攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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銀メッシュにオッドアイはもはやコスプレなんよ

 なんとも偉そうな話をしてしまったと反省しつつ、そこからは俺は大人しくリハーサルで機材をいくらか弄ったりしていた。

 照明器具のなんかツマミ的なやつをあちこち上げ下げして、舞台上で同じくリハーサルをしている役者陣のタイミングに合わせて照明の強弱をつけるのだ。時折には消灯までするよ。

 

 手元には台本、もちろん照明の塩梅については都度、ト書きを入れて万全のタイミングに最高の演出を入れられるよう整えてある。

 俺のせいで演劇が台無し、なんて目も当てられない。万一にもそんなことにならないよう、探査者生活の傍らで俺もちゃーんと練習してきたってわけなのだ。

 

「そろそろ時間ですね。先生、入場もぼちぼちですか?」

「ですねえ。一旦、舞台の幕を下ろしていよいよ本番の準備にしましょっか」

 

 俺の傍らから舞台を見ていたさやかちゃん先生と打ち合わせる。11時開演のこの演劇、体育館への入場は15分前でもうそろそろだ。

 館内には床の破損汚損を防ぐためのブルーシートが敷かれており、そこにパイプ椅子がところ狭しと並べられている。文化祭らしい即興の演劇ホールだね。

 

 そこにいよいよ来場者が入ってくる。一人、二人と次々列を成して来るのを、俺とさやかちゃん先生は舞台裏からこっそり覗いていたりして。

 そしてそのなかに俺の仲間達もちゃんといることを確認し、小声で話をしたりもしていた。

 

「俺の知り合いの探査者達もいますね。あ……家族も来てる。ありゃ、神奈川さんも。間に合ったんだな、首都圏からこっちまで相当飛ばして来たんだろうに」

「見るからに目立つ集団ですよね? うわー、なんだかものすごくあの、なんかアニメキャラみたいなルックスのイケメンさんもいますね。あの人も探査者なんですか、山形くん」

「アッハイ。ええと神奈川さんと言いまして、こないだの首都圏での事件で大活躍した人でもありますよ。格好はその、特に際立って目立ってますけど怖ぁ……」

 

 元より俺が案内していた香苗さんやら宥さん、マリーさん達はもちろんのこと、うちの家族のみんなの姿も見えた。

 何より意外なのが神奈川さんまでひょっこり顔を出してくれていることだ。昼前には来るみたいに言ってたのは覚えてるけど、首都圏からこっちまで来るのも一苦労だったろうに。

 

 ちなみに今現在、神奈川さんとステラは正規探査者としていよいよ活動を始めているようで新規教育の真っ最中らしい。

 それでも並行してアンジェさんやランレイさんと先だっての事件での後処理やら後始末に奔走していたりもするそうで、決して時間に余裕がある方ではないのが実情だ。

 だって言うのによく来てくださったよほんと、これが終わったら改めて挨拶しないとね。

 

 しかしまあ、特に彼は目立つなあ良い意味で。

 黒髪に銀のメッシュが入った、朱と蒼のオッドアイのイケメンな神奈川さんは、もはや関口くんさえ超えるルックスを誇るだけのことはあり今も周囲の目を惹いている。

 元々耽美系な顔立ちだったのが、ステラとの融合により厨二要素を取り入れたことでいよいよ2.5次元チックな、現実離れした端正ぶりを発露してるんだよね。

 

 当然、うちの学校の女子はもちろん来場者の女性客からも舞台への期待以上に熱烈な視線を浴びたりするわけで。

 本人もそれは気づいているんだろう、苦笑いしつつも何やら隣のパイプ椅子に座るロナルドさんと会話をしていた。

 

「大した男前だけあって、ものすごい人気だなー神奈川くん。まるでスタイリッシュなアクションゲームのヒーローみたいだし分かるけど」

「恐縮ですね……ですがロナルドさんはじめ、この場の探査者みなさんにも視線は集まってると思いますよ。みなさんその、大変目立ちますから」

「否定はできないね……ところでええと、ステラさんも今この場にいるのかい? 姿は見えてないけど、気配は感じる」

「ええ。絶賛、俺の首元に抱きついてますよ。ヤキモチ焼きだもんで、可愛い娘ですよ」

 

 ロナルドさんも大概甘いマスクだもんで、女性からすれば目の保養も良いところじゃないだろうか? イケメン二人の会話はしかし、どこか牧歌的なほのぼのとした雰囲気のものでもある。

 実際、神奈川さんの言うようになんなら今この場にいる探査者みんなが注目を浴びてるまであるからね。顔立ちとか以前に佇まいがもはや特徴的な方が多いし。名探査者も多けりゃ有名人さえいるなら、目立たないわけもないからね。

 

 ちなみにステラは神奈川さんの自己申告の通り、姿を消して神奈川さんに抱きついてたりする。さりげなーく周囲の女の人達をじっとり見回して、時折彼の首筋に頬擦りさえしながらだ。

 怖ぁ……誰にも見えてないのにマーキングするのか。当の神奈川さんが分かっているからだろうけど、もう融合してお互い分かちがたいんだからそろそろ落ち着こう? って気持ちになるよ。

 

 そのへんも含め、またぞろ彼とお話する機会を得たら言っとこうかな。

 間違いなく互いのことしか見えてない神奈川さんとステラに、コマンドプロンプトとしてそんなことを考えつつも時刻は11時を回ろうとしている。

 さて、そろそろ開演だ。




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