攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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イケメンの過去が暗すぎる!

 その後も俺と香苗さん、宥さん、ミュトスの四人であちらこちら、文化祭の割と隅から隅の方まで訪問しては楽しんでいく。

 もちろんスライム作りも行ったよ。洗濯のりと水を混ぜて、好きな色の絵の具とか突っ込んじゃって、化学部曰くの"不思議な砂"を少しずつそこに混ぜ込んでグニグニしてたらなんかできた。

 

 不思議な感触のプルプルスライムくんだ、モンスターのもこのくらいならまだかわいげはあったかも知れないね。

 せっかくなので四人分作ったそれを記念にもらいつつ、俺達はそして再度、体育館へと足を運んでいた。

 

「さっきのご挨拶の手前ってのもありますし、何より滅多にない話ですからね……時間的にもちょうどいい、ハミバのライブを観ましょうか」

「他の模擬店や催しも粗方、回りましたからね。その後にはソフィアさんの講演会もありますし、それも観ましょう」

「プログラム的にも最後のイベントですね! いやー楽しかった、素敵な思い出がたーっくさんできましたよ!」

「救世の光的にも素晴らしい伝道資料がいくつも入手できましたしね。ああ、スライム作りに奮闘なさる公平様の横顔……!」

「えぇ……?」

 

 何やらスライムをふにふにしていた山形くんに不可思議なメロつきを覚えたっぽい使徒さんはともかくとして。

 まあそういうことだ。ハミバのライブとソフィアさんの講演と、この二つをもって東クォーツ高校文化祭一日目の締めとするのである。

 

 ハミバのみなさんについては、昼にご挨拶までしていただいておいて出向かないでは失礼だしね。

 ソフィアさんもわざわざシークレットゲストとして来てくださったのは、少なくとも俺の母校だというのが関係してないってこともないんだろうし。

 そのへんの筋は通さないとこっちも落ち着かないからね。しっかりと見させていただこうってわけだった。

 

 体育館に入ると、すでに相当な人が設置されたパイプ椅子に座っていて、ハミバの五人を今か今かと待ち構えている。

 すごい熱気だ……やっぱり新進気鋭ってだけあって人気アイドルなんだなあ。見れば気合の入ったカメラを構える人達もいて、壇前の最前列を陣取っている。

 

 うちの学生服を着ているあたり、同級生だか先輩だかか。マニアに年は関係ないからね、情熱を注いでいらっしゃるのがすごく伝わってくるよ、放つ気迫が違うものな。

 さておき俺は周囲を見回した。探査者の気配がするし、仲間がいるはずなんだけど、と。

 いたいた。エリスさんやマリーさんはじめ、うちの家族も含めて全員集合していらっしゃる。体育館の後ろ側隅っこのほう、個性豊かさが悪目立ちしない場所に座っている。

 

 それでもさすがに周囲の目は仲間達に向けられているのは、これはもう仕方ないだろう。今は服装こそ私服というかフォーマルなものばかりの人達だけど、そもそも国際色豊かなら老若男女色とりどりだからね。

 ましてやその大半が探査者でかつ、なかには世界的なS級も多いのだ。そのカリスマ性もあり、嫌でも目立つしかないのは道理だった。

 

「お! 来たよ来たよ公平さん達。おーいヤッホーハッハッハー、ハミバのライブ、一緒に見ようよー」

「やはり来られたか。先程まで時折、校舎のなかでお見かけもしたが楽しそうに過ごされていたようで何よりだ。こちらも、ベナウィともども正彦殿や由紀殿と有意義な時間を過ごさせてもらったよ」

「ちびっ子の護衛がてらって、こういう言い方もアレだけど……高校の文化祭ってやつ、実はガキの頃楽しみにしてたからな。なんだかありがたかったぜ、あり得たかも知れない風景を、少しだけ夢見ることができた気分さ」

 

 それぞれグループを三つに分けていた面々のうち、まとめ役みたいになってくださっていた方々が手を挙げて迎え入れてくれる。

 エリスさんはいつものごとく陽気で明るいハッハッハー。サウダーデさんは重厚で質実剛健な面持ちだし、神奈川さんもびっくりするくらい中二系イケメンの顔で絶妙に悲しくなることを言っている。

 

 神奈川さん……この人、来歴が壮絶すぎて高校生活を送ることができてなかったみたいだしな。

 蒸発した親の借金の取り立てで生命さえ狙われ、それから逃れるために死を覚悟して山奥に立てこもらざるを得ないほどに追い詰められていた、紛れもなく現代社会の闇に脅かされていた被害者。

 そんな彼が、たまたまにでもステラと出会えたことはきっと運命であり救済と呼べるものなのだろう。ステラにとっても、また。

 

 今ではもはや最新にして唯一無二の、二人で一つの精霊知能。けれど情緒や感情、心の在り方は当然変わらず人間のままだ。

 だからこそ、こうしてあるかも知れなかった未来に触れればセンチメンタルにもなるのだろう。透明になっているステラが、彼に抱きつきその魂までをも慰撫しようとしているのを視る。

 

 本人が仰るように、いくらかでも慰めというか救いというか、そういうものになってくれたなら誘った俺としても嬉しいことだ。

 そう思いながらも、俺達は彼らのほうへと歩いていった。合流だ。




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