攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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100年間変わらないただ一人の統括理事

 ハミバのライブの余韻も冷めやらぬまま──なんならあちこちで散発的に巻き起こってる救世主バンザイコールからは全力で意識を逸らしつつ──体育館内にアナウンスが響き渡った。

 次のプログラムを告げるものだ。そしてそれをきっかけに、見るからに人々の熱気が収まる。

 

 場の空気が冷えた、と言うよりは落ち着いたという感じだ。渦巻く期待はむしろ高まっているのだから。

 さもありなんや、だろう。何しろこの後に控えるイベントは、比較してはいけないのだけどハミバの五人をさえ凌ぐビッグイベントなのだからね。

 

『10分後に、本文化祭におけるシークレットゲスト──WSO統括理事、ソフィア・チェーホワ氏による特別講演を開始しますそれまでにお手洗い等はお済ませいただくよう、よろしくお願いいたします』

「…………お、おい。今、なんかとんでもない人の名前が出たような。パンフレットにもシークレットゲストとしか書いてないんだけど、まさか?」

「さ、さっき、ソフィア・チェーホワのそっくりさんが廊下にいたような気がしたんだけど。あ、あ、アレって嘘、本物!?」

「馬鹿言うな! なんでこんな地方の一高校の文化祭に、世界一の権力者が!?」

 

 ざわめく観客。なんの脈絡もなく突然、こんなところで名前が出るはずもない完全なる歴史上の偉人がシークレットゲストとかいきなり言われたんだ。動揺するに決まってる。

 ましてや東クォーツ高校なんてのは、言っちゃ悪いが日本の一地方の、しかも地味なほうの県にあるだけの、いたって普通の進学校だ。

 

 ハッキリと場違いというか、もっと大きな式典とかでやるべきというか。

 ともかくそのくらい格が次元違いの統括理事が、なぜか今から10分後にはこの体育館の舞台上に登壇してスピーチなんてかましてくるのである。

 意味が分からないよ!

 

「あー……やっぱりアレかな、コネっていうのかな。ほら、例の光る彼」

「シャイニングくんな、さっきも信者があちこちで万歳三唱してたけどチェーホワさんともつながりが深いって聞くし」

「っていうかぶっちゃけアレでしょ、若いツバメってやつでしょ? ハーレム救世主っていうくらいだし、守備範囲はとにかく広いのよたぶん」

「見た目こそ私達と同じくらいだけど、実年齢最低100歳超えたんね……羨ましい、かも? 永遠の美貌なんて、まるで悪役の求めるものだけど」

 

 そしてさっきの今だ、当然俺ことシャイニング山形とソフィアさんのつながりからアレコレ想起する人もいる。

 コネとかなんとか……少なくとも学校から俺を経由して、彼女に連絡を取るような要請とかはなかったからそれはないんだけど。俺がいるからソフィアさんも来るかも知れないし打診はしてみよう、みたいな下心はあったんじゃないかな、さすがに。

 

 何より元からソフィアさんなりヴァールなりも、この文化祭には来たがってたからね。学校からの打診なんてのはまさしく渡りに船だったろうさ。仲間達に先んじて校舎に入れたわけだし。

 あとハーレム救世主とか若いツバメとか言うなし。守備範囲の意味は知らんけど、ぶっちゃけ精神年齢的にはソフィアさんだって年下のお嬢ちゃんみたいなもんなんだぞう。同時に年上のお姉さんでもあるけど。

 

「さすがソフィアさん、名前が出ただけでこのどよめきぶりはすごいですね。25年前の時も、その存在そのもののネームバリューとか権威性はとんでもなかったですけど」

「何しろ100年を牛耳る世界のトップだからね、ハッハッハー。なんならエリスさんがぜんぜん新米だった頃からもすでに、今と大して変わらない超VIPだったからねえ」

「私がガキの時分もそうだった。時代や年代、世代ごとで有名な探査者とか実力ある探査者なんてのは変動していくものなんだが……唯一無二、あの人だけはいついかなる時でもそこに名を連ねてるからね。永遠の探査者少女ってのは、伊達じゃないってことさね」

「そんなのがいきなり文化祭でスピーチするなんて話、そりゃビックリするもんだわなあ」

 

 ロナルドさんやエリスさん、マリーさんもそれぞれにソフィアさんを讃える。

 揃って遠い過去、それぞれがまだ新人さんとかの頃からもう、ソフィア・チェーホワの人気と知名度、そして権威権力は今と大差ないものだったそうな。

 

 探査者ももちろん世代交代していくもので、それゆえに時代や年代ごとにその時々の有名探査者やトップ層、あるいはスター的な世間的に認知度と人気のある探査者ってのがそれぞれにいる。

 分かりやすいところで言うならやはりA級トップランカー周りだろうか。

 

 かつては香苗さんがその座に就き、今では空いたそこにランレイさんやアンジェさんみたいなポストトップランカー勢が鎬を削り狙い合っているようなポジション。

 大体の場合、そのへんにいる層の探査者達こそが世間一般への露出や人気度が高い傾向にある。ランキング争いをしている上位層ってことだもんな、面白がる世間も当然のことか。

 

 ついでに言うとちなみの話。

 それとは別にマリーさんとかサウダーデさん、ベナウィさんやロナルドさんみたいなS級探査者の名前も当然ながら世界的に知られているよ。

 こちらもかつてトップランカーを経ていた人達というのもあるし、そうでなくとも個性的な振る舞いが目立つからってんで固定ファンも相当にいる方々だ。

 

 ていうかマリーさんなんてソフィアさんと並び、世界一有名な探査者とかって言われがちだからね。

 なんやかや、ピンからキリまで多種多様なのが探査者ってことなんだろうさ。




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