攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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シーズン到来を告げる食事、いいよね

 ネットを漁れば出てくる、探査者ブームの過去と現在。そこから未来を類推するのも楽しそうだけど、さりとて晩御飯のお声がけがあったのでリビングへと向かう。

 リーベ達も風呂から上がって父ちゃんも帰ってきており、一家揃った状態だ。もちろんアイもいるよ、食事をするのに万全の体制だね。

 

 そんなわけで俺ちゃんと優子ちゃんでお箸とお皿を用意してー、リーベとシャーリヒッタがおかずをテーブルに並べてー、そんでもってみんなで列を作って炊き込みご飯をお茶碗に盛るの。

 春先に比べて人数が増えたもんで、炊飯器も大容量のものに新調されている。こないだまでは居候としてミュトスもいたからこれでも足りないかも? と危惧されていたけれど、彼女も独り立ちしたから特に問題ないね、お代わりだってできちゃうぞ!

 

「それじゃ、いただきまーす!」

「いただきますー!」

「いただきます!」

 

 みんな着席したら、両手を合わせて食への感謝を込めての合唱。命を喰らうにあたっての礼儀だ、そこはしっかりするよ。

 秋の味覚の代表格、秋刀魚の塩焼きをまずはひとつまみ。んー、よく脂が乗っていて塩気と混じり合ってジューシーなことこの上なし! 炊き込みご飯も、鳥五目なんだけど白米にない味わいと風味、歯応えがあって舌の上がゴージャスだぞ。

 

 なんていうか、シーズンごとに"あー、これが食卓に出たらいよいよ季節だなー"ってなる食事ってあるよね? 俺にとっては秋のそれは秋刀魚と炊き込みご飯で、それが出てきたってことは秋めいてきたなーって実感を伴うわけなのだ。

 もちろん、暦の上ではとっくに秋なんだけどさ。今年も結局、10月下旬くらいまで夏の匂いが色濃かったから……12月も半ばくらいになると今度は冬になってくるんだろうし、秋の短い年が続いてるよ。

 

 しかし、だからこそこうして味わう秋の味わいには価値がある。夏と冬の狭間、暑さと寒さの隙間にある柔らかな温かさと涼しさを感じられる季節を、味覚として味わえる瞬間は至福だ。

 脳内のアルマさんもこの味わいにはご満悦でしきりに美味い、もっと食えもっと食えと叫んでいる。まあまあ落ち着けと言わんばかりに豚汁をひと啜りすれば、うん美味い! こちらも程よく出汁の効いた加減だ、さすが母ちゃん。

 

「いやー、秋刀魚の塩焼きで呑むビールはサイッコーだな! ここにミュトスさんがいたらきっと、喜び勇んでビール缶10本くらい空けてたぞ」

「さすがにそこまでいくならリーベちゃんが止めてるでしょうけどねえ……彼女、元気にしてるの公平? 連絡とか取ってるんでしょ?」

「うん? ああ、もちろんもちろん。香苗さんと同じマンションだからか頻繁にあの人ともやり取りしてるみたいだし、毎日グルチャに写真とか投稿されてるのを見てるよ。仲間と会話とかもよくしてるし」

 

 酒を飲みつつも、こないだまで同居してた同じ酒飲みであるミュトスに想いを馳せる父ちゃん。母ちゃんも一人暮らしを始めた彼女のことはいろいろ気にかけているようで、俺に質問してくる。

 当然ながら俺ちゃんも、ミュトスのことは気にしているから折に触れて動向や暮らしぶりを確認させてもらってはいるよ。一応ながら彼女に限らず、現世における受肉した精霊知能達の監督責任者的な立ち位置ではあるからね。

 

 で、そんなミュトスだけど香苗さんとの交流を中心にいろいろ、新生活を楽しんでくれているみたいだ。

 新規探査者登録して教育を受けているのももちろんのこと、香苗さんや宥さん、それに彼女達の友人と知り合い交友関係を広げているとか。あるいは新規探査者として、近いタイミングでデビューした人達と交流したりと順調に世界を広めているらしい。

 

 その様子を写真に収めて俺と仲間達のグルチャ"救世の光出張所"に投稿して、さらにそれをネタに時間の空いてる人達と雑談に興じたりとまあコミュ力の高いことをナチュラルに行っていらっしゃる。

 なんなら最近は居酒屋めぐりも始めたそうで、そこはリーベがニッコリ笑って頻度を高くしないようにと釘を差していたね。怖ぁ……

 

「そんでもアイツも無論、理解してますがメイン業務はやっぱりインターフェイサーだ。オレやリーベも日中にゃちょくちょくアイツの家に行って、組織立ち上げのための資料作りをしたりしてます。だから早々生活に問題はあったりしないんだぜ!」

「織田さんのところからも、ホントにイヴちゃんが出向されてきたりしてますしー、神奈川くんとステラちゃんもこっちに越してきたりもしてますから、ミュトスちゃんのみならず公平さんやリーベちゃん達の私生活もさらに賑やかになるかもですねー!」

「そうかあ、賑やかなのは良いことだ! 公平、これからもミュトスさんのことは気にかけるんだぞ? 一時的にでも一緒に暮らした、彼女も俺達の家族みたいなものなんだから」

「あと、たまには顔出してねって言っといてね? ミュトスさんいないの、やっぱり寂しいし」

「分かってる。あの子が楽しく明るく現世生活を送れるよう、サポートするのも俺の役目だよ」

 

 器の大きい父ちゃんや寂しがり屋の妹ちゃんに、俺はにこやかに笑ってうなずく。

 ミュトスももはや山形家、たまには元気な姿を見せてくれだなんて嬉しいことを言ってくれるね。感謝に堪えないよ。

 

 精霊知能としても山形家の一員としてもミュトスは大切な仲間なんだ。一人暮らしして彼女自身の世界を広げていくなかで発生するかもしれない問題やトラブルもあるだろうし、そんな時にきっと力になれる場面があるんだろう。

 そんな時は全力でサポートし、彼女の現世ライフを助けたいよね。リーベもシャーリヒッタも同じ想いで、俺と顔を見合わせうなずくのだった。




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