攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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案の定、自由研究の期待値が高まってる怖ぁ……

 さておき、香苗さん達を引き連れていよいよ東クォーツ高校の敷地内へ。校門をひょーいとくぐればそこはもう学校内だ、別に何がどう変わるってわけじゃないけどもね。

 校内は10時を迎えたこともあり、校内放送からオシャレんティーなジャズなんか流れてきちゃったりして、いかにも文化祭でーす的な空気を出し始めている。

 それに釣られて若干、テンションが上がるのを俺は自覚していた。

 

 こういう、日常のなかの非日常みたいなのって好きなんだよね。お祭り的なハレの日全般の行事に通じることだけれども、この日ばかりはいつもの風景がいつもの風景じゃなくなるようなシチュエーションに期待と興奮を抱くのだ。

 普通流れないからね、平日10時の学校にハイカラなジャズなんて。各クラスはそれぞれ出し物もやり始めているし、あと一時間もしたらうちのクラスも体育館で演劇するし。

 

 何より、本来ならばこんな場所にいるはずもない仲間のみなさんがぞろぞろと揃っているんだ。これがいつもの風景なわけもなく。

 下駄箱から俺以外全員、来賓用のスリッパに履き替える。これもまた新鮮極まる光景で、今ここはまさしく非日常のただ中にあると言えた。

 

「立派な校舎だ、素晴らしい……これが日本の、そして公平殿の学び舎なのだな」

「結構人の出入りがありますねえ。さきほどパンフレットをいただきましたが、これによると出店のみならずいろいろ展示ブースも開かれているようです」

「たしか……公平様が夏休みに作成なさった自由研究も展示されているのですよね? リーベちゃんから聞いていますが、なんでも探査者のスキルにまつわる研究ですとか! これはぜひとも拝見させていただかなければ使徒の名折れです!」

「ほう、公平殿手ずからスキルについてを書き記したと。それは興味深いな。もしかしたら太平洋ダンジョン攻略の一助となる情報が記載されているかもしれんぞ、ロナルドくん」

「えぇ……?」

 

 まあ、そのお仲間さん達はお仲間さん達で、さっそく俺の展示物に狙いを定めているみたいなんだけどもね。

 宥さんと、その後ろで目をきゅぴーん! と光らせている香苗さんはもはやいつものことなのでまあ良いとして。サウダーデさんはじめS級探査者のみなさん方まで俺の自由研究の成果──統合、派生、進化スキルのあれやこれやらサムシングエブリバディ──に興味津々なのは正直、予想外だった。

 

 特に太平洋ダンジョンの攻略のヒントがあるかもとか言われるのすっごいしんどいんですけど怖ぁ……ハードルをエベレスト並に高くするの止めてくださいませ!

 唐突に話を振られたロナルドさんもこれには俺と同じくドン引き混じりの苦笑い。なんていうか、この人からは俺同様のパンピー気質というか振り回され体質を感じなくもない。

 親近感湧くなぁ。

 

「え、えーっとサウダーデさん? あんまりハードルを高くしすぎるのも山形くんに悪いんじゃないですかね……言っても学生レベルの研究ですし」

「見込んだ相手への期待と要求が、自然と青天井になっていく──師匠は昔からそういうところありますねえ、ははは! とはいえ他ならぬミスター・公平のことですから。世に出回っていない情報の10や20は記載されているのではないかと私も、正直なところ期待しちゃいますねえ」

「あー、それはあるかも。エリスさん的にも、スキルっていうかステータス全般についてそのうち、時間が取れれば公平さん直々に聞きたいなーって思ってることとかまあまああるしねー。ハッハッハー、質疑応答ー」

「そ、そうなんですか? なんだか山形くん、予想してた以上にいろんな大御所からものすごーく見込まれてるんだなあ……が、頑張って!」

「きょ……恐縮です。はは、は」

 

 そんなパンピー感あふれるけどS級探査者なロナルドお兄さんだけど、それゆえかサウダーデさんやベナウィさん、エリスさんといった泣く子も黙る名探査者達の太鼓判にはものの見事に丸め込まれてしまった。

 何やら感心とも畏怖ともつかない視線を俺に向けてきているんですけど。いやチョロいよ!?

 

 ていうかエリスさんも地味に俺に聞きたいことがある感じみたいだ。これはそのうち、時間を作って話し込むこともあるかな?

 もうすでに俺についての正体をご存知な彼女相手なら、いろいろ聞かれたとて問題なくお答えできるからそこは気が楽かもね。心のリマインダーをちょっぴり設定しつつ、俺達はひとまず1年13組へと向かうことにする。

 

 道中、当然ながら1年の教室がズラーッと並ぶ廊下を通ることになる。すでに模擬店も始まっていて、そこかしこで美味しそうな匂いを漂わせる通りなのだ。

 これにはリンちゃんやらマリーさん、葵さんが反応しており、さっそく中を覗いたりし始めていた。

 

「たこやき! お好み焼き! 焼きそばにクレープ! ……アイスの天ぷら? メイド喫茶?」

「いろいろあるねえ、この国の文化祭ってのは。おっ、冷えたラムネがあるじゃないかえ。ちと季節は過ぎてるが日本の夏っぽくて好きだねえ私ゃ」

「ていうかメイド喫茶!? うわ、かわい~本当にメイド服着てる! はっはっはー! リアルJKの生メイド服ですよ師匠、師匠!」

「ハッハッハー大声でいかがわしく聞こえかねないことを叫ぶのは止めようね弟子。ちなみに3年の教室では執事喫茶とかもやってるそうだよー」

 

 日本の学校の文化祭なんて初めてだろう、ゆえにテンション高く見て回るみなさん。メイド喫茶やら執事喫茶やらに目が向くのは、まあそりゃ物珍しいものなあ。

 ともあれ、実際にそうした模擬店に出向くのはひとまず後回しってことにはなっている。一旦俺の教室を見て回って、そのまま体育館にて演劇を見てから店を回るって流れにするそうだし。

 

 案内役としてはそのとおりにするだけだよ。

 そんなわけで一路、俺達は13組へと向かった。




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