攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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名前を言ってはいけないわけじゃないけど言いづらいシャイニングの人

 梨沙さん達との楽しい放課後も終わってお家に帰る。今日のご飯は秋めいた秋刀魚の塩焼きに豚汁にほうれん草のおひたし、そして何より炊き込みご飯だ。

 脂の乗ったジューシィな秋刀魚への想いもひとしおながら、炊き込みご飯ってのが実に食欲をそそるよね。だもんでさっきのフードコートでも、間食は控えめにしていたほどだ。

 

『メインディッシュに気を遣うのは素晴らしいけどね、フードコートでの食を減らしたのは君減点だよ? 遠野真知子を見なよ、彼女だって今日の晩はモツ鍋だーとかはしゃぎながらラーメン三杯食べてたじゃないか。アレこそ君の目指すべき姿、僕の理想とする姿だよいい加減見習う姿勢くらい見せてくれ』

「無理に決まってんだろ馬鹿野郎! 勝手にリアルフードファイターを目標に設定するんじゃあない!」

 

 帰宅後、自室にて入浴の準備をしつつも脳内のアルマさんにツッコむ。こいつホント遠野さん好きなんだよな怖ぁ……

 それ自身は良い傾向だとしても、彼女とその親類縁者にしかできなさそうなコズミックストマックパワーを俺にまで強要するのは実際止めてほしい。真似したらはちきれちゃうよ俺の腹。

 

 なおもぶつくさ言いつつも、それでも晩御飯はアルマにとっても楽しみなようで精々入浴で汗を流して、さっぱりした気分で食を楽しめよと微妙にストイックなことを言われつつ風呂場へ向かう。

 道中のリビングにて家族に風呂入るからねーと声掛けすると、ソファにて座っていたシャーリヒッタが振り向き応えてくれた。テレビのニュース番組を見ていたようだ。

 

「父様! 行ってらっしゃいませ、なんならお風呂ご一緒しても良いですか!?」

「駄目だよ当然怖ぁ……なんかめぼしいニュースでもあった?」

「いえ、特にはないです。関西の若手探査者特集とかやってくれないかなーって見てるんですけど、父様への言及はあるんですかねェ」

「そ、そう……ないと良いな、切に……」

 

 当然のように入浴をせがんでくるのはスルーするとして、ニュース番組に目を向ける。関西ローカル局の、よくあるバラエティめいた総合情報番組ってやつだ。芸人さんがやたらコメンテーターしてる類のあれね。

 そんなテレビ画面には若手探査者に直撃! ってなもんで、リポーターが探査者らしき人達に取材している。俺の名前が出ることを望んでいるらしいシャーリヒッタだけど、俺としては頼むから山形のやの字も出してくれるなよと言いたいところだ。

 

 何々、関西若手探査者の集い──あっ、こないだ見た人達!

 えーっとたしか、Cセクションリーダー兼スカウトプロデューサーの姫城茂さんだ! なんか色シャツに黒ジャケット姿でにこやかに、質問に答えていらっしゃる姿がテレビに映ってるよ。

 関口くんとはちょっと方向性の違う、チャラい感じの爽やかイケメンさんだなぁ。

 

『──それでは姫城さん、今後も有力な新人探査者さんをどんどんスカウトしていきたいと! そういうことですね?』

『もちろんですとも! 特に今年デビューしている新人の方々はとてつもない才能を持つ麒麟児ばかりですからね。まあ筆頭のあの、光る彼はさすがにお声がけするのも憚れるんですが……』

『あっ、シャイニングなあの人……そうですね、あのー、あの方はちょっといろいろ、次元が違いますもんねえ』

『はは……ま、まあ他にも有力な若手は山ほどいて、しかも未だクランに入っていませんからね! これからも関西若手探査者の集いを広げ、日本一のクランにしてみせますよ!』

 

 えぇ……? 普通のインタビューのなかに明らかに今、変な単語が入ってたよね? 彼とかあの人とか、光るとかシャイニングとか。

 しかも姫城さんもリポーターさんも何を若干言い淀んでいるのか、止めろ止めろそんなんなら最初から言及しないでくれ! たしかに山形のやの字じゃないけど、シャイニングのシの字も止めておくれー!!

 

 テレビ業界内でもやっぱり、珍妙な光る探査者として微妙な扱いをされているのかな? な俺ちゃん、現実逃避に思わず瞑想して気分をスーッとさせちゃったよ。

 というかナチュラルに次元が違う扱いで若手からハブるの止めてもろて。やはりどうにかして若手の方々とも交流を深めねばならないなこれは。

 

 別枠扱いなんて冗談じゃないニュービー探査者山形くんとしては、このままいつまでも"あっ、光る別次元の人"などとまるで宇宙人みたいな感じで同世代から見られるのも堪ったもんじゃない。

 陰キャにはハードル高いけど、どうにかジワジワとでも新人さん達若手さん達とやり取りをしなければ……決意を深める俺に、構わずシャーリヒッタが喜色満面にテレビを指差し言ってきた。

 

「あっ! 父様父様、父様のことですよねこの光る彼とかシャイニングなあの人とか!! 別次元でお声がけするのも憚られるたァ分かってんじゃねェかこのチャラ助にリポーターの姉ちゃん、そーだよさすが父様なんだぜ!!」

「なんのことかな僕わかんないや、じゃあお風呂入ってくるねグッバイ」

 

 こっちはこっちで俺へのこういう扱いを歓迎しているのが怖い。この子に限らず伝道師さんはじめ救世の光関係者はみんなこんな感じなんだろうな怖ぁ……

 あるいはテレビの人達も、俺に関しては例の宗教絡みもあるから余計に扱いづらいのかもしれない。それについては残念ながら当然としか言えないよね、ホント。




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