攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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たまに出てきてヒロイン力を見せつけてくる佐山ムーヴ!

 さておき、ぼちぼち文化祭も開始の頃合いだ。開会式だけは全校生徒集合で行うってんで、軽いホームルームを挟んだ後に体育館へと向かう。

 外部からの訪問者が校内に立ち入れるのは10時からなので、それまでの間にもろもろ準備をしなくちゃいけないから大変だよ。特に出店とかするクラスはこのあたりからもう時間の勝負だろうさ。

 

「その点、うちのクラスは演劇にしたの正解だったかもね。事前準備こそいろいろあったけど、当日は割合時間が余るし」

「だね! やっぱりせっかくのイベントだし、あちこちゆっくり見て回りたいもんね」

「と言ってもその前に劇本番があるんだ。佐山さんはともかく山形も、照明の仕事があるのは覚えといてくれよ」

「もちろん」

 

 この日ばかりは体育館にて集合っても、出席番号ごとに前に倣えで並ぶわけでもない。各々好きなグループで好きに屯う、割とフリーダムな感じで実に新鮮だ。

 かくいう俺ちゃんも梨沙さんや関口くんと軽く話しながら体育館の入口付近に陣取った。やることが終わったらすぐさま外に出られるポジションの確保は陰キャの嗜みだ、少なくとも俺的見解ではね。

 

 ただ、さすがは人脈豊富でみんなの人気者な美男美女関口くんと梨沙さんで、何もしなくても勝手に彼と彼女の周辺に人が集まってきておりそれについてはたまげるしかない。

 なんなら上級生のグループだって多くいるよ? 何、なんなの勢力争いでもしたりしてるのこの二人? 東クォーツ高校天下二分の計みたいじゃん。

 

「久志くーん! 演劇見に行くからね、頑張ってー!」

「ありがとう! 頑張るから応援よろしく!」

「よう、久志……時間あるなら俺らのクラスで飯食いに来いよ。焼きそばとたこ焼きやってるからよ。お前だけならタダにしといてやる」

「はい、ありがとうございます先輩! ご相伴に預かります! ……お、ちょっと前に出るか山形」

「あっ、はい」

 

「梨沙ちゃーん、俺達と一緒に店見て回ろうぜー」

「ごめーん! ちょっと先約入ってて、あはは!」

「ちょっと男子ー、空気読めよなぁ? ほら隣の彼、シャイニング……」

「あっ……そっかぁ、そりゃそうだわな、普段からだもんなあ。梨沙ちゃん頑張れよ!」

「何が!? ……応援サンキュー! あ、公平くん真ん中あたり行くの? そうだね、入口周り人が多いもんね」

「あっ、はい」

 

 怖ぁ……二人を中心に人の輪ができている。もはやアイドルとはこの人達のことでは?

 梨沙さんも関口くんもこうなればもうちょい、体育館の前のほうなり真ん中のほうなり行けば良いのになんか俺に気を遣っているみたいで離れる気配が見えない。

 

 別に俺がぼっちなのは今に始まったことじゃないんだし、気にせずもっと広々としたところに移動しても良いと思うんだけどなあ。

 そう思いつつも仕方なし、さり気なく少しずつ開けた場所に移動していく。そうなると二人もついてくるので必然的に周囲のみなさんも挙って体育館真ん中に移動する形になって、俺はなんだか笑いそうになっちゃったよ。民族大移動じゃん。

 

「えっ、なんかやば、何あの集団……あー、関口くんに佐山さんか。それに、ええと光る彼」

「シャイニング山形くんなー。え、あの群れどっちについてってるんだ? 関口と佐山かシャイニングくんか」

「久志くんと梨沙ちゃんじゃねさすがに? シャイニングさん目当てならもっと異様なテンションだろ、こいつみたいに」

「おお……見ろ、同志諸君! 我らが救世主シャイニング山形様があんなにも人を引き連れられているそ!! とうとう我らが東クォーツ高校が救世主神話伝説における、聖地としてのポテンシャルを発揮する時が来たのか……!! 救世主様、バンザーイ!!」

「うわ、ホント。見たらあちこちでチラホラ万歳三唱してるのいるし。ヤッバ」

 

 当然、こうした目立つ動きになるとまるで関係ない他の学生さん達の目も惹いてしまう。陰に咲く陰キャタンポポ山形くんの名折れみたいな悪目立ちっぷりで恐縮だよ。

 なかには前から時折確認できてしまっていた、校内における狂信者さん達の存在もちらほら見受けられてしまって非常に怖い。万歳三唱はマジでやめよう、いよいよカルト宗教じゃん怖ぁ……ヤッバ言われとるし。

 

 駄目だ、真っ当な人気者の二人と異なり別ベクトルで俺もおかしな人気を誇ってしまっている。救世の光の伝道師こと香苗さんの活動がいよいよ日常生活のなかでも芽吹く場面を見てしまってなんかもう、逆に感心しちゃうよ。

 この光景を見たら伝道師さん、使徒も総出でまーた句読点を飛ばすんだろうなあ。目に浮かぶよその光景。

 関口くんも梨沙さんも、万歳三唱を受けて笑ってるし。

 

「お前、いよいよ学内でも救世主扱いが板についてきたなあ」

「実際にやってることがすごいもんね、公平くん。私だって救われた人の一人だし、ああいう人達の気持ち、なんだか分かるなあ」

「えぇ……? あの、万歳三唱は止めてね梨沙さん」

「あはは、しないしない! 私は信者さんじゃなくて公平くんの友達、クラスメイト! ……それで、あなたのいつもの日常、かな。なーんて」

「梨沙さん……ありがとう」

 

 はにかむ梨沙さん。俺の日常になりたいと、以前語ってくれたことを今もまた小さく、けれどたしかに聞こえるように打ち明けてくれる。

 ありがたい話だ、本当に。彼女がいてくれるから、俺の学生生活は当たり前の日常になっていてくれているんだな。

 

 改めて感謝を伝える。

 頬を染めて微笑む梨沙さんに、俺も微笑み返していた。




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