた答えが返ってきた。

 

「そ、そのう……ま、前から現世の大ダンジョン時代は気になってたんですけど! ベルゼブブ様は様子見に徹して、なんなら神々とスクラム組んで現世に介入しようって概念存在を規制してて! でもオノスケリスちゃん的にはやっぱり気になるなーってところに、アドラメレクがやって来て!」

「それでホイホイついて行っちゃったんですか……? あのー、自分とこのボスに後で締められるとかって思わなかったりはしなかったんでせうか……」

「正直思ったんですけど、でも現世への興味が勝っちゃったんですけど! ぶっちゃけいざとなったらアドラメレクに責任擦り付ければ良いかなって思ってたのもあるんですけど! そしたらそのアドラメレクごとサークル壊滅で笑っちゃうんですけど、笑えないんですけど!! 全部シャイニング山形が悪いんですけど!」

「テメェ誰に責任転嫁してんだコラァ! 公平サンに擦るたァイイ度胸してんなァオラァ!?」

「ぴぃぃぃぃごめんなさいつい素直なオノスケリスちゃんが偽ることなく本音を口にー!」

「怖ぁ……」

 

 最終的に俺が悪いと言おうとして、即座にシャーリヒッタに圧かけられてぴぃぴぃ鳴き出したオノスケリスの、見た目とは裏腹に他責っぷりがやばい。

 提案してきたのはアドラメレクにしろ、自分で決めたことだろうに。旗色が悪くなったら即座にヤツに責任転嫁するつもりでいて、それが叶わなくなったら今度は俺が悪いって言い出したぞ今。

 

 怖ぁ……こういうとこ見るとこいつ、やっぱり悪魔なんだよなあ。

 まあ、今は織田の言うように権能から何から何まで封印されているから結局、口先だけではあるけども。シャーリヒッタの圧に縮こまるオノスケリスに、俺は呆れとドン引きの眼差しを向けていた。




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