攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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古今東西、色とりどりのワル達(白目)

 サークル幹部の三人、藤近功と海方陸そして瀬川聡太の取り調べが終わった。

 午前から昼過ぎにかけての長丁場にも少しばかりの区切りが打たれ、様子を別室からモニターしていた俺達のなかにも少しばかり弛緩した空気が流れている。

 

 決して嬉しいものではない空気だ。三人の受け答えから見えてきた人格や思想、そしてサークルという組織の全容が思っていた以上に独善的なものだったことに、疲れと呆れが混じり合うような雰囲気だったのだから。

 ヴァールがふう、と軽く息を吐いて言った。ある意味、誰よりもサークルの標的となった彼女だからこその所感を語る。

 

「……やれやれ、としか言えないな。それぞれ好き勝手なことを言ってくれた連中だった。これがサークルか」

「お疲れ、ヴァール。なんていうか、理解はするけど納得はできない連中だった気はするなあ」

「行き過ぎたフェアネス精神の藤近、その藤近を盲信する海方。そして徹頭徹尾、自分のことしか見えていない瀬川……三者三様の理由と思想でこそありましたが、いずれも極端すぎたのでしょうなあ。ホホホホ!」

 

 慰める俺に、続けて感じたところを仰るサン・スーンさん。

 さすがの人を見る目と言語化力というべきか、分かりやすくサークルの三人を表現してくださったように思う。

 

 俺から見ても、まだ自分なりに世のこと人のことを想い考え行動していたのはやはり、藤近だけだった。

 他の二人、海方はそんな藤近に付き従うだけのイエスマン全開だったし、瀬川に至ってはどんなお題目も大義も信念も愛でさえも結局、自分を慰めるだけの小道具にしていた感じだし。

 そんなのに比べると、藤近はそれなりではあったのかな? とは思う。

 

 まあ、その藤近も大概だったんだけどね。ソフィアさんに同情を寄せるだけならまだしも、それを高じさせて非能力者にも能力者同然の力を得られるようにと犯罪に手を染めるし。

 別に、その想いを否定するつもりはない。サン・スーンさんがフェアネスと語られたように、彼の本質は平等を重んじるタイプなんだと思う。

 だから能力者ばかりが非能力者の盾となっている社会の構造に関心を示し、非能力者にも力を得て戦えとなったんだろうし。

 

 それでも、そうした思いからやったことが結果としてソフィアさんに迷惑をかけるものでしかなかったことについては、身勝手な輩の一言でしかないということだった。

 過去、モンスターハザードを経験してきた英雄のみなさん方が、口々に思うところを述べる。

 

「平等と公正。一般的に"正しさ"とされるものを求めた果てに至った地点が今のこの場所なら、やはりやり方を致命的に間違っちゃった人達ってことなんだろうね。間違えたタイミングが悪魔の誘いに乗った時なのか、農園を閉鎖した時なのか、あるいはそれ以前なのかはエリスさんにもわかりかねるけど」

「第四次の時の親玉を思い出したよ。アイツもアイツなりに正義を掲げちゃいたが、滅茶苦茶な野郎だったからこの兄ちゃんのがまだまともまである。つってもやったことがやったことだし、どんぐりの背比べってやつさね」

「いつの世にも、正義は時に暴走するものということですね。ダンジョン聖教も直近で多大な迷惑をみなさまにおかけしていますし、改めて反省と贖罪に努めなければなりません」

 

 エリスさん、マリーさん、そして神谷さん。それぞれいくつものモンスターハザードに関わってきた方々のお言葉。

 やはり相対してきた敵のなかには、今回のように敵なりの正義や信念、大義を訴えていた者もいたらしい。それをもってやったことがスタンピードを引き起こしての大災害なわけだから潰されるのは必然だったけど、敵にも敵の信条があったということは否定するものでもないのだろう。

 

 なんなら神谷さんなんて、また今回の自分達ダンジョン聖教の動きを振り返ってるし。

 シャルロットさんにせよこの人にせよ、こちらもこちらでそうせざるを得ない理由や想いがあったんだからそれはもう良いと思うよ。

 まあ直すべきと思ったのならそうしてもらっても損ではないし、実際騎士団長さんに剣を向けられてへし折っちゃった俺としては、そうしてもらえると助かるからね。

 

「ノインノア・ジェネシスはその点だとシンプルなカス野郎ばっかりだったし、悩まなくて楽だったなー。そもそも初手から人を拉致って人体改造だから、正義もへったくれもありゃしなかったもんなあ」

「怖ぁ……」

 

 一方、ロナルドさんも自分が戦った組織を例に挙げ、しみじみと語るんだけどちょっと毛色が違いすぎる。

 この人が活躍した第七次の場合、思想がどうとか以前だものね。どんな理由があろうと絶対に許されない人体実験を行っていた邪悪な組織に対する反抗戦であり、ロナルドさん自身も被験者であったことから復讐の戦いでもあったわけで。

 正義だ悪だと悩む余地すらなく、向こう側が真っ黒だったからそのへんについてはシンプルだったと言えちゃうんだろうなあ。

 

 ワルにもいろいろいるもんだ。

 邪悪なる思念だ倶楽部だサークルだダンジョン聖教過激派だと相手にしてきたなかで感じるある種の多様性を、俺は改めて感じていた。




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