攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
「みなさん、お疲れ様です。どうでしたここの文化祭、楽しんでいただけてたら嬉しいんですけど……」
「思ってた以上に面白いよ公平ちゃん。日本の学校ってのも楽しそうでいいねえ、ファファファ!」
合流に伴う挨拶がてら、率直に東クォーツ高校の文化祭についての所感を尋ねたところ、すぐさまマリーさんが上機嫌に答えてくれた。
サウダーデさんやロナルドさん、エリスさん達と並んで取り分け目立つ彼女は、明らかに楽しんでいるようでしきりに笑っているほどだ。
普段から優しくて温厚な彼女だけれど、今は特に楽しげに見える。
バッチリ文化祭を満喫してくれたんだなと察してひとまず安心していると、隣のロナルドさんもまた陽気な様子でここに至るまでの話をしてきた。
この人も楽しそうだなあ。
「いやー、いろんなことやるもんだね文化祭ってのは! 料理部の手作りクッキーも美味しかったし、手芸部の刺繍体験もなかなか楽しかったよ。それに一番はお化け屋敷だね、そこまで大きくなかったろう教室を使ってよく怖さを演出してたよ」
「おおー……いろいろ巡ってたんですねえ」
「はっはっはー! 師匠が滅茶苦茶刺繍上手かったのはびっくりしました! ほら見てくださいこれ、ジャーン師匠が入れてくれた私の名前入りハンケチーフ!」
「ハッハッハー、懐かしい体験させてもらったよ。遠い昔、母さんの家事を手伝う形で弟妹の名前をハンカチに編み込んだりしてたなあって」
「そうなんですね」
思いの外、いろいろ巡ってたっぽくて熱く語るロナルドさん。そこに乗っかる形で葵さんも俺にハンカチを見せてきた。
見ればたしかにそこには"AOI HAYASE"という文字。エリスさんが編み込んだらしくて、なんだかしみじみしながらも懐かしそうに笑っているよ。
遠い昔……本当に遠い昔なんだろう。この人がきっとまだ、今も変わらぬ見た目に乖離しないような年若さの頃のお話。
弟さんや妹さんにも、葵さんにしてあげたようにハンカチに手ずから名前を編み込んでいてあげたんだろう。きっと今でも色褪せることのない、この人の一番奥底にある宝物の記憶。
湿っぽくはしない。楽しげに笑うこの人はきっと、そんなリアクションは望んでいないから。
ただ感心とともにうなずく。次いでうちの母ちゃんがくいくいっと俺の袖を引っ張ってきた。
こっちはこっちで何やら話でもあるのかな? やたらいい笑顔をしているよ、隣の父ちゃんともども。
「あんた、クラスメイトのお友達とも会ったわよ? 良い子達に囲まれてるのねえ、松田くんとか佐山さんとか」
「みんなに会ったの? そりゃ、同じ校舎をうろついていればそういうこともあるか……」
「特に佐山さん! んもーアンタも隅に置けないわねえ、探査者のほうだけじゃなくて学生生活でもあんな可愛くて良い子と一緒だなんて! ハーレム救世主の面目躍如ってとこかしら?」
「そんな面目保持したことないだろ!」
怖ぁ……いつの間にやらクラスメイトのいつものグループと接触している。しかも梨沙さんのことを何やら気に入ったようだけど、どういうやり取りしたんだ?
思えばうちの家族と梨沙さん達、絶妙に会う機会がこれまでなかった気はするな。たしか夏祭りの時くらいか、ニアミスまでいったのは。アレでも直接対面とかはしてなかったと思うし、今回が初対面ってことになる、のかな?
それはともかくハーレム救世主とか大声で言うなよ、周囲の学生さんやら来客者さんやら先生さんまでもがこっちを見ている!
んでもってみなさん、ああ……みたいに納得して視線を逸らさないで! 俺はハーレム救世主じゃない、学生探査者山形公平くん16歳でございます!
苦虫を噛み潰した心地でいると、今度はリンちゃんがじーっと俺を見てくる。つぶらな瞳がキラキラしていて可愛らしいけど、口元に青海苔付いてるよ。たこ焼きかな?
もうこの時点で察せられるところはあるけど、相当食べに食べたねこの子のグループ。えーと神奈川さんが引率をする形でリーベとシャーリヒッタが一緒だったか。
見事に食い気に走りそうな面々だよ。
「けぷけぷ、たくさん食べた。模擬店のも、購買のも」
「模擬店の料理を全制覇して、なおかつ購買のパンやお弁当も食べに食べてー……リーベちゃん達も美味しくいただきましたけど、リンリンの食べっぷりは桁が違いましたねー」
「挙げ句にゃなんぞ、女子生徒とフードファイトし始めてたがありゃ見応えバッチリだったぜェ……」
「お互いまったくの互角に見えて、向こうの女の子のほうが若干余裕を残しつつの引き分けって感じだった……見てて胸焼けしたよ、最近の若い子はすげぇな」
「えぇ……?」
案の定、主に食関係の話ばかりが出てくる。模擬店に購買の物品まで全制覇とは、分かっちゃいたけどさすがリンちゃんだ。
ところであの、そんなリンちゃんとフードファイトを繰り広げかつ、若干優勢気味だったという化物げふんげふん健啖家に一人だけ心当たりがあるんだけれど。まさか、まさかね?
……ついにガチ探査者の胃袋にまで有利取れることを証明したのか、プライバシーに関わるため名は伏せるけども仮称Tさん!?
見知らぬところで行われていた、ある種の頂上決戦に身震いをしてしまう俺ちゃんである。
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