攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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目立ちすぎる集団、目立ちすぎる伝道

 まさかのサプライズゲスト、ソフィアさん訪問からさやかちゃん先生ハブられ疑惑を必死に乗り越え、文化祭本番前からすでにちょっぴり疲れた気がしなくもない1年13組。

 それでも10時を迎えれば本格的に来場者もあるということで、なんだかんだとお祭り気分に盛り上がってきたのがなんだか楽しいね。

 

「そんなわけで、迎えに行くかぁ香苗さん達」

 

 すでに近場の駐車場にて待ち構えているそうな俺の仲間達──揃いも揃って名だたる名探査者達を迎えにテクテクと廊下を歩く。

 外出許可申請なんて取ってないので校門前で待ち合わせだ、もしかしたらもうすでにいるかもしれない。

 

 仲間のみなさんは話を聞くに、先ほどのソフィアさん同様に俺のクラスを見たりするのは確定だろう。というわけで前もってクラスのみんなに話を通しておいたんだけれども……

 何しろ噂の伝道師やら使徒やらは想定内のこととして、S級探査者が複数人来るってなもんで、多少なりともミーハーな人なんかはすごく緊張しつつ期待して待機していたなあ。

 

 世間的な認知度はA級の有名どころほどではないけど、それでもさすがS級って感じだね。

 上履きを外靴に履き替えて校舎の外へ。もう10時は過ぎたこともあり、外部からのお客さんらしき私服の方々とそこそこすれ違う。

 

 あまり人でごった返したりはしていない。まあ当たり前か、ただでさえ平日でかつ、立地も山の上だし。

 フィクションにありがちな、ほとんど地域のお祭ってレベルで大盛況になんてことには早々なるわけないよねー。

 

「どれどれ、校門前って……おお、目立つ目立つ」

『服こそそれなりに没個性的なもので揃えているようだけど、それでも個性的すぎるんだよね君の知り合い。どうでもいいけどさっさと屋台のたこ焼きとか焼きそばとか食いに行けよ、売り切れてたら今日寝る時までひたすら粉物料理を連呼し続けてやるからな』

「怖ぁ……炭水化物祭りかな?」

 

 脳内のアルマさんが地味に翌日、炭水化物しか摂れなくなりそうな呪いを匂わせてくるのに震えつつそれはそれとして、見えてきた校門前には即座にそれと分かる集団がいて俺は軽く微笑んだ。

 もはや外見からでも個性的な集団がそこにいたからだ……目も覚めるような美女が複数人いれば、海外から来られた方もいるし。筋骨隆々マッチョマンもいれば長身スレンダーさんもいる。上はおばあさんから下はあどけない少女までいる。

 

 俺の仲間達、香苗さんやマリーさん達だ。総勢9人で、この後別に来るうちの家族や神奈川さんたちも含めるとこの倍近くになるんだから、完全に大所帯だねこれ。

 でも服装はいつもの、探査者としてよく見る戦闘も視野に入れたものではない人もチラホラいて、そっちの方でも俺は気になった。

 

 具体的に言うとサウダーデさんとリンちゃんだね。サウダーデさんはいつも修行着を着こなすまさに武芸者な風体をされている方なんだけど、今はポロシャツにジャケット、ズボンとかなりフォーマルな格好をされている。

 それでも筋骨隆々なのは隠しようがないしそもそも2m近い巨躯だ。身体のたくましさもあり、なんかすごいダンディマッチョさんである。カレチャの小早川さんをもゆうに凌いでいる風格である。

 

 対してリンちゃんもまた、いつものチャイナ服ではなく私服のストリートファッションに身を固めている。

 身体より大きい、ダボッとした感じのセーターにジーパン、そして髪を下ろしてニット帽を被っている。元から美少女なのはよくよく知ってるけど、今の姿は雰囲気が変わってすごく新鮮味があるなあ。

 

 香苗さんもいつものスーツ姿でなく、ヒラヒラした感じのシャツにふわふわした感じのスカート、カーディガンも羽織って御令嬢って姿だし。

 宥さんもワンピースにデニムジャケットを着込んだ、ちょっぴりいつものたおやかさから一歩踏み出した印象のファッションだ。

 

 みんなお洒落してるなー、対して当然学生服の俺ちゃん、今からあの個性豊かなメンツに飛び込むのかと若干尻込みだ。

 なんなら道行く人達もみんな彼ら彼女らに目を奪われてるし。シンプルに目立つ集団に対して飛び込んでいくの、たとえ知り合い相手であっても勇気が要るよなあ。

 

 まあ、遠目から見てても仕方ないし行くかな。

 内心で気合を入れつつ近づいていく。向こうも、俺の姿にはすでに気づいているようで何人かは手を振って出迎えてくれているね。

 ありがたい話だ、俺も応じて手を振る。とりわけ何やら香苗さんが満面の笑みを浮かべているのがもうね、分かっちゃうんだよねこの後何が起きるか。

 

「────ついにこの日がやって来ました待ちに待っていました聖地巡礼の日取りです我らが救世主山形公平様が今も通われているこの東クォーツ高等学校の敷地内にいよいよ足を踏み入れる時が来たのです文化祭とはなんと素晴らしいものでしょう合法的に誰の憚りもなしに信仰心を高らかに謳いながら訪れられるのです御方の母校ともなればそれは救世主神話伝説においても重要な地と言えましょうすなわち聖なる学び舎として我ら救世の光においてもこの地は山形公平様のお住いやこの世に御降臨された病院や御実家や栗律中学校と同様に聖地として讃えられるべきなのですとりわけ救世主様が在籍されているクラス1年13組の教室はこと細かに様子を見て学びメモに取りその静謐なる空気と神聖なる姿をあまねく信者達に伝え広め教えていかねばならないでしょうこれもまた伝道師としての責務です────!! おはようございます公平くん、本日は文化祭にお招きいただきありがとうございます」

「怖ぁ……」

 

 そうだね、伝道だね。

 近づくなり開口一番、全力でアクセルを踏んで来た御令嬢ルックの伝道師に俺は、思わず怖がるしかなかった。




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