攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
サークル幹部三人やアレクサンドラ、そしてアドラメレクの取り調べから数日が経過した。
季節ももう11月に入り、いよいよ秋らしい陽気と冬の訪れを予感させる寒さが入り混じってきた今日この頃。
我らが母校、東クォーツ高等学校におきましてはいよいよ今週末に文化祭があるってことでして、クラスメイトもそれ相応にウキウキソワソワした空気を醸し出していたりする。
お祭り前の高揚感ってやつだねえ。
「もうすぐ文化祭ですねえ。クラスのみんなの頑張り、先生も楽しみにしてますよお〜、えへへへ!」
「さやかちゃん先生、文化祭は俺達と出店回ろうぜー!」
「なんなら6組のメイド喫茶んとこ行ってメイド服着てください! うおおおおお年上清楚子犬系天然お姉様教師のメイド奉仕ッ!!」
「男子っていうか中野サイテーマジサイテー」
「怖ぁ……」
授業を終えてのホームルーム、後は帰るだけって段でのうちの担任さやかちゃん先生からの軽い連絡と雑談。
先生もやっぱり文化祭直前の空気に当てられてテンションが上ってるのか、いつもポヤポヤしてるけど今はそれ以上だ。子犬を思わせる可愛い系の年上のお姉さんがそんな姿を見せるもんだから、少なくない数の男子が鼻の下を伸ばしているのが見えるね。
メイドスキー中野くんなんか興奮して叫んでしまってるよ。
……なんならそんな男子を見て少なくない数の女子が冷たい目をしているのが若干怖い。
このクラスは基本的に男女全体で仲が大変良い珍しめの集団なんだけど、ことさやかちゃん先生にまつわる反応だけはちょっと溝があるのがおっかない話だ。
しかも当の先生本人はド天然ゆえにまったく気づいていないっていうね。
なんなら自分だって体育の中山先生と英語の磯田先生を交えたアレコレに巻き込まれていることにも一切、自覚がなさそうというある意味では肝の座った人だったりする。
そんなだからかうちの女子も、妬みとか僻みっぽい感じにはなりつつもそこまで本気ではなくさやかちゃん先生に絡んでいく。
年の離れた友人関係みたいだけれど、これで先生は先生としての職責に対してすごく真面目だし、クラスのみんなもそれはよく分かっていて、だから慕っている構図になるわけだね。
今もほら、クラスのリア充女子達がからかうように声を上げている。
「さやかちゃん先生、楽しみにしてたもんね関口くんの勇者コス。いやーやっぱ男子のなかでも関口くんっすわホント」
「試着は何回かしてもらってるけど、もうホントに目の保養ったら! 関口くんと同じクラスに入れたの、私の人生のなかでもトップクラスに運が良かったわー!」
「それなー、マジ最高」
「は、ははは……いやいや、衣装が良かったんだよ。衣装班のおかげだよ、うん」
男子の人気者たるさやかちゃん先生もやはり、特に気にしているのはクラスどころか学校、いやいや地域一のイケメン探査者関口くんの晴れ姿か。
うちのクラス、1年13組の出し物演目"勇者関口物語"の主人公役、勇者関口くんがこないだからたまーに試着している勇者衣装について女子が話しているのを見て、俺ちゃんもたしかにアレはよく似合ってたなーって思い返す。
さすがにガチの鎧とかは当然、調達できないわけなので基本は布のローブにアレコレ装飾した感じだった。
きらびやかで派手ながら、華美になりすぎない程度に抑えられたデザインだったし、モデル体型の関口くんが着こなしたらそりゃもう王子様だか勇者様ってなもんよ。
そんなわけで女子達が騒ぐのもさもありなんって話なんだけど、当の関口くんは少しばかり顔を引き攣らせて、取り繕うように爽やかに笑っている。
こんな話題に名前出されたって困るだけだもんなあ。最悪教師間のトライアングルに巻き込まれかねないリスクさえ考えると、生きた心地がしなさそうなのは間違いない。
イケメンにはイケメンなりの苦労があるんだよね、きっと。フツメンで良かったとこの時ばかりは思うのです、俺ちゃん。
「ええっ!? せ、先生は関口くんだけ贔屓してたりしませんよ!? まあたしかに、こないだ雑誌で見かけたイケメンがリアルに近くにいるんだーみたいな気持ちになって、なんかこう昂る推し心が芽生えかけたりもしますけど! 公私混同はしないのです!」
「分かりみー。ガチ芸能人が近くにいるって変な感じしますよねー。まあそれを言うなら、山形くんも大概ですけど」
「ああー……まあ、それはそうですねえ」
「えぇ……?」
俺ぇ? そして俺ぇ? なんで俺ぇ?
突如として関口から俺ちゃんへとターゲットが変わった。クラスのみんなが俺を見るのが分かっていて居た堪れない、やめてよこんなフツメン見たって出るのはシャイニング芸だけですよ!
とまあそんな内心の慌てはともかく、言いたいことは正味分かる。メディアへの露出でいうなら俺も結構アレだからね、別の意味でだけど。
振り返ればこの半年、例のシャイニングクソ滑りインタビューから始まりドラゴン騒ぎだの第八次モンスターハザードだので折に触れ、お茶の間をお騒がせしちゃってきたのが不肖シャイニング俺だ。
知り合いからするとさぞや不思議な感覚だろうさ、あっ、クラスメイトがテレビの向こうで発光してる! って。UMAかな?
さやかちゃん先生もどこか気遣うようにこちらに目を向けつつ、けれど概ね今、俺が推測したようなことを言ってくる。
「もちろん関口くんとは方向性が違うと言いますか、こうして茶化すように話に上げるべきじゃないですけどー……山形くんこそ、時折ふと視界に入るとドキッとしますよね。"あっ、こないだテレビで巨人相手にビーム打ってた光る探査者の人"って。ごめんなさい山形くん、変なこと言って」
「怖ぁ……いえ、まあ、気持ちは分かります」
テレビで巨人相手にビーム打ってた光る探査者の人。なんだろうねこのネタキャラ感。ネットでおもちゃ化不可避じゃん。
しかもクラスメイトの少なくない数がぎこちなくも分かるーと言わんばかりに軽くうなずいてるもの。なんなら俺自身そうだもの。
救世主云々といいこれといい、つくづく変な方面で有名になっちゃったもんだよ……
新エピソード開始ですー
【お知らせ】
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード前編─北欧戦線1957─
8/1から毎日0時に連載しています!
よろしくお願いしますー
「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー
【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!
コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
pash-up!様
( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
よろしくお願いしますー!