攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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海北アキラはもう手遅れである(ラノベ風)

 その後も何曲か歌い、踊り。合間合間には可愛らしくも漫才のようなMCをちょくちょく挟んだりしつつ。

 ハミングバード・サーチャーズによる、人々を熱狂的に魅了する一時間は瞬く間に過ぎていった。そろそろライブもおしまいの頃合いだ。

 

 正直、ここまで楽しいひと時になるとは思ってなかった。俺ちゃんあんまりアイドル文化に馴染みがないもんで、なんとなく遠巻きな感じになるだろうなって思ってたら普通に魅入ってたもの。

 まあ、サイリウム振って踊ったり叫んだりとかまではしてないけども……そこはさすがにね。観客のなかにはそういう人達もそこそこいたんだけども、俺はね。

 

「まこっちゃん! まこっちゃんーっ!! ああああまこーっ!!」

「ちーちゃんかわいいぞー! 目線くれーっ!!」

「カナちゃんー! カナちゃ、カナぁーっ!!」

「える、おー、ぶい、いー、アッキッラッ、アー!!」

「キィラちゃん踏んでくれー! 私を詰ってくれーっ!!」

「怖ぁ……」

 

 たぶん元からハミバのファンだったのが、学生にも来校者にもいるんだろう。いろんな人達があちこちで黄色い声をあげているよ。

 基本絶叫なんだなあ。そして最後の、宮崎さんへの何やら突飛な方向性での愛情を叫んだのは女の人かな? 世の中広いなって端的に思ってしまいました、どうもごめんなさい。

 

 さておきそんな熱量で体育館内もヒートアップしている。歌って踊るハミバの曲もアップテンポでアゲアゲだし、聞いていてこちらもテンション上がっちゃったよ。

 ……けれど、それももう終わる。最後の曲まで歌い終えて、息を切らして汗塗れの五人が舞台の上、それでも笑顔で挨拶していた。

 

「はぁ、はぁ……どうもーみなさん! 楽しんでいただけましたかーッ!?」

「私達も、ふぅ、サイッコーに盛り上がれました!」

「今日のライブはここまでだけど、まだまだ私達ハミングバード・サーチャーズは歌い続けますから! これからもみんなの応援、よろしくです!」

「もちろん、探査者としても頑張るから! ……この東クォーツ高校にも探査者がいるよね。その人達にも負けないくらい、私達もみんなの暮らしを護る!」

「せやから今後ともよろしゅうなぁ、みなさーん! うちらはハミングバード! 歌って踊るアイドル! そして!」

『──翻ってはサーチャーズ! ダンジョン探査を行うアイドル!!』

 

 最後に五人、全員で声を合わせてのハモリ。締めのトークまでバッチリこなして、ハミングバード・サーチャーズは舞台から去っていく。

 無論、万雷の拍手で見送られてだ。素晴らしい一時間、とてつもないパフォーマンスだったよ。掛け値なくそう思う、それは俺だけでなく仲間達もみんな同じ思いだ。

 

 なんならリーベなんて同じアイドル同士──いや、この自己認識も大概どうかと思うけど──の活躍を生で見たということもあり、すっかり大興奮な御様子。

 手放しでハミバのみなさんを褒め称えつつしかし、自分も負けていられないと気炎を吐いていた。

 

「う……うおおおふんがーですよー! あんなに煌めき輝くアイドル魂、見て奮い立たないでは歌って踊れる宗教系アイドルの名が泣きますー!」

「かわいいかわいいリーベちゃん!!」

「ハミングバード・サーチャーズの五人には掛け値ない賛辞と敬意を払いつつも、これには負けていられないですー! 伝道師ミッチー、リーベちゃんもこれからもーっとアイドル活動頑張りますよーっ!!」

「素晴らしい決意表明ですよかわいいかわいいリーベちゃん! 我々救世の光もその総力をあげてその活動を応援支援していきましょう、そう! すべては我らが救世主山形公平様のために!! 救世主様バンザイ!!」

「救世主様バンザイー!!」

 

 なんでやねん!! 興奮冷めやらぬ体育館のなかでとりあえず俺の名前を叫ぶな!

 すっかりその気のリーベに押され、言わずと知れた宗教系の人ミッチーこと伝道師さんも呼応して叫ぶ。アイドルイベントの最後の最後にまるで関係ない爪痕残そうとするのやめてもろて。

 

 なんなら救世主バンザイの声にさらに応じて、体育館内のあちこちからにわかに似たような声があがっているのが一番怖いまである。

 ていうかあの、なんか……舞台裏からも大声が聞こえて来てるよ……?

 

『救世主様バンザーイ!! 救世主様バンザイ、救世主様バンザイ!』

『ええっ!? ちょ、いきなりどないしたんアキラちゃん! いつもの発作にしたってなんぼなんでも急やで自分!?』

『あー、今ほら、表のほうで救世主様バンザーイって声が聞こえたからそれだよ。たぶん御堂さんだろうね、すごいや!』

『ある意味あっちもアイドルよねえ、救世主様、えーっとバンザイ?』

『そのアイドルって御堂さん? それとも……シャイニングさん? よく分かんなくなっちゃってきた、アイドルとは一体……』

「えぇ……?」

 

 ハミバの一人にして関口くんのパーティメンバーである、海北アキラさんまで例のコールに乗っかっちゃってるよ。

 さっきの挨拶の時にもそうだったけど、普通に例のカルトの信者さんなんだよねあの人怖ぁ……

 

 宮崎さんはじめメンバーみんなが戸惑ったりなんやら反応しているのを、未だ熱気に包まれた体育館の喧騒のなかでも聞いてしまう。

 それを受けて俺は、もうすっかり慣れ親しんだ瞑想による鎮静効果を静かに発動したのでした。

 スーッ……




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