攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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実録!これがS級探査者ロナルド・エミールだ!!

 モンスターだけを対象にした、強制封印能力──《氷魔法》、スキルの力。

 それ一つとっても極めてレベルの高い技術を駆使しつつもなお、ロナルドさんは肉弾戦においても無類の強さを誇っている。

 

 自身に組み込まれたモンスターの因子を発現させた、異形の形態。その結果として現出した剛腕や毒爪、あるいは角をもって縦横無尽に暴れまわっているのだ。

 サウダーデさんやリンちゃんに並ぶほどの勢いだった。

 

「そうら、パイルバンカー・ナックル!!」

「ぐごげがぎぃぃぃ!」

「かーらーのっ! ──ホーンフォーク・リフトォッ!!」

「うぎゃがががぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 筋骨隆々、という表現すら超えて巨木のような右腕が真っ直ぐに地面に突き刺さる。巻き起こる振動、それに足元を掬われるモンスターの群れにまとめて突き刺さるヘラジカのような額の両角。

 そこからロナルドさんは、突き刺したままモンスターごと頭を振り回しに振り回した。まるで台風のようだ、嵐と化して周囲のモンスターをなぎ倒していく!

 

 豪快だ! そう表現するしかない、見事なまでのパワーファイト。

 俺もこのダンジョンで初めてそのスタイルを拝見するまでは予想もしていなかったことだ──この人、近接戦闘時にはめちゃくちゃ荒々しいんだよ。

 変身した御自身の、モンスターとしての姿をフルポテンシャルで活かすやり方を模索した結果、辿り着いたのがもはや技術も何も無い大暴れなんだそうだ。

 

 

『第七次の頃は、マキシムとミレニアムがあったもんで《氷魔法》主体のスマートでクールなスタイルだったんだけどさ。それ以後AMWは返しちゃったから、俺も四の五の言ってられなくなって。せっかくの力だし有効活用しないとなーってんでいろいろやってたらこのスタイルだよ。まったくモンスターみたいだよなー』

 

 

 とは、ここに至るまでに語ってくださったロナルドさんの変遷についてのコメントだ。

 二丁拳銃AMWマキシムとミレニアム。サークル副幹事長の海方が使っていたあの武器の、先代の担い手だったロナルドさんだからこその成り行きと言えるだろう。

 スキルブーストジェネレータで増幅した《氷魔法》を駆使して銃撃戦を展開する第七次の頃の戦法が、それ以後は使えなくなった以上は手持ちの力で新しいスタイルを確立するしかなかったんだね。

 

 その結果、やはりというべきか目をつけたのが望まぬにせよ身に付けさせられたモンスター因子だったんだ。

 そのへん、ロナルドさんの合理的な思考が垣間見えるね……自身のすべてを奪った仇敵によって埋め込まれた、非人道極まりない力なんて有効活用しようなんて、なかなか考えたくないものじゃなかったのかなとは思うよ。

 

「さすがだな、ロナルドくん! ──サウダァァァァァァデッ、ぬんんんっ!!」

「力任せ、だけど野性的な美しみもある! ──しぇぇぇぇぇぇっりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

「武術家として綺麗に最強、そういうスタイルこそ俺としてはすごいなーって思いますけどね、二人とも!」

 

 サウダーデさん、リンちゃんも《氷魔法》によって動きが止まったモンスターを駆逐してロナルドさんの両隣に並び立つ。

 人の技術、功夫を練り上げたお二人と対照的に力任せの、けれどそれが野性味をも放つお一人と。なんだかカッコいい揃い踏みだと思うよ。

 

 そうして三人、室内にいた数十のモンスターをみごとに全滅させきった。戦闘終了だ。

 ロナルドさんが、モンスター因子を鎮静させていく……角が、第三の目が、毒爪が翼が巨大な上半身が巻き戻すかのように人間の、ロナルドさんの元の姿に変わっていく。

 ものの5秒ほどで、すっかり一般的な人間に戻ったのだ。

 

 同時に変身に伴い破れた上半身の服が、粒子に変わり彼を包んでまた、元の形状に戻る。

 モンスターの素材を使った特製の服だそうだ。香苗さんの彩雲三稜鏡と似たようなもので、破損したり燃えたりしても着用者の意志次第で粒子に変じてまた、元の形へと戻るんだそうな。

 

 ただし復元能力も限りがあるそうで、だからロナルドさんは同じ素材を用いた服をいくつもオーダーメイドで仕立てて用意しているらしいよ。

 毎度上半身裸を晒すのもね、と笑っていたのが印象的だった。

 

「ふう……よーっし大勝利! さすがですサウダーデさん、フェイリンさんも!」

「助かったよロナルドくん。やはり君の《氷魔法》はあらゆる局面で活かせるな」

「肉弾戦もお見事! 模擬戦してみたい、です!」

「え、遠慮しとくよ……なんでかな、君とやり合うと俺が一方的に負けそうな気がしてならないんだよね。なんかこう、力の相性的に。モンスターの因子がビビっちゃってるのを感じるし」

「怖ぁ……」

 

 戦闘後に互いを称え合うなか、いつも通りと言うべきかリンちゃんが相変わらず強者相手に模擬戦を強請っている。まあ正直、ロナルドさんのほうが現状だと明らかに強いんだけど……なぜか彼のほうは及び腰というか、戦えば確実に負けるという確信を抱いているみたいだ。

 その姿に内心、訝しむものを覚える。

 

 モンスターの因子が、リンちゃんの持つ力に反応してロナルドさんに戦闘を忌避させている? ──シェン特有の蒼炎を恐れているのか?

 たしかにあの炎はモンスターに限らず、いわば物質特効と言えてしまうほどに形あるものに対して特大の威力を持っているようだけど。それを恐れるものなのか? 因子が。

 

 彼に組み込まれたモンスターの因子、それがなんなのかは彼自身も知らないことだと言う。

 少し気になるところではあるよなあ。一体何のモンスターの因子を、彼は組み込まれたんだろうか。




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