攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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実はショタジジイ属性もあるんですよ、山形くん

「そう言えば山形公平、あなたは今日が誕生日だそうだな。遅ればせながら祝辞を述べさせていただこう、おめでとうございます」

「あ、これはご丁寧にどうも。ありがとうな、ヴァール」

 

 サークルおよび過激派への取り調べに立ち会うにあたっての予定を再確認した直後。軽くのんびりした空気になってから、ヴァールはそんなことを切り出して俺へと祝いの言葉をくれた。

 WSO統括理事からのお誕生日おめでとうございます、かあ……別段肩書で祝いの値打ちが変わるわけではまったくないけれど、なかなか珍しい体験させてもらってるよなあって気にはなるよね。

 

 ちなみにリーベやシャーリヒッタ、ミュトスからも同様にお祝いの言葉はもらっていて、なんなら朝起きた時点で三人揃って抱きついて来たもんだからビックリしたよね。

 そんでもって誕生日プレゼントまでくれるそうだもの。これについてはもうすぐ夕食を迎えるからその時に贈ってくれるのだそう。

 

 ていうかすごいな今年の俺ちゃん、誕プレもらいまくりじゃん。これまで家族からも特にもらってないっていうか、晩御飯が豪華ラインナップになるのが事実上の誕プレだったのに。

 だもんであんまりそういうのに馴染みのないから、変に緊張してくるよ。

 

「ヴァールも夕飯、食べていくよな? ミュトスもご飯を食べてから新居に引っ越すって話だし」

「ああ、そう言ってもらえるならばぜひ。しかし不思議な感覚だな、コマンドプロンプトの誕生日祝いとは。いや、もちろん今ここにいるあなたは人間・山形公平でもあるのだからあって然るべきなのではあるが、その内情を知っているとついな」

「わかる~。俺も今年の誕生日のことは結構、奇妙な感じに受け止めてたりするんだよな、これが」

「コマンドプロンプトとしての覚醒以降、たまに溢してましたもんねー。存在としての実年齢とか、コマンドプロンプトに誕生日とかーって」

 

 率直な感情を吐露してヴァールと二人、顔を見合わせて苦笑いしているとリーベも楽しそうに話に乗っかってきた。

 精霊知能のなかでも特に俺と過ごす期間の長いこの子にはたしかに、過去に何度か不可思議な感覚について話してたりしていた。

 

 まあ、言っちゃうと山形公平という主体的な人格意識があったところに突如、コマンドプロンプトとしての基底人格と記憶が混ざりあったことによるある種の違和感だね。

 もちろんこれはそんな深刻な話ではない。自己同一性的なところは山形公平でありコマンドプロンプトでもあるってところで確定しているし、単純に現世とシステム領域の間に立つ二重存在となったがゆえの奇妙な状況への、ちょっとした苦笑いって感じなのだ。

 

 たとえばそれこそ実年齢。山形公平くんはこの世に生を受けて今日で16年なわけだけど、コマンドプロンプトくんは自意識的には500年、存在自体は数千億年ってレベルだ。

 そんなのが呑気に16歳だわーいとかってはしゃいでることへの、内心での冷静な俯瞰とかね。特殊な立ち位置であるがゆえにそういうのを感じ取り、楽しむことさえあるわけだった。

 

 

『どうでもいいことに楽しみを感じてるなあ。そんなのより今日の晩御飯だよ、ご馳走がたくさん出るんだろう? 誕生日とやらで今日の主役は君なんだからそれすなわち君のなかにいる僕ということでもある。だから命令するね、めちゃくちゃ食べろ!』

 

 

 怖ぁ……脳内のアルマさんが戯けた理屈でふざけた指令を出してきた。俺の誕生日は俺のものであって断じてお前の誕生日じゃないんだよ馬鹿!

 まあ、それを差し引いてもご飯はしっかりいただくけどね。毎年恒例のスーパーのお寿司とステーキとケーキ、あと野菜サラダで栄養バランスも意識して。ドリンクだってコーラだ、美味しいぞう。

 

 ましてや今年は例年に比べて倍の人数でのパーティーだからね。優子ちゃんなんかは家が賑やかになったことを喜んでいるので、今宵の夕飯もまたはしゃいじゃったりするんだろう。

 ミュトスが今夜、夕食後にいよいよヴァールに連れられて一人暮らしへと旅立っていくのだってすごいしょんぼりしてたものなあ。美味しいものを食べて、少しでも元気を取り戻してくれると良いなあ。

 願いつつも、当のお引越し張本人たるミュトスに目を向ける。

 

「ミュトス……今日でこの家から新居に引っ越すことになるわけだけど、しばらくはなるべく頻度高めでこっちにも顔出ししてもらえると助かるよ。優子が寂しがるといけない」

「モチのロンですアイアイサー! いやー本音を言うとミュトスちゃんも寂しいですし、優子ちゃんも惜しんでくれていますし。何より、コマンドプロンプト様や先輩方とこれからもっと交流したいですからね!」

「よく言ってくれたぜミュトス! 可愛い後輩よォ、オレらも何かにつけてオメーさん家に突撃すっからな、インターフェイサー的にもよォ!」

「拠点ですしね! ぜひぜひ、いつでも千客万来ですから不肖ミュトスちゃんめの秘密基地、よろしくお願いしまあす!!」

 

 俺達に先駆けて、社会的自立を果たすことになったミュトス。さりとて今後も当然山形家とは強く結びついているし、もはや一員とさえ言えるだろう。

 だからこそ、近くとは言え一人暮らしを始めたってこっちに頻繁に遊びにも来るだろうし、逆にこっちがミュトスの住まいを訪ねることも今後、それなりにあるだろう。

 

 インターフェイサーの拠点でもあるからね。

 そういう意味では山形家に次いで二つ目の、システム領域現世支部と言えるのが彼女の新居なわけだった。




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