攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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地味だけどシャイニング。見た目普通だけど救世主

 そうしてさらに数日が経過し、いよいよ文化祭当日を迎えた。いつも通りに支度して、東クォーツ高校へと向かう俺ちゃん。

 電車やバスの車内で見かける同じ学校の学生さん達は、今日ばかりはみんなウキウキした様子で楽しげに友人同士語り合ったりしているね。俺もウキウキしたいところだけど一人だもんで、静かに内心ワクワクするに留まっている。

 

 今も高校直通のバスの車内、吊り革を掴んで立つ俺のすぐ近くで同級生さん達があれこれテンション高く話したりしている。

 はしゃぎすぎのきらいもあって、ちょっぴり声が大きいまである。あんまり騒ぎすぎて怒られたりしないだろうか、ちょい心配だよ。

 

「んじゃさー、私らまずはメイド喫茶行ってー、屋台行ってチョコバナナ食ってー! そっからお化け屋敷行こっか!」

「13組の演劇が11時からだったよね、関口くん主役の舞台! メッチャアガるんですけど、超イケメン学生探査者の演技とか!」

「梨沙ちーも出演するんでそ? っかー良いよね13組は、学内トップの美男美女揃いで! うちのクラスにも分けてほしいわー特にイケメン」

 

 怖ぁ……女生徒達のようで割とあけっぴろげな本音トークを展開しているのが嫌でも聞こえてくる。

 どこのクラスか知らんけど、同じクラスの人がここにいたらちょっと気の毒かもしれない。関口くんと梨沙さんを引き合いに出されてるんだもんなあ。

 

 というか、関口くんはもちろんのことやっぱり梨沙さんも交友関係広いんだよね。揃って入学して半年かそこらだけど、同級生はもちろん上級生達とも仲良しさんだったりするみたいだし。

 まさしく異次元のコミュニケーション能力だ、どこぞのシャイニング陰キャとは格が違う。むしろなんで俺ごときがあの二人と友人同士なのか? その謎を知るべく俺はシステム領域へと向かいたい気分だよ。

 

 しみじみと、なんやかや13組に入れたことを改めて天の配剤に感謝しているとさらにかしましい話は続いていく。

 やはり関口くんが主演ということで演劇"勇者関口物語"は相応の注目を浴びているみたいだ。この三人の他にもチラホラ、演劇についての話をしているのが聞こえてくるもの。

 

「関口くん主演で、タイトルが勇者関口物語──彼、たしか《勇者》ってスキルを持ってるんだよな。すっげえレアスキルらしいけど。それをタイトルに付けてるってことは」

「やっぱりバトル的な感じなんだろうなあ。やっべえ、探査者のガチな動きを生で見れるかもしれない。基本、動画越しだもんな」

「っていうか13組だろ? そんで探査者の関口が出るってんなら、もう一人のあいつ……シャイニング山形は出ないのか? 探査業界じゃ今やアイツのほうがいろいろ目立ってるそうだぞ」

「あー、それな。探査業界ってかネットでもかなり目立ってるよな、主に御堂さん絡みで」

「えぇ……?」

 

 ナチュラルに俺の名前が出たな……これまた当たり前のように香苗さんの名前込みで。

 13組の演劇で探査者の関口くんメインってことで、同じクラス同じ探査者である俺にまで話が至らないこともないかもとは思っていたけどもなんだか居た堪れない。本人ここにいまァす!

 

 ちょっと離れた座席での会話だもんで、向こうさんは俺の姿など見えていない。登下校時のバス内なんて学生さんでごった返しの満員だからね、仕方ないね。

 でも俺の周囲の人の何人かはギョッとして俺に視線をやるあたり、車内での知らない人の会話に耳を傾ける人は意外と俺以外にもいるんだね。目が合うと気まずいので気持ち視線を窓の外へとやる。もうすぐ学校だあ。

 

「シャイニング山形は、ほら……地味ってかぶっちゃけ、舞台の上に立ったらちょい普通だろ? まして関口やら佐山さんと並んだらなんか、マジで引き立て役にしかならなさそうっていうか。すごいのは分かるんだけど」

「探査者としてはマジで歴史に残る天才だ、って話はあちこちで聞くんだけどなあ。見た目が普通だと、どうも実感はないっていうか。そういう意味だとやっぱ、関口くんがそういう天才だったらなるほどーってなったんだけどな」

「でもよお、よく知らんけど山形くんも最近、女子で陰ながら人気みたいだぞ? 夏休みにモンスター相手にビーム放ってるのテレビで流れたもんな。ありゃすごかったわ、たしかに」

「あー……ちょくちょく耳にするよな、学校の外でもなかでも。強くて金持ちでしかも人脈までヤバいんなら、そりゃ多少見た目が普通でも人気は出るか」

 

 地味とか見た目が普通とか言われ過ぎでは? ……いや自分でも自覚はあるわ、普通で地味だわ俺。ぐうの音も出ないわ俺。

 しかしながらなんか陰ながら人気って話はちょっと嬉しい。概ね俺自身ではなく俺に付随しているものに注目されてそうなので浮かれる気にはなれないけど、それでも嫌悪されているよりは良いからね。

 

 バスが停まる。すっかり景色は山の上、東クォーツ高校前だ。学生さん達の波に逆らう理由もなく従い、順番にお金を払って車から降りる。

 なんだか反応に困る話いくらか耳にした朝の登校だったけど、特段マイナスな感じの話でもなかったし良しとするか!

 

 なんなら女子人気が云々ってところでなんだかテレテレ山形くんになりそうな心をそっと瞑想でフラットにしつつも俺は歩き始める。

 今日は文化祭、一年に一度の高校のお祭りだ。できる限り楽しくやっていきましょうかね!




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