攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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退魔師系関西弁桃髪ギャル探査者(属性てんこ盛り)

「最後は私やねー、宮崎キィラと申します。よろしゅう頼みますね、山形さん?」

「アッハイ」

 

 ハミバ最後の一人、宮崎さん。桃色の髪にギャルギャルした出で立ち、それでいて関西弁訛りのある独特の口調となかなかの個性の塊さんだ。

 先の四人もそうだけど、本来ならば明らかに俺とは生きる世界とか領域が違う人達だからなんていうか、生の映画を見ている気分になってくるね。

 

 今やすっかり馴染んではいるけど、仲間達である名探査者のみなさんにも最初はこんな感覚を抱いていたなあ。

 なんならクラスメイトのリア充陽キャ達にさえ似たような思いを抱いているほどだ。どう考えても俺ちゃん側が勝手に拗らせているだけですねこれ、本当にありがとうございました。

 

「ふふ……テレビとかネットでよく見かける救世主さん、よっぽどオーラのある立派なお人やろなあ思うてたら、なんやえらい親しみやすいもんやね。私、こんなナリやけど中身はお淑やかなレディやさけ、救世主さんみたいな方は落ち着くわぁ」

「ど、どうも?」

「そんでもやっぱり、人脈いうかお知り合いはすごい方々が勢揃い。実はうちの家は代々退魔師を稼業にさせてもろてるんやけど──」

「えぇ……?」

 

 やたら濃い話がいきなり出てきたぞ。宮崎さんのお家、退魔師のお家だってさ。

 こないだのアドラメレクへの聞き取りの時にもチョロっと聞いたけど、実際にこの世界にはスキルとは別口にそういう超能力はあるし、ところによっては業界となるほどに広まりを見せている地域もあるらしい。

 

 筆頭は無論この国で、それは古来から概念存在である妖怪が跳梁跋扈していた歴史に由来するものである、と。

 そういう話は耳にしていたけど、まさか現役アイドルのお家がそんなとは知る由もない。

 意外というか属性盛りすぎだなあ。

 

「当主やっとる兄ぃが嘆いとったわ、うちの業界にもあんたさんはじめ、探査者みたいに光ってビーム放てる退魔師おらんのかいーって」

「は、はあ。逆にいないんですか、光るとかビーム放つとかする霊能力さん。むしろそっちのほうがイメージできやすいんですけど」

「あー、あかんねえ。基本的に見えざるものを相手に見えざる領域で干渉するわけやからね、なかなか可視化できるほどの出力は難しいのが現実なんよ。あの手の能力はスキルと違て、物理現象にはまず作用させれへんしね」

「なるほど……」

 

 興味深い話につい耳を傾ける。元来この世に備わる超能力については当然俺も粗方のスペックは把握してるけど、今のこの現世だとあまり可視化できるだけの出力はない段階なんだね。

 まさしく宮崎さんの仰る通りで、あの手の力は基本的に見えざるモノの範疇だ。よほど力を高めて研ぎ澄ませれば可視化するほどにまで昇華できるだろうけど、現時点だとそれも難しそうだ。

 

 ちなみにリンちゃんの蒼炎もその手の力の一種で、だからこそスキル関係無しに燃え上がったりできる。

 まあ、こちらは普通に可視化してあまつさえ物理現象に明確に作用しちゃってるので出力からして突き抜けてるんだろうけど。小柄なカンフー少女を見やれば、彼女もどこか興味深げにオカルト話を聞きながらサウダーデさんやエリスさん、ソフィアさんとたこ焼きだの焼きそばだのを食べていた。

 小動物さながらの可愛さである。

 

「はむはむ、ほむほむ……焼きそばもたこやきも美味しい。でも、超能力の話も楽しい」

「オカルト方面については、いわゆるエクソシストなどが俺にとってはまず思い浮かぶな。実際に力を行使しているところは見たことがないが、探査者とはまた異なる気迫をお持ちの方もいた。思えばあの方々こそ、概念存在に立ち向かう役割のものだったのかもしれません。エリス殿にもそのあたり、知見などはお有りで?」

「ハッハッハー、まあいくらかは。遠い昔にいましたよ、未来を予知するような手合いとか。でもそもそもステータス自体が、オカルト全開みたいな感覚だったりするところはあるかもですよー」

「レベッカちゃんや妹尾くんも、たまにそんなこと言ってたものねえ。大ダンジョン時代到来前から生きてる人は大体、似たような感覚でしょうね。うふふ、もちろん私にとっても、ね」

 

 うーむ、エリスさんとソフィアさんの御意見が地味に興味深い。特にこのお二人は大ダンジョン時代が到来する前を知っている世代の方々とも交流があったもんな。

 それはすなわちステータスが存在していなかった、探査者のなかった本来の歴史だった頃の世界の姿だ。その頃を知る方からすると、ステータスも超能力もぶっちゃけ同じようなもんでしかないだろう。

 

 ただ、その本来の歴史にあってもそのうち──相当先の話だったろうけど──、人間は超能力をステータスよろしく発現させる人が徐々に増えていったはずだ。

 世界が、知的生命体に望むたった一つの至上命題たる"巣立ち"の達成にも関わるものでもあるからね。

 

 すなわちそれは、この世界が予め用意していた概念存在と訣別するための力。

 ヒトを庇護し、ヒトを支配し、ヒトに寄り添う彼らに対し胸を張って別れを告げ、自分達だけで旅立つための力だからだ。

 

 つまり概念存在に相対するため現世が持ち得るはずだった唯一無二の武器。それが超能力なんだね。

 ……それをものの見事にステータスの概念が横槍を入れることになって、だからこそ概念存在も泡を食って大ダンジョン時代を警戒することになったところもある。

 結局、彼らの危機感の大本はそういう部分にこそあるんだろうってのは、これまでの騒動でも明らかなことだった。




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