攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
クラスのなかでも、それこそ教師含めてさえも俺ちゃんの評価がUMA同然の怪奇探査者なのはもう、仕方ないこととして。
ともあれもう数日したら文化祭なのだ。やはり待ち遠しい気持ちを胸に俺といつもの友達みんなは放課後、学校帰りのショッピングモールに軽く立ち寄り駄弁りながらも散策したりしていた。
「俺らは初めての文化祭だからイマイチピンと来ないけどよう。なんか今年、えらく豪華なシークレットゲストとか呼んでるらしいぜ」
「えっ、そうなんだ? 初耳だけどそれどこ情報?」
「こないだ生徒会室の前通ってたら、なんか生徒会がテンション高く騒いでたからいやでも聞こえてきたんだよ。なんかサインがどうの言ってたぞ」
「生徒会かあ……」
フードコートで軽く何かつまむかと、席に陣取り各自好きなものを好きなだけ頼む。そんななか、松田くんがふと思い出して溢した、今年の文化祭におけるちょっとした情報。
そもそもゲストとか呼ぶんだ、という素朴な疑問はさておき、何やら豪華なことになってるそうな。
生徒会……東クォーツ高校も当然そういうのはあるみたいなんだけど、あんまり存在感はないんだよな。
俺ちゃんなんてラノベの受け売りから、やたらと政治的というか大人の世界にさえ影響力を持つようなエリート集団のイメージを持ってるんだけど、現実は当然学生は学生の範疇だ。
今回の文化祭とか、あるいは来週の体育祭みたいな学内イベントにおける名簿作成とか各委員会のまとめ上げとか、そういう裏方方面での教師陣のサポートがメインの活動みたいになっているみたいだね。
一癖も二癖もあるメンバーがカリスマチートな美男だか美女だかの生徒会長の下で、まるで世界を牛耳るかのような勢いで物語を展開していく──なんてことがあるはずもない。
こうした実態は実のところ、入学して間もない頃に判明していたりして。
一般的な高校生活のモデルが完全にラノベ由来だった俺ちゃんとしましては、フィクションはフィクションだなーってしみじみ考えさせられたのはここだけの話だ。
「にしても、シークレットゲストねえ……たしかハミングバード・サーチャーズは来るらしいのは知ってるけど。それでも相当派手よねー」
「ハミバなあ。夏頃に俺らってか山形はたしかニアミスしてたよな、ちょうどこのモールで。ほら、関口くんと緊急でダンジョン探査した」
「あー、あの時のアイドルさん達。覚えてるよ、一応遠目からだけどチラッとだけ姿も見えたね」
「メンバーの一人が関口くんのパーティメンバーなんだっけ。探査者アイドルグループもいろいろあるから、なかなかこんがらがるよな」
シークレットではないほうの、普通に広報されているゲストについても言及するみんな。特に木下さんはそのへんの情報には聡く、ちょっぴりミーハー気質さえ伺わせる。
ハミングバード・サーチャーズ、通称ハミバ。10代半ばの女性探査者5人で構成された、昔からありがちな歌って踊れて探査もこなすアイドルだね。
片岡くんや松田くんもご存知らしい、そして俺も本当にちょっぴりだけ御縁のある探査者アイドルグループだ。
それってのも数ヶ月前の夏休み中、まさしく今いるこのモール内をこうして友人達と遊び歩いていた時……かのグループもなんか地方巡業だかイベントだかを催そうとしていて、しかし突然発生したダンジョンによってそれが妨害されていたのだ。
そんでもってそのイベントに出席予定だったのが、ハミバのメンバーの一人とパーティを組む間柄らしいのがよもやまさかの関口くんで。
彼は彼なりにどうしたもんかと考えていた折、自由研究も作成し終えて呑気こいてた俺ちゃんを発見。一緒に件のダンジョンを探査しようと申し込んできたので、一も二もなくうなずき一緒に探査したわけだ。
結果として無事にダンジョンは踏破でき、ハミバも問題なくイベントを開催することができたそうな。
そんなハミバの人達が、東クォーツ高校文化祭にゲストとして来るってのは俺も知っていた。まあ確実に関口くんとのつながりだろうなって、彼もはや芸能人じゃん怖ぁ……という畏怖さえ抱いたのは記憶に新しいよ。
数日後にはもしかしたら、アイドルグループを生で拝める可能性がある。ミーハー心には堪らんものがあるよね。
俺の隣で梨沙さんも、ちょっと期待に目を輝かせてたりするし。特にハミバは新進気鋭って話だもんな、今後さらにビッグになったりしたら、将来の良い思い出になるかもしれない。
しかしそうなると気になるのが、そんのハミバさえ押し退けてシークレット扱いになっているというゲストさんだ。
一体誰なんだろう? 首を傾げる梨沙さんが、俺にも意見を求めてきた。
「シークレットゲストって誰なんだろうね? すごく有名人だったりするのかな、公平くん」
「だろうねえ。正直、芸能人さんについてあんまり詳しくないからアレだけど、ちょっとワクワクしちゃうよね」
「ね! ……あ、でも。もしかしたら公平くんのお知り合いの探査者の人達が来るかもなんだよね? もしかしたらそちらのほうがよっぽど世界規模の有名人かも」
「あっ……」
言われて気付く。他ならぬ俺ちゃんの知り合い、それこそとんでもないビッグネームばっかりじゃん。
言わずと知れたWSO統括理事にS級探査者複数人。知名度の点ではメインストリームなA級さんも何人もいるよ。
なんならそのうちの少なくない数がすでに、今回の文化祭を物見に来るのが確定しているし。
これは、なんだかすごいことになりそうだ。今さらながらカオスの予感を覚えて俺は、思わず息を呑んだ。
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