攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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これぞ救世主流・聖女継承の儀?

 さわやかスポーツマン風精霊知能、ティートレによるまさかの大きく振りかぶっての全力投球称号剥奪アンド付与。

 これには周囲もドン引きと恐怖と緊張で凍りついた空気を発するなか、俺はとりあえずスキル《よみがえる風と大地の上で》を発動させてアレクサンドラのステータスを見た。

 

 ティートレの処置を信じていないわけではもちろんなく、あくまで《聖女》がきちんと剥奪されているかどうかの確認だ。

 ああ、あと一応だけどシャーリヒッタによる《異分子処断権限》でのステータス封印凍結処理もどうなってるかは確認しておこうか。

 一体化して処理を半減までに留めていたウーロゴスが引き剥がされた今、完全な威力を発揮しているはずだけど、さて。

 

 

 名前 火野アレクサンドラ レベル1008(封印中)

 称号 元聖女

 スキル(封印中)

 名称 土魔導

 名称 風魔導

 名称 頑健

 名称 超再生

 名称 威圧

 名称 気配感知

 

 称号 元聖女

 効果 なし

 

 

「よしよし。称号が《元聖女》になってる。ステータス封印も出力50%とかでなく完全なものだ。今の火野アレクサンドラは完全に非能力者と同じだな」

「《ステータス》……なるほど? どこの概念存在だかは知りませんが、ステータス封印までできるような輩と同質のモノを連れてきて私の《聖女》を手動でシャルロットへと。精霊知能とはまた、精霊なのかなんなのか」

 

 ──想定通りのステータスを確認して、俺はホッとする心地で息を吐いた。見ればアレクサンドラもまた、自身のステータスを確認して疑念と疑惑の眼差しで俺とティートレを見ている。

 自身のことだ、元よりレベルやスキル、称号効果が完全停止していることはもちろん理解していただろう。そこに加えての《聖女》称号の剥奪にも、思っていた以上に冷静な反応を返してきている。

 

 もはや聖女というものに、なんら興味関心を持っていないというのは本当のようだな。元より夢を叶えるために利用し尽くすつもりでしかなかった立場と称号なら、それが挫けた以上はもうどうでも良い、か。

 思惑がどうあれこの女の、半生に関わるものだったろうに。神谷さんがその姿に沈痛な面持ちになるのまで含め、どこまでもやるせない人だ。

 

 まあ、邪念妄執の類ともこれで縁を切り、少しでも更生と贖罪、改心の道に目を向けられるようになってくれることを俺としては祈るばかりだよ。

 翻ってシャルロットさんを見る。彼女もまた、自身のステータスを確認していたようだった。

 たしかな困惑と歓喜を表情に載せ、俺に言ってくる。

 

「や、山形さん……なっています、称号が。《聖女》に……!」

「一応、俺のほうからでも確認させて良いでしょうかシャルロットさん? 称号付与に際して何か不具合が起きていないかどうか、たしかめたいんです」

「は、はい! どうかご覧ください、私の、ステータスを」

 

 微かに頬を上気させている。念願というべきかはともかく悲願ではあったのだろう称号の継承を果たせて、軽い興奮状態にあるみたいだ。

 ステータスを覗き見るという、相手ないし適切な立ち位置の人からの許可なくば基本的に使用してはいけない類の鑑定スキルをも即座に許し、むしろすぐに見るよう急かしてくる様子からもそれは伺える。

 

 まあ、この分だと問題はなさそうだけどね。

 念のため、コマンドプロンプトの目から簡易的なチェックも兼ねて確認させてもらおうか──

 

「《よみがえる風と大地の上で》」

 

 

 名前 シャルロット・モリガナ レベル692

 称号  聖女

 スキル

 名称 光魔導

 名称 気配感知

 

 称号 聖女

 効果 任意の相手にこの称号を継承させる。継承後、元の保持者の称号が《元聖女》になる

 

 

 表示されたステータスを、その裏にあるプログラムのスクリプトやプロパティまで含めて即座に確認してチェックする。問題なし。

 間違いなく称号は《聖女》になっていて、スキルやレベルなど他の部分に変な影響も及んでいない。

 

 称号自体もエリスさんからラウラさん、マルティナさん、フローラさん、神谷さんと来てアレクサンドラからシャルロットさんと継承されてきたものだと履歴にも残っている。

 しっかりと、元々エリスさんが保持していた《聖女》だ。そこを確認し終えて、俺はティートレに笑いかけた。

 

「最高の仕事ぶりだよティートレ、ありがとう。おかげさまでシャルロットさんやダンジョン聖教の人々が助かった。もちろん、俺もね」

『もったいなき御言葉! こんなこともあろうかと騒動が起きたあたりから頑張って投球フォームの練習をしてきた甲斐がありました! キャッチャー役で手伝ってくれたヌツェンには感謝していますよ!』

「投球練習!? そんなことしてたの、しかもヌツェンと!」

『忙しい合間を縫って、元から似たような立場だからと買って出てくれました! まあ"そもそもこんな練習必要ないと思いますけど"とは言われましたけども! これも気分の問題ですね、んんんんナーイス・ピッチーング!!』

「怖ぁ……」

 

 なかなか独特なノリだなあ、このラガーマンだか野球青年だかめいた精霊知能さんも。

 ヌツェン──バグフィックス担当の精霊知能で今やシャーリヒッタに代わりワールドプロセッサの補佐役を務めてくれている彼女まで投球フォームの練習に付き合ったってのがなんだか意外だ。

 

 あんまり忙しいとたまには身体を動かしたくなるんだろうなあ。まさしく気分の問題か。

 どんどん知的生命体らしい振る舞いをするようになっているこの子達に、なんだか場違いにもホッコリする俺ちゃんである。




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