攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
さて、そんなこんなでさしあたって織田との会談も終わりを迎えようとしている。
この場で話すようなことも割合話し終えたからね。一番の目玉だったWSO統括理事、ソフィアさんとヴァールとの接触も成ったわけで、システム領域と概念領域、そして現世領域の相互関係においては大きな前進を果たしたと言って良いんじゃないかな。
「素晴らしい一日でしたよ山形公平、そしてヴァール。システム領域と現世のそれぞれ代表たるあなた方と、ひとまずの外交特使とも言えるでしょう私の話し合いはまた一つ、概念領域に大きな変化を起こすことでしょうね」
「大きな変化……それは良い方向にかな? それとも悪いほう?」
「そこまではなんとも、全知ならぬ身ですからね。ただ、より良い方向に向かわせるよう尽力をすることもまた、我々北欧神話圏の役割だと認識していますよ。ククク」
別れの挨拶もそこそこに、織田はやはりニヤリと笑って不敵な様子を見せた。
今回の件を受けて概念領域ではまた、政治の風が吹き荒れたりするんだろう。その嵐のような局面をも乗りこなして制してみせると、そう言いたげな自信満々の顔つきだ。
それを受けて俺ちゃんはともかくヴァールも深くうなずいた。同意というか共感している感じだね。
このへん、彼女も政治家としての側面を持ってほぼ一世紀だから。織田の姿は、過去のいろんな場面を想起させるものだったのかもしれない。
彼に対して、敬意を払いつつも言う。
「ワタシもソフィアも、こうして会談する機会を得られたのは僥倖だった。話し合いの席を設けてくれた山形公平にも含め、この場にいる者すべてに感謝する。そして北欧大神オーディン」
「ええ、何か?」
「……山形公平宛にで良い。概念領域内での政治的動向はなるべく伝えてほしい。言い方は悪いが委員会の本丸がそちらに置かれている可能性が高いことを考えれば、現世は言うに及ばずそちらにも情報の網は張っておくべきだからな」
「俺か。いやまあ俺か、織田と直通のホットライン持ってるの現状、俺だけだもんな。ヴァールも持つべきかな?」
未だその全貌、明らかならぬ委員会──その中核にいると思しき、なんらかのカテゴリの概念存在達。
それを踏まえると、現世だけでなく概念領域のほうも当然怪しむべきであり、情報網を張るべく織田に頼るのはヴァールとしては当たり前の判断だな。
とはいえ今現在、北欧神話圏と直接的なつながりを持つのは完全に俺だけだ。つまり現世が概念領域の情報を知るためには、まず俺を介さないといけない形になっている。
こう考えると既存の、システム領域と概念領域の協力ラインにシステム領域側で現世も組み込まれた感じだな。合間に挟まるシステム領域的には別にいいんだけど、ワンクッションとかいらんくない? と思わなくもないよね。
そう考えて織田とヴァールの間にもホットラインはあるべきかと思って提案したのだが、それは当の二人から首を左右に振られて拒否られてしまった。
なんでぇ?
「そこまでやると、さすがに我々北欧神話圏が現世に対して踏み込み過ぎな形になります。得体の知れない"あなた方"と唯一つながっている勢力ゆえに今の立ち位置を確保できているのであり、そこに明確に現世との継続的なつながりができてしまえば、他の勢力も一気に動き出すでしょう。"北欧神話がそこまでやるのなら、自分達も"とね」
「現世側としてもあまり好ましくない。あくまでシステム領域が仲立ちに入っている形で概念領域とはつながりを持っていたいのだ……直通の連絡路を作ってしまうと、ワタシやソフィアが引退した後に禍根となりかねない。現世と概念領域は、やはり距離感を保つ必要があるからな」
「ああ……なるほど。お互い立場的に難しいか。そういうことなら分かったよ、俺が仲立ちに入ろう」
話を聞けば明確に分かりやすい理由が返ってきた。織田側は自分の立ち位置と他の勢力の暴走を危惧して、ヴァールは自分のいなくなった後の悪用を警戒して。
いずれにせよ意見は一致していて、現世と概念領域は一定の距離を保つべきという論調だ。ほしてその距離をある一点、すなわち俺という仲介者でつなぎたいと、そう言っているわけだね。
うーん、責任重大。俺に限らず、こういうことで特定個人の人脈をあてにしたシステムを構築するってのも、社会構造的な話としてよろしくない気はするんだけれどこればっかりはね。仕方ないところはある。
だもんで俺も素直にうなずき、要求される役割を引き受けることにした。まあこれまでとやることは変わりないし、引き続き織田やソフィアさん、ヴァールとの報告連絡相談をこまめに行うだけだ。
特に負担もない。
「織田は概念領域内の情報を現世に伝える。ソフィアさんとヴァールもまた、現世での情報を概念領域に伝える。そこに俺を通す必要があるから、どちらの場合もまずは俺に連絡する、と。それでいいな?」
「問題ありません」
「助かります、コマンドプロンプト」
俺の最終確認にうなずく二人。
これをもって3つの領域の間に、独自の連絡網が構築されたのであった。
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