攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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何があろうとシャイニング世代はシャイニング世代ですから(断言)

 デデン! と聳える摩天楼……ってのは首都圏の本物のソレを見てるとちょっと言い過ぎだと思うけど。うちの県においては十分高層だと言えそうなくらいに背の高いマンションを見上げる。

 ここがミュトスと、そして香苗さんの住居かあ。見るからに綺麗だししっかりしてるし、織田の住まいのマンションにも勝るとも劣らじって感じだ。

 

 当然ながらこうしたタワーマンション的な建物ってのはセキュリティもしっかりしているようで、まずは入ってすぐのエントランス、受付にいるコンシェルジュさんに取次を頼むところから始まるそうな。

 このへんはすでに何度も訪れている精霊知能三姉妹のがよほど詳しいし、なんなら俺や神奈川さんは正真正銘庶民生まれ庶民育ちの庶民そのものだもの。馴染みなんてあるはずがない。

 

 だもんでリーベにそのへんの取次はおまかせして、俺達はエントランスのちょっと空いたところにてたむろする。

 神奈川さんとはそういうこともあってなんだか親近感があり、俺達お互い顔を見合わせてちょっと気まずげに会話していた。

 

「いやー……なんかこう、世界観の違いって感じますよね。普段の行動圏の光景と比べて」

「ですね。俺もステラと会ってからは生活環境が相当改善された自覚はありますけど、さすがにこんなところに住めるほどじゃないですし」

「たしか今、隣県のマンションを間借りしてお住まいなんでしたっけ? 探査者活動も含めてそのへん新生活、どうです?」

「お陰様で充実してますよ。サークルとの戦いも終わって、自由っていうのかな。そういうのになれた分選択に伴うプレッシャーはありますけど。そこも含めてやっとこ、大人ってやつになれてきたのかなって気はしてます」

 

 やはりパンピー同士、気が合うと言うべきか? 揃って高級そうな空気漂うブルジョアマンションに慄きつつも、神奈川さんとステラの新生活について話す。

 サークルや過激派との決戦後、精霊知能として新生しステータスを得た彼は晴れて探査者として新規登録をした。アンジェさんやランレイさん達能力者犯罪捜査官チームから離脱して二人、自分達だけの星明り指す道を歩み始めたんだ。

 

 具体的には関西はうちの県の隣県に移り住んで、そこで一から探査者生活をスタートさせてるんだね。今は新規教育の真っ最中で、主に座学を中心にしているのだとか。

 それに伴い住居も、古式ゆかしい町並みのなかにある新しめのマンションの一室を借りたという。

 ここについてはソフィアさんのサポートも手厚かったみたいだね。ヴァールが会話に混ざって、そのへん話してくれた。

 

「神奈川とステラは今回のモンスターハザードにおける功労者の一人だ。彼を臨時エージェントとして雇用した形のWSOとしては、その功に報いる意味でもそれなりの待遇や保障をもって遇しているぞ」

「それは何より。神奈川さんは一年も前から人知れずサークルと戦い続けてきてくれたんだから、そこは報われなきゃおかしいもんな」

「うむ。そしてワタシやソフィア個人にとっても、もっとも新しい同胞にして新たな道を歩もうとする後輩でもある。そうした観点からも彼の探査者としての独立はしっかりサポートする気でいる。無論、そこはあなたや後釜、シャーリヒッタも同様だと思うが」

「もちろん! ていうか俺としても嬉しいよねやっぱり、デビューしたての探査者仲間ってのは。また近々、ダンジョン探査をご一緒したいよ」

 

 あるいは神奈川さんこそが、今回の一連の騒動における最大の功労者ですらあるかもしれない。

 まだ活動が表立っていなかった時期からサークルに戦いを挑み、ステラもいるとは言え肉体的にはたった一人で首都圏をやつらから一年、守り抜いてきたんだから。

 

 その末に俺や仲間達が集い、事件解決に至れたのはヴァール以下WSOにとっても非常に大きな功績なんだろう。ゆえに組織をあげて彼に報いようとしているんだね。

 加えて精霊知能だというのもあって、システム領域側のモノ達もサポートしたいってのは共通しているし。

 

 個人的には何より、探査者としての世代的にはおそらく同じ頃合いになるってのが嬉しい。ほら、シャイニング世代とかって呼ばれちゃってるあの区分。

 今はなんか光るやつが悪目立ちして、ボッチのくせに世代の看板背負うなんて総スカン間違いなしなことになっているため戦々恐々なわけだけど……

 そこにとんでもないイケメンでしかも《星明りの聖剣》なんて世界に唯一の超レアスキルを引っ提げた神奈川さんが参入するんだよ?

 

 何が起こるだろうね。そう、シャイニング世代から聖剣世代とか神奈川世代って呼ばれることになるはずだ。きっとたぶん、メイビー。

 そういうところへのそこはかとない重い期待さえ寄せているため、俺としても神奈川さんとは今後ともヨロシクやっていきたいところなのだった。

 

「ありがとうございますヴァールさん、山形さん……サポートしてもらうからにはしっかり独立したいですし、やるからにはきっちり探査もしたい。同じ世代の仲間と、切磋琢磨しながらね」

『できるよ、千尋なら。私の千尋……あなたにはこれから先、無限の未来と可能性があるの。もちろんあなたと一つになった私にも。だから二人で、一緒にゆっくり歩いていこうね、千尋』

「ああ、ステラ……俺のステラ。ともに行こう、星明りが指す限り、俺達はどこまでだって歩いていける」

 

 そんな邪な魂胆をよそに、透明なステラと見つめ合って囁き合う神奈川さん。

 ステラの受肉って目的もあるからね……お互いに支え合う二人はきっと無敵だよ。俺とヴァールはそそくさと二人だけの世界に没入した彼と彼女から後ずさりながら、そっと生暖かな視線を投げかけていた。




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