攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1743 / 2050
悪魔セーレは瀬川のママになってくれたかも知れなかった……ってコト!?

『セーレさんに初めて出逢ったのは、僕がサークルに入って少ししてからのミーティングの時……悪魔達による、僕達サークルメンバーの見定めの会でのことでした』

『見定めの会、だと?』

 

 ぽつりぽつりと、セーレの話題を皮切りに少しずつ過去を話し始める瀬川。

 それはおまわりさんの取り調べに素直に応じたというよりかは、ただただセーレとの思い出話に花を咲かせたいだけのようにも見える。

 

 まあ、あんまり気の抜けた返事ばかりされてたって仕方ないんだから、動機はどうあれサークル周りに関しての話を聞けるのは、今後の捜査にも値打ちのあることなんだろうけどね。

 俺達もしっかりとモニターに注視するなか、彼は死んだ目のまま、決戦時よりはいくらか痩せこけた青白い顔で続けて語った。

 

『契約を結び、力を与える上でそれにふさわしい者がいるのかどうかの選定……アドラメレクさんは茶目っ気めかして合コンとか言ってましたけど、僕らサークルにとっては正式に委員会と手を組むための、一大イベントでした』

『悪魔……か。概念存在というものについてはWSOからも情報が出回っているし、実際に探査者のなかにはそうしたモノの力を利用する者もいるようだが……そんなモノがこの世にはいるのだな、本当に』

『最初は誰もがそう思いましたよ、僕らのなかでも。けれど実際に悪魔の姿を、それがたとえアバター体であっても直接見た時に嫌でも理解しました。ああ、見かけはヒトでも"向こう側"のモノ達なんだなって』

 

 おそらくは悪魔憑きを生み出すための会合だろう、サークルメンバーと悪魔達の顔合わせが行われていたらしい。瀬川が入ってすぐと言うからには、古くても5年前ってところだろう。

 彼ら構成員にとっても悪魔なんてのは、探査者達がスキルを介してやり取りしているような相手だという情報こそあるかもしれないけど基本的に馴染みのないものだったようだ。直に会って、接してみて圧倒されたというのが瀬川の正直な感想だった。

 

 そんな会合で、悪魔達が思い思いの人間を見出して契約を結び力を与える、聞く限りではまさしく悪魔の儀式みたいなことをやっていたなかで。

 瀬川はそして、悪魔セーレと出会ったのだという。

 

『美しい、あまりに美しい方でした。見るだけで惹き込まれて、話しかけられるだけで嬉しくて、側にいてもらえるだけで楽しくて……悪魔セーレは、何より先に僕を見出してくれたんです』

『それで、お前のサークル構成員としてのスタンスや思想も変化したと?』

『もちろん、変わらず功さんに付き従うのは変わりありませんでした。あの人の指示に従うのは楽しかったし、海方さんと行動するのも楽だったし、仲間達とのレクリエーションだって飽きることもなかった。でも、もっと言うなら……そうして活動するなかで力を与えてくれたセーレさんが、僕のやることすべてを肯定して褒めてくれるのがとにかく嬉しかった。僕の何もかもを受け入れてくれて、愛してくれた初めての人だったように思えたんです』

「怖ぁ……」

「チョロすぎんだろこいつ」

 

 力なく微笑みながらもセーレへの想いを吐露する瀬川だけど、聞いている俺が思うのは率直に"簡単に転び過ぎじゃない? "というものが大半だった。

 神奈川さんも思わず口にしてツッコんじゃったみたいで、半透明のステラも同じことを思っているのが丸わかりな呆れ顔を浮かべている。

 

 うん……まあ、そりゃね?

 好いた人から全肯定されて、やることなすことすべて褒められて。そりゃそういうのは実際、嬉しいし楽しいし心地よいとは思うんだけどね?

 少なくとも成人している、大学まで卒業してるような人がいくらなんでも思考停止し過ぎじゃないかと俺としては思っちゃうんだよなあ。

 

 まあ、そう思わせるほどの手練手管がセーレのほうにもあったんだろうなーってのを加味すると、決して瀬川一人が勝手に浮かれたみたいに責め立てられるわけでもないだろうとは思うんだけど。

 そこまで考えるとさらにこう、得も言われぬもんにょり感も生まれるのは事実だ。だって言っちゃうと、この男はさあ。

 

「なんていうか……お金を払って意中の人と楽しく過ごせる系のお店とかにどハマリしちゃった人、みたいなやつですかねえ、これ」

「ハッハッハー葵、それ以上はいけないよここには未成年さん達もたくさんいらっしゃるんだからハッハッハー」

「はっはっはー! そうですね失礼しました、ソシャゲの限定キャラにのめり込んで死ぬほど課金して天井を猛烈な勢いでノックしまくる師匠みたいなもんですねーはっはっはー!」

「ハッハッハー、しばくぞ」

「えぇ……?」

 

 俺の脳裏に浮かんだ言葉、それと同じような発想に至ったらしい葵さんがぶっちゃけトークをしちゃって、そこにエリスさんがすかさず乗っかって軽い漫才が始まっちゃった。

 ソシャゲ云々は俺にも死ぬほど刺さるから華麗にスルーさせてもらうとして、まあ、そういうことよねこれ。

 

 営業トークにものの見事に引っかかっちゃった上客というか、カモというか。そしてその結果、貢に貢いで素寒貧にまでなっちゃった人と言うか。

 どうも瀬川からはそういう、身を持ち崩した人と同様のものを感じちゃうんだよね、俺としては。




【お知らせ】
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二次モンスターハザード(前編)を2025/8/1からスタートします!
上述の通り前後編構成となりました、後編は来年の正月からスタートする予定ですー
よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。