攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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意外とネットインフラは最先端なシェンの里

 学校内にこんなに救世の光信者がいたなんて……! と、さすがの俺もゾッとするくらいにはまあ、出てくるわ出てくるわ。

 よそのクラスから救世主信者なんだか伝道師信者なんだか分からない人達が、すっかり香苗さんと宥さんの周りに並んで何やら祈るように手を組んでいるんですけど。

 怖ぁ……

 

「ええと、その。山形くん、あの、アレはアレで大丈夫なの? アレのまま置いといて。すごくアレなんだけど」

「ま、まあ、そもそもどうすることもできないところはあるんですよね。言っちゃうと別段、誰にも迷惑なことはしてませんし」

「そ、そっか。まあそれはそうだね、たしかに。しかしすごいな御堂さん……いくらS級に変人が多いったって、あそこまで極まってるのはなかなか見かけない気がする。せ、世界レベルだ」

「世界に冠たるレベルかあ……」

 

 ロナルドさんが盛大なドン引きを見せつつも、俺を心配してくださるんだけれどもどうしろという話ではある。

 ていうか香苗さん、やはりS級のなかでもなかなか見かけないレベルでぶっ飛んでるんだな、この人の目から見ても……裏を返せば何人かはこの領域に達している人は確実にいるというわけなので、なんだろうこんなところで世界の広さ見せつけないでもらって良いですか? って気分にはなるよね。

 

 そんな伝道師さんは使徒さんを伴い、廊下に出てはとても気分良さげに演説を始めている。さすがにあの人数で教室のなかでやられると大変なことになるので、まあそこは助かるかな。

 そもそも演説しないで解散しても良いのでは? というそこはかとない思いもあるけど、そこはまあ、迷惑にならない程度なら自由問題ではあるしね、うーん。

 

「ハッハッハー。いやーなんだか本当にこう、ラウラを彷彿とさせる爆走ぶりだなあ香苗さん。これは本当にダンジョン聖教に並ぶ巨大新興宗教になりそうだよ。怖いねー」

「はっはっはー! なんなら私らも使徒扱いされかねませんね師匠ー。まあ正直、山形くんなら崇めるのも無理からぬかなーって気もしますけど。ほら、アレですし」

「だねえ、アレだし」

「ドレェ……?」

 

 一方でエリスさん、葵さんの師弟も俺の近くから遠巻きにそうした集会の様子を眺めつつ話してるんだけど、アレってドレだよ俺のことかよコレェ……

 コマンドプロンプトという、言っちゃうと正真正銘の造物主側であることをそれとなく指してるんだろうけどロナルドさんともども、さっきから代名詞が多すぎてものすごく迂遠な物言いになっているのが逆に思わせぶりである。

 

 と、梨沙さんや松田くん達、いつもの友人達が近づいてきた。

 エリスさんや葵さん、ロナルドさんと同じ光景にいるの、すごい新鮮だなこうして見ると。まず交わってこなかった面々だものな、それぞれ。

 

「公平くーん。そろそろ演劇の準備だし体育館に行かない?」

「あ、そろそろか。分かったよ、今行くね」

「俺らは暇だけど、お前は照明担当でもあるし先に用意とかもあるだろ。大変だな、頑張れよー」

「あはは……関口くんと梨沙さんと中野くんの三人の演技を邪魔しないよう、頑張るよ」

 

 どうやら11時の演劇に向け、関係者はそろそろ体育館に向かう頃合いのようだ。実際に演技する三人と、あとモンスター役の何人かとナレーター役と、あと照明担当の俺ちゃんだね。

 こうなると仲間のみなさんもぼちぼち、体育館周辺で待機って感じになるかな。さすがに案内なしで初見の校舎をうろつくには大所帯すぎるし、有名人すぎるメンバーだしね。

 

 というわけで仲間のみなさんにもその旨伝えると、全員がうなずいてクラスメイトや信者のみなさんに軽く挨拶して離脱する運びとなる。

 なんか気付けば多くの人達が探査者達のサイン入り色紙を持ってるし。クラスメイトとしては良かったねだけど、探査者としてはなんかペンを持たせちゃってごめんなさいって気持ちだよ。

 

 そのへん、やんわり仲間のみなさんに伝えると、マリーさんやベナウィさんなどが筆頭に、やたらいい笑顔で気にすることはないと仰ってくださった。

 

「ファファファ! いやいや、サインなんざいくらでも書くさね。それに嬉しいじゃないかえ、自分らのやって来たことの結果として、今こうして若い子達に慕われるなんてのは。探査者冥利に尽きるってなもんさね」

「まったくですとも。我々も結局は人間ですので褒められたりチヤホヤされれば嬉しいものですしね。もちろん、それに浮かれて調子に乗るようなことがあってはいけませんが」

「えへへ、サインいーっぱい書いたし可愛いって褒められた!! えへへ、私日本の学校に転校したい!」

「えぇ……? っていうかリンちゃんも、そういえば年齢的に学生さんなんだよね」

「うん、シェンの里にある学校通い。兄ちゃんも姉ちゃんもそこに通ってた。でも人少ない、クラスも一つだけだしみーんな親戚」

 

 そっかあ……リンちゃんの学業事情を聞き、彼我の差にいろいろと感じ入る。

 シェンの里、たしか中国の内陸部というか奥地のほうらしいからね。今やすっかりネットの友達であるハオランさんの話だとネット環境完備で割と最新技術を取り入れた開明的な里らしいけど、それでも間違いなく田舎ではあるとのこと。

 

 しかも親戚ばかりの学校ともなると、目立ちたがりやなリンちゃんからすると面白くないところはあるのかもしれない。

 だからこそ今、こうまでうちのクラスメイトに囲まれて輝かしい笑顔を浮かべているんだろう。幼くも愛らしい彼女の姿に、そう思わされる俺だった。




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