攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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あぁ〜! 確定申告の音ォ〜!

 邪悪なる思念うんぬんだとか、システムさんの思惑がどこにあるのか、だとか。

 その辺のシリアスプロブレムは一旦置くとして、俺はこの数日、そこはかとなーく良い気分だったりする!

 

「ドロップアイテム一個につきアベレージ50万円、それが6つ。ダンジョンコアは最小規模ながら売値180万円……」

「合計、約500万!? 一日で!?」

「ふ、ふわわわ!? お兄様、愛してる!」

「公平よ! お前は最高の息子だ!」

「現金か! いやさ現ナマだけれども!」

 

 ダンジョンを踏破して御堂さんとお茶した後、組合本部に報告とドロップアイテムやダンジョンコアの換金をお願いしたところ、何と即時換金で500万近い大金をゲットしちゃったのだ!

 これには俺も唖然、家族も呆然。何なら新スキルと新称号の内容を知った広瀬さんたちも騒然。

 面倒なことになる前に難しい大人の話は華麗にスルーして丸投げ、金だけせしめて俺は優雅に帰宅した。鼻も高々に見せびらかしたところ、上述の通り家族から盛大にヨイショされちゃったのだ。

 

 すっかり目を円にした父ちゃんと優子ちゃんの、何を買うかな議論が微笑ましい。俺は別に、金は欲しいが何かに使うアテもないんだし使いたけりゃ好きに使えば良いと思う。

 が、母ちゃんだけはシビアでクールでドライだ。ポツリと一言、

 

「確定申告」

 

 なんて言うもんだから、何ぞそれと調べてみてあまりに複雑過ぎて俺の血の気は一瞬で引いた。

 とりあえず、いきなり大金を手にしたからって全部使ったりすると翌年、地獄を見るから止めなされ止めなされとネットでしこたま怖いことが書いてあったので、どうしたものかと御堂さんに相談。

 するとお抱えの税理士さんを紹介してくださるとのことなので、喜んでお願いすることにした。報酬? デート一回。ぶっちゃけ俺にデメリットがない。最高かよ〜。

 

 最高ついでに言わせてもらうと、学校でも若干ながらいいことはあった。

 入学式から数日。土日も挟んで平日となり、授業も始まれば本格的に高校生活が始まった俺なわけだが、何と女子グループから気さくに声をかけられたりしちゃったりするのだ!

 

「ね、ね。山形くん、帰りに皆でカラオケ行かない?」

「え? あ、うん。行きたいかな」

「オッケ、決まりー! 男子も結構いるから、友達増やしなよー?」

「山形って何ていうか、大人っぽくて浮いてるもんねえ」

「言えてるー!」

「は、はは、ははは。そ、そうかな」

 

 こんな感じ。ぶっちゃけいじられキャラになってるだけとも言うが、これはこれで楽しいから良し!

 どうも御堂さんと一緒に歩いていたところに女子組と出会ったことがきっかけで、彼女らからは色んな意味で安パイ認定を喰らったみたいだ。

 ほら、恋人がいる男って安全とか思われるヤツ。アレ。

 

 御堂さんとは恋人どころか先輩後輩ですらなく、もはや教祖(否認中)と狂信者(無自覚?)という中々マッドな関係なのだが、何を言っても年頃の女の子たちは恋バナ大好き。

 妄想逞しくも膨らませていった結果、俺たちは秒読みらしい。さすがにそこは否定したのだが効果も薄く、結局俺は安心感のある無害な男子として認識されてしまった。

 これはこれで、俺の青春なのかな……微妙な気分だ。

 

 一方でクラスの男子とは結構、距離を置く事態になってしまっていたりする。

 というのも関口くんだ。彼、俺を恨んであることないこと言いふらしたみたいで、いつの間にやら俺は関口くんの彼女を寝取った間男になっていた。

 

 彼女とは言うまでもないが御堂さんのことだ。

 そうなんですか? と一応SNSで確認を取ったら秒で否定が返ってきたので、まーた関口くんの独り相撲かと呆れる思いはあるのだが、彼はイケメンで探査者で陽キャのリア充だ。

 クラスどころか学年でも当たり前のようにインフルエンサーになりつつあるので、あっという間に俺は『寝取り疑惑のある底辺探査者』という感じに噂されるようになった。

 

 とはいえみんなも高校生だ、いくら関口くんの話だからって全部鵜呑みにするほど馬鹿じゃない。ただ、火のないところに煙は立たないと思われているのも事実なので、現状としては若干、遠巻きに見られているってのが実際のところか。

 関口くんとあまり親しくない男子グループが俺に良くしてくれたので、いわゆるイジメとかそういうところまでは今のところ行きそうにないのが不幸中の幸いだな。

 ああいう性格ゆえか関口くん、出身中学が同じだった同学年を中心に結構、敵が多いそうだし。

 

 親孝行できるくらいの稼ぎを得たし、学校生活も、まあ波乱の気配はあるけれど今のところはそれなりだ。

 つまりは私生活の面では特に問題なしと言えるだろう。

 

 問題はお仕事の方でして。

 

 

 名前 山形公平 レベル15

 称号 ワークライフバランサー

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 

 

「まーた称号が変わっちゃってるんだよなあ……」

 

 死んだ目で俺は、今しがた《魂を救う者》から変化したステータス画面を眺めていた。

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